『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載vol.2(35)

アランマーレ山形 田中麻帆 前編

【バレーが自分に「合っている」と実感】

 田中麻帆(23歳)はアウトサイドヒッターとしてアランマーレ山形に入団したが、SVリーグ1年目でリベロとしてコートに立つことに"陶酔"している。

「レシーブ力は上がったかなと思います。SVリーグの外国人選手のスパイクはすごく速いんですよ。

群馬グリーンウイングスとの試合では、オリビア(・ロジャンスキ)選手のバックアタックが顔面に当たって。ボールを避けなかったのはよかったんですけどね」

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 田中は悪戦苦闘する自分を隠さない。しかし、スパイクやサーブに向き合うたび、プレーのヒントを得ているという。もともとスパイカーなだけに気持ちが疼くこともあるが、今はレシーブが得点になるような感覚を味わっているのだ。

 北海道釧路市に生まれ育った田中がバレーを始めたのは、小学4年の後半だった。もともとサッカー、野球、バスケットボールと体を動かすのが好きだったが、小学2年からバレーを始めた友人がいて、母親と相談して自分もやることを決めたという。体験に行くと、コートの端でコーチとふたり、柔らかいボールでパス交換した。

「ボールが上がるのが楽しくて、『バレー、(自分に)合ってるんじゃない?』って思いました」

 田中は目を輝かせて言った。肩が強く、最初から上からも打てた。左利きで、ポジションはどんどん変わった。

 小学校ではミドルブロッカーで、ローテがなく真ん中で攻撃する感じだったという。中学ではライトに入り、春高バレーに憧れを抱くようになった。

【春高バレーでまさかの逆転負け】

 高校は地元の釧路ではなく、札幌山の手高校に進学。親元を離れる寂しさはなく、冬場はチームメイトとコンビニでおでんを食べるのが日課だった。はんぺんが好きで、どんなことでも話した。理想の恋人像や恋愛ドラマについても語り合い、俳優は今も綾野剛が好きだという。

 高校1年ではミドル、高校2年でライトに戻り、3年連続で春高バレーに出場した。「春高は体育館の奥行きや高さ、何もかも違いました!」と口調に熱が帯びる。高校バレー最後の試合、愛知の誠信高校との一戦では"1点の重み"を感じた。

「誠信戦はフルセットでした。自分たちが1セット目を取り、相手が2セット目を取って、3セット目は自分たちが21-14とリードしたんですが......それまであまりコートに立っていなかったリリーフサーバーが入った時、流れがガラッと変わったんです。相手チームが前に出る感じがあって、その勢いに飲まれてしまって逆転されてしまいました。

 悔しかったですね。ボーッとして涙も出なかったです。

宿に戻って全員でご飯を食べたんですけど、誰もしゃべらなかったですね。後輩は気を遣っていたんでしょうけど、『本当に悔しいと涙が出ないのか』って思いました」

 1点の重みを刻み込んで、田中は神戸親和女子大学(現神戸親和大学)でもバレーを続けた。オポジットとして、多くの賞を受賞している。それがアランマーレ入団にもつながった。

「たくさんのポジションでプレーしてきて、ライトは好きですね。でも、今はリベロがすごく楽しい。相手が狙って打ったスパイクを上げるのは最高の気分です」

 田中はリベロとしての恍惚を語った。

「PFUブルーキャッツ石川かほく戦で、サイドの川添(美優)選手が切り込んで打った、ほぼノーブロックのインナースパイクを上げた瞬間は最高でした! 『絶対に決まった』と思っていたでしょうけどね。あれは、自分が点を取った気分でした。ひとつ上げるたび、うまくなる気がするんです!」

 田中はこれからも、点につながるレシーブを上げる。

(後編:【ハイキュー‼×SVリーグ】ベストメンバーの選定で迷った西谷夕と夜久衛輔 決め手はリベロをやって気づいた"大きさ">>)

【プロフィール】

田中麻帆(たなか・まほ)

所属:アランマーレ山形

2002年10月4日生まれ、北海道出身。167cm・アウトサイドヒッター/リベロ。

小学4年の途中からバレーを始める。札幌山の手高校時代は3年連続で春高バレーに出場。神戸親和女子大学(神戸親和大学)ではオポジットとして活躍し、2024年の関西春季1部リーグでは最優秀選手賞など多くの賞を受賞した。2025年、アランマーレ山形に入団した。

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