この記事をまとめると
■中古で買って乗っても古さを感じないクルマを紹介■デビュー当時でも目立っていたクルマはいまでも語り継がれている
■現在も人気な車種が多いので中古車相場は高値を維持しているモデルが多い
いま乗っても古さを微塵も感じない秀逸なデザインのクルマを紹介
クルマ選びの醍醐味は中古車にこそある、なんて声がありますが、買っていきなり「くたびれ感」を醸し出してしまうようではチョット残念。そこで今回は、いま買ってもまったく旧さを感じさせない、先進デザインの国産車5台を選んでみました。
ガルウイングドアを持ったコンパクトクーペ
まず最初は、トヨタの「セラ」を取り上げます。1987年の東京モーターショーに「AXV-II」の名で出品されたコンセプトカーを、ほぼそのままのスタイルで販売した近未来的コンパクトクーペです。
「テクノ・アート・フュージョン」の造形コンセプトによるボディは、高い空力性能と、なんとアールヌーボーの曲線美から着想したという水滴形シルエットが特徴。もちろん、最大の見所はガルウイング(バタフライ)ドアを採用したグラッシーキャビンで、ガラス製の巨大なキャノピーが圧巻です。

一方で、シンプルなフロントフェイスや、ガーニッシュ一体のリヤランプは90年代の実用車的な雰囲気も感じさせ、行き過ぎた未来感を回避。「見せる内装」とした一体成形のインパネ類やシート形状は、この時代のトヨタのセンスの高さを示しました。
バブル期の勢いを感じさせる企画として、今後も高い注目度をキープするのは間違いありません。
この美しさはもはやアートの領域だ!
2台目は、日産の5代目「シルビア」。デートカーとしてヒットしていたホンダ「プレリュード」の対抗馬として、1988年に発売されたノッチバックスタイルの2ドアクーペです。

「アートフォース・シルビア」というコピーは、「エレガントストリームライン」と呼ばれる流麗なボディを示したもの。スリムながら豊かな抑揚を持つフロントフェンダー、美しいカーブを描くベルトライン、極細のアクセントラインが効果的な張りのあるボディ面など、じつによく磨き込まれた造形です。

宝石のような輝きのフロントグリル、外観と同一イメージのスムースなインテリアを含め、この時期は4代目フェアレディZ、初代プリメーラ、R32型スカイラインなど、日産デザインの大収穫期。FRによる走りのよさばかりではなく、グッドデザインの日産車として乗り続ける価値は大です。
ライバル不在のデザインはいま走らせても注目の的必至!
名車を輩出した「ときめきのデザイン」
3台目は、マツダの「ランティス」です。5チャンネル体制の後期である1993年に発売されたクーペとセダンですが、ここでのオススメは、よりスタイリッシュな前者の4ドアクーペとします。

「スポーティコンパクト」として「ファミリア」よりひとつ上のクラスとしたボディは、全長4245mmに対して2605mmというロングホイールベースが特徴で、短い前後オーバーハングが抜群のスタンスのよさを醸成。

当時の「ときめきのデザイン」を思わせるボディはじつに流麗で、キリッとしたフロントランプや、大型ガーニッシュ一体型のリヤランプがいいアクセントになっています。マツダ創立100周年の人気投票で何と1位となったランティスは、隠れた名車として今後も輝き続けるでしょう。
欧州発の超未来的スペシャリティSUV
次はいすゞの「ビークロス」。セダン市場から撤退した1993年、同社は東京モーターショーに「ヴィークロス」名のコンセプトカーを出品、高い評判を受け、4年後に市販したスペシャリティSUVがビークロスです。

ロータスからいすゞの欧州スタジオに移籍したサイモン・コックスによるスタイルは、メタリック感溢れる上半身と、PP素材を最大限に生かしたブラックの下半身の組み合わせがじつに魅力的。ボディと一体感のあるフロントグリル、スペアタイヤ内蔵のリヤパネルは近未来感全開です。

後期には、じつに25色ものカラーバリエーションを展開したビークロスですが、3ドアのみの設定故か、販売的には成功作とはなりませんでした。しかし、その先進的スタイルは色褪せることなく、現代のカーデザイン史にしっかり名を残しているのです。
イタリアンデザインの高性能2ドアクーペ
最後は、スバル「アルシオーネSVX」です。「レガシィ」の成功により勢いに乗る同社が、「500miles a day」のコンセプトで送り出した2ドアの高性能グランドツアラーです。

非常にスリムなクーペボディながら、大きなキャビンを組み合わせるところが、実用性を重視するジウジアーロらしいところ。グラスtoグラスのラウンド形状はまさに近未来的で、3次元曲面ガラスが高いクオリティを表現。

少々奇抜だった初代から一転、パーフェクトなプロポーションを持ったSVXは、もともと北米市場を意識したこともあってか、国内では少々苦戦しました。しかし、時間的な耐久性を持つこのスタイルは今後も輝き続けるはずです。
さて、今回ピックアップした5台はいかがでしたでしょうか。デザインの方向性は各々違いますが。それぞれが明快なテーマにより普遍的な魅力を持つことに成功しています。その志の高さには、いまでも手に入れるべき価値があるのです。