この記事をまとめると
■農道は農業利用を主目的に整備される道路を指す■一般道は国土交通省だが、農道は農林水産省の管轄だ
■ほとんどの農道に道路交通法が適用される
舗装率が低く道幅が狭いのが特徴
「農道のポルシェ」(RR時代のスバルサンバーのこと)といった言葉があるが、農道と一般道の違いがわかるだろうか?
農道とは、農業の振興を図る地域において受益地を特定し、圃場(ほじょう)からの農産物の搬出・出荷や市場への輸送、農業機械や肥料などの圃場への搬入など、農業利用を主目的に整備される道路のこと。
法律的には、土地改良法第2条に基づく土地改良事業によってつくられた道路を指す。
大きな違いは道路の管轄で、農道は農林水産省の管轄なのに対し、一般道の管轄は国土交通省と異なっている。
農道には、都道府県の広域営農団地農道整備事業で整備される「広域農道」と、同じく都道府県の一般農道整備事業で整備される「一般農道」、そして揮発油税の免除額相当分の財源により整備される「農免道路」などがある。
農林水産省の資料によると、令和3年8月1日現在、全国の農道の総延長距離は17万1,319km 。そのうち舗装済延長距離は6万2,200km(舗装率36.3%)。
国道の総延長が12万81793.6 km(令和2年3月31日現在)なので、じつは農道のほうが長いわけだ。

また、総延長距離を幅員別にみると、幅員1.8~4.0mが9万3,821km、幅員4.0m以上が7万7,498km で、農道は舗装率が低く、道幅が狭いのが特徴になる。
これらの農道は、農耕車専用の道路ではないので、基本的には一般の車両も通行可能。農道の入口と出口には、よく車幅を制限するためのポールが立っているが、それをクリアできる車両なら農耕車以外でも走ることは問題ない。
農道でも取り締まりが行われている
厳密には、土地改良法に基づいて建設される農道は道路法の適用を受けないが、ほとんどの農道は道路構造令に準拠することになっているので、農道であっても道路交通法が適用される。
ときどき、農道は治外法権。速度制限もシートベルト着用義務も携帯電話違反も駐車違反もないと誤解している人がいるが、農道でも警察は取り締まりを行なっているし、ねずみ取りや白バイが隠れていることも少なくない。
また農道では「農耕車優先」「無理な運転をしないでください」「農耕車注意」「トラクター横断注意」といった看板を見かけるが、これらに法的拘束力はない。ただし、農道は農業利用を目的に作られているので、マナーとして農耕車優先なのは間違いない。

農道は、誰でも走れるが、一般車にとってはアウェーな場所。農耕車がノロノロ走っていてもイライラしない。無理な追い越しはしないこと。
非常に見通しのいい農道でも、けっこう田んぼに落ちているクルマを見かけることがあるので要注意。
脇道に曲がるときも、ブレーキを踏まずにダラダラ減速して、直前でブレーキ。それからようやくウインカーを出すようなケースも珍しくないし、すれ違いしづらい場所に駐車する軽トラや農耕車がいるのも農道だ。
トラクターがゆっくり横断する場面もあるだろうし、タヌキなどの動物が飛び出てくることも!

人だって、クルマが近づいてきているのがわかっていても、ゆっくり横断しはじめることがあるのが農道なので、都会のルールとは異なる部分があることも理解しておいた方がいいだろう。
また夜は街灯がなく、かなり暗いので、早めのライトオン。そして対向車がいないときは積極的にハイビームを使うのが良策。
さらに濃霧のときは非常に視界が悪いので、霧が濃いときは迷わず迂回ルートを使うようにしよう。