この記事をまとめると
■トヨタの個人向けカーリースのKINTOには人気モデルでも納車が早いというメリットがある
■KINTOの月額使用料よりも残価設定ローン(60回払い)のほうが月々の支払額は安い傾向にある
■KINTOには任意保険料やメンテナンス代も含まれており、一概にどちらがお得と断言はできない
KINTOでしか乗れないグレードの設定もある
何かと話題になっている新型プリウスだが、KINTO(トヨタの個人向けカーリース)専用として、1.8リッターUグレードというものが設定されたことも話題のひとつ。
しかし、Uグレード以外にもKINTOを利用する利点がある。走行性能で評判の高い2リッターエンジンベースのハイブリッドユニットを搭載するG及びZグレードは、新規受注停止を頻繁に繰り返すなど受注が集中しており、ディーラーで購入するとすでに納車まで1年半以上待つ覚悟は必要と案内する店頭も目立つが、その一方で、G及びZについてKINTOを利用すると、半年ほどで手元に実車が届く。
それでは買い得感はどちらが高いのだろうか。リースでは集合住宅などで駐車場を借りている場合の月額駐車場料金やガソリン代を除けば、定期点検費用や税金などクルマにかかる費用すべてをコミコミにした月額リース料金を払うだけでお気に入りのクルマに乗ることができる。KINTOでは途中解約時の解約金のかからない「解約金フリープラン」というものがあるので、このプランのG及びZの料金プランとZで残価設定ローン(60回払い)を組んだ場合のプランを比較することにする。

KINTOの解約金フリープランは3年リースしかない(再契約は別途手数料を払えば可能)。KINTOの解約金フリープランは申込金30万7230円が必要となり、申し込み金を払ったうえで月額利用料が5万4890円となる。一方で残価設定ローンを利用した場合はどうなるか試算を行った。ZグレードでKINTOの申し込み金相当の30万円を頭金として60回払いで試算すると、初回が5万7307円となり、以降月々5万2400円×58回、そして最終回、つまり残価相当額据置分が88万8000円となった。
ただし、支払最終回分を車両本体価格で割った、つまり残価率相当を試算してみると、このプランでは24%となっている。あるトヨタ系ディーラーでは35%となっており、シミュレーションの残価率はやや低めなので、単純に新車時価格の35%とすると129万5000円。残りを単純に59で割ると約4万円となり、KINTOの月額利用料よりは、金利を加えても若干月々の残価設定ローン支払い額のほうが少なくなるようだ。
ライフスタイルの多様化に伴ってクルマの購入方法も多様化している
とはいっても、ローンには税金や保険料(任意保険も含む)、メンテナンス代などは含まれない。
あるトヨタ系正規ディーラーで聞くと、「任意保険に加入して割引率が半分ぐらいを過ぎるとKINTOに任意保険が含まれるメリットは薄れるといえるでしょう」と説明してくれた。

なおホンダの個人向けカーリース「楽まる」では、任意保険は原則利用料金プランには含まれず、各自で加入するのが原則となっている。
KINTOは3年なのに、なぜ残価設定ローンは60回払いで比較しているのかと疑問に思う人も多いかもしれない。それは、日本車の中でも中古車人気の高いプリウスは60回払いでローンを組みながら、初回車検前後(つまり初度登録から3年)のタイミングで下取り査定額で残債処理して次の新車に乗り換えるのがベストとされているから。下取り査定額でまず残債処理は可能であり、ケースによってはお釣りが出る可能性が高い。
あるトヨタ系正規ディーラーでは、新型プリウスの3年後の残価率を41%としていたが、よほど現車の状況が悪くない限りは実質残価率、つまり初度登録後3年経過時点での中古車相場を予測すれば、新車時車両本体価格の41%を超えるポテンシャルを持っているといえる。

また、KINTOでは解約金フリープランのほか、初期費用フリープラン(申し込み金がいらない)では月額利用料がぐっと安くなり、5年や7年プランも選べるが中途解約金が発生してしまう。KINTOの利用メリットをどう見るかで判断がわかれるところだが、筆者としては残価設定ローンを60回払いで組んだほうがフレキシブルに動くことができるので魅力的に映る。
人気の高い新型プリウスであり、それに乗る人のカーライフもさまざまということを考えると、新型プリウスを手に入れる方法が多様化しているのも納得できるし、どれがベストとも言い切れないのもまた現実なのかもしれない。