この記事をまとめると
■横断歩道では歩行者が優先■車両がルールを守らなかった場合「横断歩行者妨害」や「幼児等通行妨害違反」に該当
■「幼児等通行妨害違反」の内容について詳しく解説する
横断歩道での歩行者優先は浸透してきた
信号のない横断歩道にて歩行者が渡ろうとしているとき、車両は一時停止をするなどしなくてはならない義務があることは、近年広く知られるようになっている。
参考:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/oudanhodou/info.html
参考までに「横断歩道等における歩行者等の優先」に該当する道路交通法の条文を引用すれば、以下の「第三十八条」となる。
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。
整理すると、信号のない横断歩道を通過する場合、歩行者がいなければそのまま走って問題ないが、歩行者が確認できたときは一時停止ラインで止まれるような速度に落とす必要があり、歩行者が横断をしているのであれば一時停止する義務があるということだ。
このルールを守らない場合、「横断歩行者妨害」という違反行為になる。罰則は3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金、反則金は普通車9000円・二輪車7000円・大型車1万2000円。違反点数は2点となっている。
ここまでは、メディアや警察などによる啓もう活動で知られてきているが、横断歩道における歩行者妨害よりも、さらに気をつけなければいけないのが「幼児等通行妨害違反」だ。
幼児などはつねに保護すべき対象となっている
道路交通法においては、身体障害者や幼児などが通行または歩行しているときは,一時停止、または徐行してその通行を妨げないようにしなければならないと定められている。そのルールに違反すると「幼児等通行妨害違反」となる。
具体的に何が違反となるのかは、道路交通法 第七十一条(運転手の遵守事項)に明記されている。該当する部分を引用してみたい。
二 身体障害者用の車が通行しているとき、目が見えない者が第十四条第一項の規定に基づく政令で定めるつえを携え、若しくは同項の規定に基づく政令で定める盲導犬を連れて通行しているとき、耳が聞こえない者若しくは同条第二項の規定に基づく政令で定める程度の身体の障害のある者が同項の規定に基づく政令で定めるつえを携えて通行しているとき、又は監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること。
二の二 前号に掲げるもののほか、高齢の歩行者、身体の障害のある歩行者その他の歩行者でその通行に支障のあるものが通行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行を妨げないようにすること。
二の三 児童、幼児等の乗降のため、政令で定めるところにより停車している通学通園バス(専ら小学校、幼稚園等に通う児童、幼児等を運送するために使用する自動車で政令で定めるものをいう。)の側方を通過するときは、徐行して安全を確認すること。
違反行為の名称は「幼児等通行妨害違反」となっているが、対象となるのは幼児だけではない。法律の文言を読めばわかるように、幼児等という言葉には、未就学児を示す幼児だけでなく、児童(小学生)、身障者、高齢者、怪我人なども含まれる。

横断歩行者妨害と異なるのは、どんなところでも、幼児等通行妨害違反は起きうるという点だ。たとえば、視覚障害者が横断歩道ではない場所で道路を渡ろうとしているときは一時停止するなどして通行を妨げないようにする必要がある。また、保護者と一緒ではない幼児や児童が歩車分離されていないような道を歩いているときも徐行をするなどすることが求められていると理解できる。
なお、この違反における反則金は普通車7000円・二輪車6000円・大型車9000円。
春は幼児や児童の生活環境が変わることで事故が増える季節でもある。幼児等の安全を守るという意識をドライバーはあらためて意識したい。