この記事をまとめると
■ボクスターは1996年にポルシェのミッドシップスポーツカーとしてデビューした人気車種



■ミッドシップと水平対向エンジンによるダイナミックな走りが気持ちいい



■ボクスターはポルシェらしいピュアなスポーツドライビングを満喫できる



1990年代末から2000年代初頭のカーシーンを彩ったボクスター

1993年のデトロイトモーターショーで、ポルシェは「オープン2シータースポーツカー」のコンセプトカーを発表しました。その3年後、コンセプトカーのスタイリングをほぼ踏襲した新型車が発売。それが初代ボクスターです。



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クルマのことをよく知る人たちは「久々のポルシェのミッドシップカーだね!」と懐古。ポルシェの歴史を知らない若いコたちは「カッコいいオープンカー!」と賞賛。かように、世界中のクルマファンから絶賛されたボクスターの歴史を振り返ってみましょう。



デビュー当初は最高出力205馬力の2.5リッター水平対向6気筒エンジンを車体中央に搭載するベースグレードの「ボクスター」のみでしたが、1999年に最高出力252馬力の3.2リッターエンジンを積んだ高性能版「ボクスターS」を追加。その翌年には、ベースグレードの2.5リッターエンジンは2.7リッターに拡大されました。ちなみに、ふたつのグレードにはマニュアルトランスミッションと5速ATの「ティプトロS」を選択できましたが、マニュアルの場合、ボクスターは5速MTでボクスターSは6速MTでした。



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ポルシェ・ボクスターのエンジン



2002年にマイナーチェンジが行われ、前後バンパーやリヤウイングの形状が若干変更されるとともにウインカーレンズをクリア化。そして、それまでビニール製だったリヤスクリーンが熱戦入りのガラスへとチェンジ! この変更はオープンカーファンを歓喜させたのですが、逆に初期型ボクスターオーナーはかな~りがっかり(いや憤怒か!?)。



そして2004年、ボクスターはフルモデルチェンジ! 初代で大不評だった“涙目”ヘッドライトがフォグランプ一体型に変わるなど、外観を大幅にリフレッシュ。



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ポルシェ・ボクスターのフロントスタイリング



で、初代ボクスター(986型)から987型へと変わったボクスターは、このモデルライフ中にエンジンをさらに充実。事実上これが完成形と言っても良いほどのラインアップで、この2代目が世界中のスポーツカーファンを魅了したばかりか、ポルシェという会社=ブランドも支えたのでした(なにしろ発売初年度の販売台数が約1万6000台、その後も年間2万台オーバーを記録!)。



ボクスターは、2012年に981型へフルモデルチェンジしますが、エンジンが拡大するとか(2.7リッターと3.4リッターへ)、さらに出力を高めたモデルや軽量化モデルを追加するとか、昔からポルシェが行っている“ちょこちょこアップデート”をするばかり。



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ポルシェ・ボクスターのフロントスタイリング



その後、2016年には現行の982世代がデビューします。エンジンは2リッターと2.5リッターの4気筒ターボエンジンへとダウンサイジングしてしまいます。「スポーツカーのエンジンは多気筒・大排気量・自然吸気に限る!」を謳う一部のコアなスポーツカーマニアは超落胆しますが、世のなかのごく普通のスポーツカー好きは、ターボだろうが4気筒だろうが2リッターだろうが気にしません



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ポルシェ718ボクスターのフロントスタイリング



「ポルシェのオープンカー」という威力抜群のキーワードのおかげで4世代にわたって40万台近く生産されたボクスターは、1990年代末から2000年代初頭のスポーツカーシーンを活性化させた超人気ピュアスポーツカーだったのは間違いありません。



ポルシェだからと“気張らない”個性がボクスターの魅力

ボクスターの魅力はなんといっても、そのダイナミックかつピュアな走りです。それはひとえにエンジンをボディ中央に搭載するという、ミッドシップレイアウトの成せる業。



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ポルシェ・ボクスターの透過イラスト



6気筒エンジンを縦にしてそのうえトランスアクスルを進行方向に一直線に繋いで積むという合理的なレイアウトのおかげで、カーブを曲がる際にヨーイングがつきやすく一度ついたヨーイングも収まりやすいという運動特性を実現しているのです。早い話、ワインディングロードでは素速く、気持ちよくカーブを曲がれて、楽しく走れるってワケ!



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ポルシェ・ボクスターの走行シーン



その卓越した走りを可能にしているのが、水平対向6気筒エンジン(しかも初の水冷!)です。俗にいうフラット6はエンジンそのものの重心が低く、しかもポルシェの設計者はそのエンジンを限りなく低く搭載したため、先ほど述べた良好な運動特性がますます向上しているってワケです。



おっと、もちろん低回転から高回転までパワフル&スムースな出力特性もボクスターの小気味いい走りには欠かせませんし、また、オープンモデルとして専用に設計されたボディ剛性の高さもダイレクトかつリニアなハンドリング=走行性に貢献しているのは間違いありません。



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ポルシェ・ボクスターの走行シーン



ここまで読んだ賢明な読者ならば、「水平対向6気筒エンジンのボクスターが極めてピュアな走りを実現しているんだから、さらに小さくて軽くなった4気筒エンジンを搭載したボクスターならもっともっともっと速く楽しく山道を走ることができるだろ!?」と思ったに違いありません。そう、まさにそのとおり! ボクスターは1996年のデビューから現在まで、適切なアップデートを重ねつつ、優れた走行性能をその卓越したパッケージングのボディに秘めていたのです。



ところが世間の目は、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)という極め付けに強烈なアイデンティティを持った911にばかり注がれているのが、筆者には歯痒くてたまりません。



いや、決して911の走りが良くないといっているのではありませんよ。むしろ大パワーを確実に路面に伝えるRRならではの走りは、まさしくポルシェしかあり得ませんから! そうしたポルシェならではのピュアスポーツドライビング=運転する楽しさを、ボクスターは911よりも素直に体感できるということをメッセージしたいのです。



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ポルシェ・ボクスターと911のリヤスタイリング



セカンドマーケットをのぞいてみると、初期型ボクスターは200万円くらいで並んでいますし、初代であれば100万円そこそこでも見つかります(それに対し911の中古は年式やモデルを問わず高いのが現状)。グッドコンディションのボクスターをリーズナブルにゲットし、ポルシェならではのピュアな走りを満喫してはいかがでしょうか。

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