この記事をまとめると
■インドネシア国際オートショーが2023年8月10~20日の期間で開催された



■日本車のシェアが約9割のインドネシア市場だが、会場では中国・韓国系メーカーも出展



■日本メーカー以外のほうが勢いがあり、現地の関心が薄れていることに不安を感じた



日本メーカーの存在感が年々薄れている危機

2023年8月10日から20日までの会期にて、インドネシアの首都ジャカルタ近郊のICE(インドネシア・エキシビジョン・コンベンション)において、GIIAS2023(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)が開幕した。



コロナ禍となってからは、2020年、2021年は開催中止とし、昨年からショーの再開を行っているという事情があるものの、基本的には毎年開催のオートショーとなる。



そんなGIIASは、再開後はそれまでとショー会場の風景が変わったのだが、その傾向は今回会場を訪れても同じであった。

新車販売台数ベースで行くと、日本車の販売シェアは9割超と圧倒的に多く、インドネシア市場は日本車にとって「最後の楽園」とも表現できるのだが、いざショー会場に入ると、中国や韓国といったメーカーの存在が際立つこととなっている。その理由は日本車の出遅れイメージが強いBEV(バッテリー電気自動車)を積極的に取り組んでいることが大きいようだ。



日本車のシェアが9割にも及ぶ「最後の楽園」で感じた危機! イ...の画像はこちら >>



BEVを得意とする中国メーカーはすでに昨年でも、ウーリン(上海通用五菱汽車)、GWM(長城汽車)、DFSK(東風小康汽車)、チェリー(奇瑞汽車)、MG(上海汽車系ブランド)が会場でブースを構えていたが、今年は新たに、すでにタイの首都バンコク辺りでは価格の安い「ローコストBEV」として注目されているNETA(哪吒汽車)と上海汽車系のマクサスがブースを構えた。



日本車のシェアが9割にも及ぶ「最後の楽園」で感じた危機! インドネシアのオートショーで存在感が薄くなっている!!
GIIAS2023のNETA(哪吒汽車)ブース



韓国系ではヒョンデが、今年は三菱自動車の対面に広大なブースを構え、三菱の東南アジア市場最大のヒットMPV(多目的)モデルといえる「エクスパンダー」の派生となる、クロスオーバーSUV色の強い「エクスパンダークロス」のガチンコモデルである「スターゲイザーX」をショー会場で初披露した(しかも三菱のカンファレンスの直前)。とにかく、中国系も韓国系も勢いというものを会場内で感じる。



日本車のシェアが9割にも及ぶ「最後の楽園」で感じた危機! インドネシアのオートショーで存在感が薄くなっている!!
GIIAS2023で初公開されたヒョンデ・スターゲイザーXのフロント



インドネシア国外の企業がインフラを支援する可能性もある

会場では、「インドネシアでBEVといってもそのニーズはジャカルタやその周辺に限った話といっていいでしょう。全インドネシアで見れば、電力供給網の不備や、それに伴う充電インフラの絶対的な不足もあり、まだまだビジネスにはなりません」といった話が日本人の業界関係者からは出ているとのことであったが……。



インドネシアは人口2.7億人で国民の平均年齢も日本より若い(日本より15歳若い)。1年ぶりにジャカルタを訪れると、空港から直結する高速道路など、多数の新規高速道路が開通しており、ジャカルタ市郊外のショー会場までは、従来に増して格段にアクセスが良くなり、ストレスもなく会場最寄りのホテルに到着することができた。



日本車のシェアが9割にも及ぶ「最後の楽園」で感じた危機! インドネシアのオートショーで存在感が薄くなっている!!
インドネシア・ジャカルタの街中



つまり、日本と比べれば、物事が進むスピードが格段に速いのである。日本と同様の感覚でインフラの普及スピードを考えていると、気が付くとインドネシア国内の電力供給システムがブラッシュアップされ、国中がBEVに溢れることになるといったことも夢物語では済まなくなるかもしれない。



街なかの現実世界とショー会場では見える風景が異なるので、「日本車はまだまだ大丈夫」と思いがちだが、「インドネシアは電力供給が追い付かないからBEVは商売にならない」といっているうちに、インドネシア政府の政策実行スピードに中国メーカーがイライラしてしまえば、国営ファンドなどから資金調達して自前でインドネシア国内に充電インフラを整備してしまうかもしれない。



日本車のシェアが9割にも及ぶ「最後の楽園」で感じた危機! インドネシアのオートショーで存在感が薄くなっている!!
GIIAS2023の三菱のブース



筆者が初めてインドネシアのオートショーの取材を始めたころに比べれば、明らかに会場内における日本メーカーの存在感は薄らいでいるのは間違いない。

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