この記事をまとめると
■マツダがロータリーエンジンを発電機としたシリーズ式PHEVのMX-30 Rotary-EVを発売■新開発のロータリーエンジンは排気量830ccの1ローターで最高出力53kW
■印象的な2トーンカラーボディの特別仕様車「Edition R」も設定される
動力にはなっていなくともロータリーの復活に喝采
「わたしらしく生きる」をコンセプトに、純粋で心地よい走り、親しみやすさを感じるデザインや、温かみのある素材使いによる心が整う室内空間などにより、創造的な時間と体験をユーザーに提供してきたMX-30に、かねてから存在を示唆していた、ロータリーエンジンを発電機として使用する電動車がついにラインアップに加わる。
ひとことで表現すると、EVをベースにロータリーエンジンによる発電機構を追加したシリーズ式のPHEVとなる。駆動力を生み出すのは高出力モーターのみで、マツダにとってあくなき挑戦の象徴であり、技術的なアイデンティティでもあるロータリーエンジンを発電専用に使っているのがポイントだ。
最高出力125kW(170馬力)、最大トルク260Nmのモーターと高出力ジェネレーターと発電用ロータリーエンジンを同軸上に配置することで、極めてコンパクトな電動駆動ユニットを実現。これとフロア下に搭載した17.8kWリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、WLTCモードで最大107kmのEV航続距離を達成している。

ドライブモードは、バッテリーにためた電力でできるだけ長く走行する「EVモード」、ドライバーの操作に応じた加速を提供する「ノーマルモード」、ユーザーがバッテリー残量を自由に設定できる「チャージモード」の3つから選べる。

外部電源からSOCが20%から80%まで充電する際にかかる時間は、6kWの普通充電では約25分、40kW以上の急速充電では約1時間50分という。

50リットルという大きな容量を確保した燃料タンクにより、電力とガソリンを併用したときに長い航続距離を実現しているのも特徴だ。さらに、1500Wの給電機能を備えたV2Lや、別売の機器に接続してのV2Hにも対応しており、最大でバッテリーのみで1.2日分、ロータリーエンジンによる発電分を加えると約9.1日分の電力供給が可能となる。
見た目からロータリーエンジン搭載車とわかるところは少ない
気になるロータリーエンジンは、まったく新たに開発されたものとなり、最高出力は53kWであることが明らかにされている。排気量830ccの1ローターで、ローター幅は76mmとRX-8の13Bレネシスよりも4mm小さく、創成半径は120mmに抑えられており、EVモデルと同じ車体フレームに搭載できて、かつ狙った出力性能を発揮できるものとなる。

ハイブリッド燃費の公表値は15.4km/Lとなっているが、件のニューモデルは、EVとしての使い方を拡張したものと認識すべき。107kmものEV走行可能距離を実現しているのだから、日常の大半のシーンをBEVとして使うことができ、必要になった場合には、ロータリーエンジンによる発電で、安心して長距離ドライブを楽しむことができる。
デザインについて、既存モデルとの差別化はそれほど多くはない。
エクステリアでは、アルミホイールが専用デザインとなるほか、ロータリーと電動化の「E」をモチーフとしたデザインに、自らエネルギーを生み出すイメージのオレンジの挿し色をキーカラーとしたフェンダーバッジと、「e-SKYACTIV R-EV」のリヤバッジが配される。

インテリアカラーは専用のナチュラルモノトーン内装のみで、リサイクルPET糸を混入したデニム調ファブリックを生地に用いるとともに、グレーのセンターアクセントとパイピングを配したシートのほか、MX-30の特徴であるインナードアトリム上端やセンターコンソールのコルクも専用となっている。

さらに、特別仕様車の「Edition R」は、印象的なマローンルージュメタリックをあしらったツートーンカラーとなり、専用のエンボス加工ヘッドレストを備えたシートや、専用のステッチとタグとプレートを配したカーペットが標準で装備される。

さらに、付属する専用のキーフォブは、カーブの曲率をローターに合わせたり、溝の幅をアペックスシールと同じに合わせたという、マニアにはたまらないコマネタがいくつもあるというから楽しみだ。

車両価格は423万5000円~491万7000円で、残価設定クレジットの残価率はエンジン車と同等の設定とされる。発売は11月初旬以降となる見込みという。