この記事をまとめると
■ボルボC40/XC40 リチャージの駆動方式がFFからRRに変更された■販売中の現役モデルがモデルライフの途中で駆動方式を変更するのは珍しい
■現在販売中のモデルで後輪駆動にして欲しい車種をいくつか考えてみた
ボルボC40/XC40リチャージの華麗なるキャラ変
ボルボのC40とXC40のBEV版のシングルモーター仕様車がFFからRRに変わったことに、多くの業界関係者が驚いた。販売中の現役モデルが途中で駆動方式を逆転するなんて前代未聞のことだ。主な理由は前輪駆動よりも後輪駆動のほうが走りがよいからという、至極まっとうなものだが、本当にやってしまうとはビックリ仰天だ。
もともとC40とXC40のBEV版にはAWDがあり、前後にモーターを搭載していたので、やろうと思えばできなくはないわけだが、フロントを省けばOKという簡単な話ではなく、電子制御デバイスの効きやハンドリングなどの再検証が必要になるので、かなり手間がかかることには違いない。
そういえば、同じ理由で内燃エンジン車ではFFが主体のVWとアウディも、BEVでは積極的に後輪駆動を採用していたり、日本でもホンダeが走りのよさと小まわり性を重視して後輪駆動としたという話もある。
もちろん、後輪駆動のほうがアクセルを踏むと前からひっぱられるのではなく、後ろから押し出してくれる感覚になり、それだけでも走りの気持ちよさはがぜん高まるだけでなく、コーナリングでの回頭性が鋭くなり、アンダーステアが少なくなるなどハンドリングもよくなって、よりダイナミックなドライビングが期待できる。アクセルレスポンスに優れるBEVならなおのことだ。

件のボルボの場合は、レイアウトの自由度の高いBEVなればこそ、やろうと思えばこうしたことも実現できなくなかったわけだが、そこで、できるorできないは抜きにして、もし後輪駆動にできるものなら、ぜひこのクルマでやって欲しいという車種をいくつか考えてみた。
まっさきに思い浮かんだのが、BMW1シリーズだ。1シリーズの場合は、ぜひFRに戻してほしいという話。初代と2代目が、このクラスで唯一のFRだったからこそ大いに支持されたに違いない。とくに日本では。
ところがFR時代の1シリーズは、後席の居住空間や荷室が狭いという指摘も少なくなかったそうだ。そこでBMWは、MINIのプラットフォームを用いて、1シリーズとその派生モデルをFFにしたほうが合理的と判断した。

結果、海外ではあまり駆動方式の変更の影響はないようだが、そこにこだわる層の多い日本では販売がだいぶ落ち込んでしまった。
同様に、2シリーズグランクーペもFRのほうが似合うとは思うのだが、上に4シリーズグランクーペがあるのと、登場時すでにFFベースだったので、不思議と1シリーズほどFR云々とは思わない。同じくX1やX2もなぜかあまり気にならない。やっぱり1シリーズなんだよね。
流麗なクーペやスポーティなモデルには後輪駆動が似合う
さらに、メルセデス・ベンツCLAだ。AクラスやBクラス、GLAやGLBがFFベースなのはいいが、CLAだけは、なんだかあれほど流麗なシルエットなのにFFというのに個人的には微妙に違和感をずっと覚えている。

願わくはCLSの弟分として(最近はひょっとしてAMG GT 4ドアの弟分なのかという気もしている…)、Cクラスをベースに後輪駆動にしてくれるといいのだが……。
一方、日本勢では、ボルボと同じようにbZ4Xとソルテラはぜひやって欲しい。この2台もFWDと4WDがあり、完成度は4WDのほうが高いことはさておいて、いずれも概ねそつなくまとまっているものの、どうも面白みがなくて話題性にも欠ける。

そこでぜひ、2WDのほうを後輪駆動にすることを提案したい。そうすれば一気に注目度も高まるはずだし、走りもよくなって評価が爆上がりするかもしれない。
ところで、レクサス版のRZはさすがは別物で、モトが同じでもここまで変わるのかとつくづく思ったものだが、そのポイントが四輪駆動力システム「DIRECT4」と高出力モーター「eAxle」によるハンドリングにある。

あとはマツダ6について、どうも将来的にどうなるか微妙になってきたけれど、後輪駆動にする宣言をしたこと自体に価値があると思うので、とやかく言わないでおきましょう。
一方で、たとえばシビックタイプRやスイフトスポーツあたりのガチなFFスポーツも、後輪駆動になったらそれはそれで楽しそうだが、この2台はFFでここまでやったことに価値があるし、あまりにFFのイメージが強すぎて、たとえFRになってもなんだか素直に喜べない気がする。

その点、後輪駆動になれるものならぜひなって欲しいのがコペンだ。

このデザインでリトラクタブルハードトップまで身につけていて、走りもすでに十分に楽しいクルマに仕上がっているし、GRのように新しいことにもチャレンジしているのも大したものだと思うが、もし後輪駆動になってくれるならそれはそれで大歓迎だ。