この記事をまとめると
■ジャパンモビリティショーでは数々の商用電動モデルがお披露目された■電動化においては、軽商用車のBEVモデルも展示されるなど商用車のほうが現実的に進んでいるように見える
■商用車の電動化は、導入企業側にとってもコスト削減につながるという期待感がある
ジャパンモビリティショーで見た商用車の未来
10月28日から11月5日の会期にて、ジャパンモビリティショーが開催された。単なるトレードショーでもなく、産業博覧会でもない、さまざまなクルマに関する出展があり、いままでのスタイルでの「モーターショー」が、少なくとも先進国でオワコン化しているなかでは、新しい試みとして魅力あるショーになっていくポテンシャルを持っているものと考えている。
会場を訪れた人に話を聞いてみると、「商用車のほうが車両の電動化は現実的に進んでいるように見えた」という声を多く得た。
商用車でも車両の電動化が進むなか、「大型トラックはFCEV」というのが世界的にスタンダードになろうとしている。その点では、いすゞや日野はトレンドをトレースしているといえよう。一方で、現状のICE(内燃機関)技術で燃費や環境性能の高さを実現する技術力を持っているダイムラー傘下の三菱ふそうは、あえてICEを搭載して日本メーカーの強みを最大限に具現化しているといえよう。
小型トラックでは「2024年問題(労働時間の規制強化に伴う問題)」への対応として、普通自動車免許で運転できる車両を展示しながら、BEV(バッテリー電気自動車)タイプの車種も展示していた。いすゞエルフ、日野デュトロ、三菱ふそうキャンターともに、すでにBEV市販モデルをラインアップしている。
いすゞは大型路線バスタイプのBEVとなる「エルガEV」を世界初公開しており、待ち望まれていた名実ともに『日の丸BEVバス』の実車をついに見ることができた。

軽自動車のEVバンが普及するのは時間の問題
乗用車については、各メディアでは次世代EVなどとして報じていたが、依然としてコンセプトカーベースのモデルが多く目立ち、商用車ブースの現実世界とは対照的に映った人が多かったようだ。
ただ、その乗用車ブースでも異彩を放っていたのが、軽自動車規格のBEVキャブオーバーバンである。スズキブースには、トヨタ、ダイハツ、スズキで共同開発したBEV軽商用バンとして、「eエブリィ」が展示されていた。

トヨタ、ダイハツ、スズキのBEV軽商用バンは2023年度中に、N-VAN e:は2024年春ごろに発売予定で、交換バッテリー式軽EVは11月から実証実験がヤマト運輸とともに行われている。
世界的にも、路線バスやタクシーなど、はたらくクルマの車両電動化が積極的に進められているケースが目立つ。日々街なかを走っているのだから、このカテゴリーから電動化させたほうが環境負荷低減に効果的なのは明らか。
また、実際に車両を使う企業からしても、昨今の世界情勢を見れば、ガソリンや軽油などの燃料代の高値傾向が是正されることはまず期待できない。自社敷地内でソーラー発電などによる電気を使えば、企業イメージアップに貢献するだけではなく、その後のコスト負担軽減にもつながるというもの。

商用車は乗用車とは異なり、地球環境問題といった側面以上にコストというキーワードでBEVやFCEVなどが注目されている、その結果として、市販もしくは市販予定車が多数展示されることになり、リアルイメージが増すことになったようである。