この記事をまとめると
■ロシア初のEV「Avtotor Amber」が世界一醜いクルマとして話題になっている■Avtotor Amberに使用されるシャシーとモーター、バッテリーパック、電子機器のすべてはロシア製であるらしい
■開発を担当したモスクワ工科大学は「テスラキラー」として自信満々な様子だ
ロシアからとんでもないクルマが現れた!
「世界で一番美しいクーペ」といえば、1977年に発売された初代BMW 6シリーズのことを差す場合が多く、また最近ではDSオートモビルの「DS 4」が、2022年1月にパリで開催された第37回国際自動車フェスティバルにて「世界でもっとも美しいクルマ」に選ばれたらしい。
とはいえ、このあたりについては異論もあろう。古いクルマでいえば、E24こと初代BMW 6シリーズよりも「……ディーノ246GTのほうが美しくね?」と私なんかは思うし、最近のクルマでいうと、DS 4以上に美しいヤツも何かしらあったような気がする。
しかし、「世界で一番醜いクルマ」といえば、ほぼ満場一致でコレに決まりだろう。ロシアのAvtotorなる自動車メーカーがモスクワ工科大学に開発を依頼し、とりあえず完成したと主張する同国初のEV「Avtotor Amber」である。
……いったい全体どういう神経をしていれば、ここまで不格好なクルマを作ろうと思えるのか? また実際に作れてしまうのか? 筆者には皆目検討がつかない。ロシア人の頭のなかと美意識は、私にとっては永遠の謎である。
こんなのじゃさすがにテスラには勝てないだろ!
このAvtotor Amber、顔はほとんどウマヅラハギだ。というか、通常は5cmぐらいであるウマヅラハギの身幅を1.8mぐらいまで無理やり広げ、体長も4mだか5mぐらいにして、ついでにおちょぼ口もワイド化させ、そこにタイヤ4つを付けたうえで全身を赤く塗れば、おおむねAvtotor Amberになるだろう。もしくはコインランドリーにある洗濯機を横倒しして赤く塗れば、ほぼコレになる。

まぁAvtotor Amberというクルマのスペックはまだぜんぜんわかっていないのだが、使用されているシャシーとモーター、バッテリーパック、電子機器のすべてはロシア製であるらしい。
1996年にロシアの飛び地であるカリーニングラードで創業されたAvtotor社は、以前はBMWやGMのクルマをOEM生産していたようだが、2022年2月にロシアがウクライナへの侵略を開始して以来、西側諸国の自動車メーカーやサプライヤーは相次いで撤退。そのため、このAmberなるロシア初のEVも、純国産パーツで作らざるを得なかったのだろう。じつは中国製部品を使っているのに「ロシアの国産部品なのだ!」と嘘をついている可能性もあるが。

Avtotor Amberはカリーニングラードにある工場で2025年までに生産開始となる予定で、年間5万台が生産されるらしい。……純ロシア製EVを買うロシア人が年間に5万人もいるのかどうか知らないが、まぁ人口約1億4000万人の国なので、5万人ぐらいは買うのかもしれない。ロシア人も内心は「じつはテスラが欲しい」と思っていそうだが。
で、コレの開発を担当したモスクワ工科大学は、報道によればAvtotor Amberのことを「テスラキラー」と称しているらしい。何をどう勘違いすれば、この洗濯機もどきでテスラを撃破できると確信できたのか? 筆者はむしろそこに興味がある。

いずれにせよ「世界で一番醜いクルマ」の座は、このたび“醜車界”に彗星のように現れたAvtotor Amberが射止めることが決定した。これまで醜車界のナンバーワンはフィアット・ムルティプラの前期型であるとの見解が一般的だったが(僕ぁ好きですけどね)、Avtotor Amberと比べれば、ムルティプラ前期型など「絶世の美女または美男子」にも見えてくる。

世の中、何にだって上には上がいるのだなぁ……ということを改めて痛感させられた、このたびのAvtotor Amber登場であった。