この記事をまとめると
■クルマの平均使用年数が年々伸びており、40年間でクルマの平均寿命が1.5倍にまでなった■使用される部品の耐久性やデザインのクオリティが上がったことが大きな要因だ
■価格が上がっているので、少しでも長く乗って出費を抑えたいという人も増えている
最近は1台のクルマを長く乗る人が増えた
最近はクルマの平均寿命に相当する平均使用年数が延びている。乗用車の場合、1980年代の前半までは平均使用年数が9年以下だった。それが1985年に9年を上まわり、2001年には10年を超えた。
これに伴って、クルマを乗り替える周期も延びている。1990年から2001年頃までは、新車を購入して売却するまでの期間が5~7年だったが、近年では7~9年に達する。1台のクルマを長く使う傾向が強まり、平均使用年数も延びた。
そして、1台のクルマを長く使うと販売総数は下がる。その結果、2023年の国内販売総数は約478万台で、もっとも多かった1990年の約778万台に比べると、約61%に留まる。
1台のクルマを長く使うようになった背景には、複数の理由がある。まずは耐久性の向上だ。1970年代までに生産された乗用車は、10年間も使うとかなり劣化が進んだ。ボンネットやルーフは色褪せて、ボディ下側のサイドシルなどには錆も発生した。

それがいまは、購入してから10年を経過してもさほど古さを感じない。現行型の日産エルグランドは発売が2010年、レクサスISは2013年だから、初期モデルは購入から10年以上を経過するが、いまでも普通に走っている。

さらに、2002年に発売された先代(初代)コペン、2003年のRX-8などは、初期型の登場から20年を経過するが、街なかで見かけても驚くことはない。これも昔に比べて耐久性が向上したからだ。
各所が熟成されたことで寿命が伸びた
1台のクルマを長く使うようになったふたつ目の理由は、外観のデザインや動力性能の向上が成長期を過ぎて安定期に入ったことだ。先述の20年以上前に発売された先代コペンやRX-8を見ても、古臭く感じることはないだろう。動力性能にも不満は生じない。

しかし、R30型6代目スカイラインが発売された1981年の時点で、20年前の1961年型の初代スカイラインは立派なクラシックカーで走行性能も大幅に違っていた。2000年以降はデザイン、動力性能ともにあまり進化しないから、古さを感じさせず違和感も生じにくいのだ。

このほか、日本で新車として売られる車両の40%近くを軽自動車が占めるなど、クルマが日常生活のツールになったことも影響を与えた。

クルマの値上げも影響を与えている。いまのクルマは安全装備と運転支援機能が充実したこともあり、15年前の同じ車種と価格を比べると、1.2~1.4倍に高まった。そうなると乗り替えの周期を長くして、購入する台数と出費を抑えたいと考える。
これらの理由でクルマの乗り替え周期が長くなり、平均使用年数も延びたが、安全装備や環境/燃費性能の分野ではいまのクルマは進化が著しい。交通事故を防いで燃料代も減らし、環境に優しいクルマを求めるなら、新車に乗り替えることも大切だ。