この記事をまとめると
■日本のトラックメーカーは4社で展開されてきた



■最近になって各社統合する動きが加速している



■目的は経営の合理化や生産の効率向上だ



経営の合理化や生産の効率向上のために統合する動きが加速

日本の自動車市場は縮小傾向にある。これは少子高齢化で人口減少と労働人口の減少、さらに車齢の長期化なども影響している。最近はコロナ禍と半導体不足などの影響もあり、一段と厳しい状況にある。

近年では売れないというより、納期が長期化してなかなか手に入らない状況が続いてきた。これは乗用車もトラックも同じ状況だ。



これまで日本のトラックメーカーはいすゞと日野、UDトラックスと三菱ふそうの4社で展開されてきた。そもそも、かつての日野自動車はいすゞの工場が独立したものでルーツは同じ。さらに、いすゞからは日産なども暖簾分けのような形で誕生しているから、UDトラックスの前身である日産ディーゼルもいすゞとは関連がある。



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そうやって発展してきた日本のトラックメーカーであるが、経営の合理化や生産の効率向上のために統合する動きが加速している。



三菱ふそうは、三菱自動車から独立したトラックメーカーだったが、ダイムラートラックスの傘下に入り、ダイムラートラックスのアジア部門を代表するブランドになった。



そして、UDトラックスは日本デイゼル工業という会社がルーツで、日産自動車の傘下に入って日産ディーゼルとなった時代もあったが、ボルボが規模拡大を狙って買収してUDトラックスとなり、いすゞがボルボと戦略的提携を締結し、UDトラックスをボルボから買収した。



残る日野自動車はトヨタの子会社であったが、三菱ふそうと経営統合する話が進んでいる。昨今のダイハツ同様、長らくクルマ作りを続けてきた結果、法令遵守よりも開発のコストダウンやスピードアップが優先されてしまう傾向になり、不祥事が続いたため、トヨタから見限られてしまったようだ。



統合のあとに出てくる課題とは

UDトラックスも日野も経営統合や子会社化ではすぐにブランドが消滅するようなことはないが、開発や生産も合理化、効率化が進められていくのは当然のことだ。やがてはグリルのデザインが違うだけの双子車のような存在になってしまうのではないだろうか。

そうなると実質的に国内のトラックメーカーは2社になってしまうことになる。



三菱ふそうは、ダイムラートラックスグループ内での効率化から、すでにエンジンをダイムラー製にスイッチしており、日野自動車もやがては同じエンジンを搭載するようになる可能性が高い。せっかく両社とも高いエンジン技術をもっているだけに、開発を続けていけないのはもったいないとも思うが、横並びで開発を続けるのもコストがかかりすぎて無駄が多く、コスト回収が難しいのだ。



メカニックの確保もままならない時代がやってくるから、これからトラックメーカーや販売網はメンテナンス性をどう確保するかも問題になっていくだろう。



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UDクオンのフロントスタイリング



そう、自動運転によってドライバー不足はある程度カバーできたとしても、メカニックによる修理作業は自動化できない。生産工場は工業ロボットにより自動化が進んでいくが、修理は1台1台状況が違うだけに自動化するのは難しいのだ。



最近のクルマは部品のモジュール化が進んで、部品の在庫や交換が簡素化されているが、今後メカニックが不足すれば、修理待ちでトラックの稼働率が下がる恐れもある。ディーラー網の再編にも注目していきたいところだ。

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