この記事をまとめると
■接触はしていないが他車などが原因で単独事故が発生したように見える「誘因事故」



■相手方の行為によって事故が発生したことを証明できれば誘因事故として認められる



■万が一のことを考えるとドライブレコーダーで映像を残しておくことが重要



相手がいてもいなくても事故を起こしたときは警察に通報

直接相手のクルマやバイクなどに接触はしていないものの、交通事故を起こしてしまったという話を聞くことがあります。このような事故の現場を見ると、単独事故(自損事故)のように見えることがほとんどです。しかし、じつはほかのクルマやバイクなどが原因で自損事故を起こしてしまったというパターンもあります。

このような事故は誘因事故といわれます。



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この誘因事故を起こしてしまったときは通報する必要はないのでしょうか。また、誘因事故でも相手方の過失を立証することはできるのでしょうか。今回は、誘因事故を起こしてしまったときの対処法や過去の誘因事故の判例などを紹介します。



接触事故じゃなくても交通事故の際は警察に通報する

交通事故を起こしてしまったときは、相手がいない場合であっても、単独事故であっても、誘因事故であっても、警察に届け出なければなりません。交通事故を起こしてしまったときにやるべきことは次のとおりです。



1)負傷者の救護(必要に応じて119番通報)
2)警察への通報(110番通報)
3)保険会社への連絡



これらの通報や連絡は、基本的にどのような事故であっても行う必要があります。



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交通事故の様子



誘因事故と認められるためには因果関係の証明が必要

相手との接触がなくても交通事故の因果関係を認めてもらえるのか?

ここからは、相手に直接ぶつかったり追突したりしたわけではないものの、相手がいたことによって起こしてしまった誘因事故について解説します。



まず結論からお伝えすると、因果関係を証明できれば、誘因事故として認められる可能性は十分にあります。ただし、誘因事故として認められるためには、相手を特定することができたり、相手方の行為によって事故が発生したことを証明したりしなければなりません。



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出会い頭の状況



たとえば、合図をせず急に進路変更をしてきたことに驚いて急ハンドルで避けようとして壁やガードレールにぶつかった、飛び出してきた人や自転車を避けたときに電柱にぶつかったなど、相手の過失によって交通事故が発生したことを証明できれば、相手方に損害賠償請求することが可能です。



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急ハンドルの様子



過去に誘因事故として認められた判例はあるのか?

誘因事故を立証するためには、相手の特定と確実な証拠が必要です。もし、相手を特定することができ、客観的に誘因事故だと証明できる映像や証言などがあった場合、裁判で誘因事故として認められるのでしょうか。



過去の判例を見ると、「接触がないときであっても、車両の運行が被害者の予測を裏切るような常軌を逸したものであって、歩行者がこれによって危難を避けるべき方法を見失い転倒して受傷するなど、衝突にも比すべき事態によって傷害が生じた場合には、その運行と歩行者の受傷との間に因果関係を認めるのが相当」という判例を見つけることができました。



この事故は、歩行者と車両の事故に関する判例です。

判例を簡単に要約すると、接触がない場合であっても、車両の運転者の危険な行動によって歩行者が負傷したことに関係性があるということになります。つまり、誘因事故として認められたということです。



事故の原因を明らかにするためにも証拠となる映像を残しておくことが重要

誘因事故は、単独事故として泣き寝入りしてしまうケースが多いかもしれません。しかし、相手を特定することができ、相手の行為によって発生した事故であると証明することができれば、誘因事故として認められることがあります。



自家用車だけでなく、レンタカーやカーシェア、電動キックボードなど、さまざまな移動手段が増えてきたからこそ、誘因事故で泣き寝入りしないよう、ドライブレコーダーを取り付けておくと安心だといえるでしょう。



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ドライブレコーダー