この記事をまとめると
■自販連と全軽自協から6月単月の新車販売台数がそれぞれ発表された■圧倒的販売台数を占めるトヨタの納期遅延解消の遅れが全体の新車販売台数に影を落としている
■軽四輪乗用車の今後の動向はダイハツの状況がどうなるかにかかっている
6月は登録車・軽自動車ともに前年同月割れ
自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から、それぞれ2024年6月単月の新車販売台数が発表となった。6月単月の販売台数が発表されるということは、2024暦年締めでの上半期(1~6月)の新車販売台数もまとまったことになる。
まずは単月の販売統計を見ていくことにする。
6月は、前述したとおり暦年締め上半期末月となるだけではなく、四半期決算月、そして夏商戦前半戦ともなるので、メーカーや新車販売するディーラーのなかには並々ならぬ思いで販売促進活動を展開してくることがある。すでに新車の納期遅延は多くのメーカーでほぼ解消しており、車種によっては「即納」を声高に叫ぶメーカーも珍しくなくなっている。
2023年はまだまだ納期遅延傾向が目立っていたのだが、その2023年と比較して前年比割れしてしまっていることについては、庶民感覚では政府の増税乱発や、円安などにもよる止まらないインフレなど、社会不安が影響していることは否定できないものと考えている。
全軽自協が発表した2024年6月単月の軽四輪乗用車販売台数は10万773台(前年同期比95.7%)となっている。登録乗用車と状況はほぼ同じとなっているが、社会不安の影響がより鮮明に反映される軽自動車ということを考えると、登録車よりは健闘しているといえるかもしれない。
ましてや軽自動車がふるわない背景にあるのは、出荷再開したもののダイハツの供給体制がいまだに戻りきっていないところもある。それなのに前年比95.7%は繰り返すが健闘しているのは間違いない。

ダイハツとスズキはそもそも新車販売(とくに軽自動車)において「業販比率」が際立って高いことは周知の事実である。街の中古車専業店や整備工場のなかで、正規ディーラーと新車販売協力関係にある店舗が「業販店」と呼ばれている。そして業販店の多くはダイハツとスズキ両方と業販契約を結んでいることが多い。
エンドユーザーレベルでは認証試験問題はそれほど気にされていないようだが、業販店では現時点ではスズキの軽自動車を客に勧めるところも多いようだ(スズキがいまを好機ととらえ囲い込みに活発に動いている結果ともいえるかもしれない)。
2024年下半期は良くも悪くもトヨタとダイハツ次第
ここからは2024暦年締め上半期(2024年1月~6月)の累計新車販売台数を見ていくことにする。
登録車の累計販売台数は123万4102台(前年同期比90.2%)となっている。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が出て外出自粛要請が全国に出るなど、社会が混乱していた2020暦年締め上半期(2020年1月から6月)の累計販売台数とほぼ同じとなっている。
納期遅延傾向は多くのメーカーで収束していると前述したが、圧倒的な国内販売シェアを誇るトヨタでは人気車を中心に新規受注停止や納期遅延が断続的に発生しており、他メーカーほどの回復傾向は見えていない。これが累計新車販売台数に影響を与えていることは否定できない。

つまり、「新車が欲しいなぁ」と考えていても、購入希望車種のなかで希望するトヨタ車の納期が他メーカー車に比べるとやや長めとなってしまっていることも多いので、それほど新車への乗り換えを急いでいない人ならば、「しばらく待つか」といった感じでテンションが下がってしまい、積極的な新車への乗り換え自体を諦める人も出てきている。それが販売台数を伸び悩ませているのかもしれない。
ただし、現状では量販車種を中心に年末までに納車可能な車種が目立ってきており、下半期の登録車販売は期待が持てそうである。
軽四輪乗用車の2024年1月から6月までの累計新車販売台数は56万5975台(前年同期比83.4%)となった。前年比でふるわない理由はもちろんダイハツの出荷停止が影響していたのはいうまでもないことだろう。

それでも2024年6月単月をみると2023年比で7割弱まで数字を戻してきている。
ただし、ダイハツの軽自動車は依然として届け出済み未使用軽中古車が目立って多く流通している。いまの回復傾向のなかで統計台数上積みを狙った「自社届け出」が積極的に行われているのならば、今後は市場に届け出済み未使用軽中古車の在庫が、いま以上にオーバーフロー気味となるので、新車販売台数の伸び悩み傾向が続いてしまうかもしれない。
とにかく軽自動車はダイハツの動き次第ということになりそうだ。