この記事をまとめると
■メルセデス・ベンツはAMGやマイバッハよりも高性能で贅沢なシリーズとしてサブブランドの「ミトス」を創出した■ミトスブランドからの第一弾モデルとなるコンセプトカーの「コンセプト・メルセデス AMGピュアスピード」も発表済み
■メルセデス・ベンツの将来はAMG、マイバッハ、ミトスによるさらなる高級化戦略にかかっている
メルセデス・ベンツをさらなる高みへと導くサブブランド
メルセデス・ベンツのプロダクトポートフォリオ(車種展開)には現在、AMGとマイバッハというサブブランドが存在していることを知る人は多いだろう。前者は究極のパフォーマンスを、そして後者は究極のラグジュアリーをカスタマーに提供するためのサブブランドで、この両ブランドはすでに市場においても絶対的な存在感を得ることに成功したともいえる。
だがそれらは、メルセデス・ベンツにとってはひとつの通過点にほかならなかった。
メルセデス・ベンツのもっとも熱心な愛好家に向けて、これからさまざまなモデルがリリースされていく超高級コレクターズカーのブランド名は、「ミトス(Mythos)」という。ミトスとはギリシア語で神話や伝説を意味する言葉であり、かつてフェラーリもテスタロッサベースのコンセプトカーでこの名前を掲げたことがあった。

メルセデス・ベンツにとって今後の課題は、魅力的なラグジュアリープロダクトを生み出すことと同時に、それによる収益性を高めることにあるが、そのためには1台あたりの収益率が高いミトスのようなブランドは、今後そのブランド構築と魅力的な商品の開発に注力していかなければならないものと考えるのが自然な成り行きといえる。
すでにメルセデス・ベンツからは、このミトスブランドからの第一弾モデルとなるコンセプトカーの「コンセプト・メルセデス AMGピュアスピード」も発表されている。250台の限定で販売されるというこのモデルは、きわめて革新的な、そして同時にメルセデス・ベンツのレーシングカーの伝統を感じさせるルックスをもち、その完成度の高さから判断するに、ほぼこのままの姿で限定生産へとプロセスを進める可能性が高い。

250台という数字はやや大きな数にも思えるが、そこはメルセデス・ベンツというブランドのもつバリューの大きさに比例したもの。フェラーリやランボルギーニとの格の違いを物語る。
AMGとマイバッハとそしてミトスがメルセデス・ベンツを牽引する
コンパクトなディフレクターが装備されるほかは、フロントウインドウも、そしてルーフも備わらないコンセプト・メルセデス AMGピュアスピード。

そのネーミングのとおり、純粋にスピードを追求したこのモデルには、安全性のためにF1マシンのHALOのようなバーが装備されており、それだけでもドライバーは走りに対して特別な感情を抱くことができるのは間違いのないところだ。さらにミトスのカスタマーは、エアロダイナミクスを熟考したヘルメットを2個、納車時に受け取ることも可能だという。

ロングノーズに新たなデザインへと生まれ変わったシャークノーズ。
もちろんコンパクトなリヤセクションもシート後方のフライングバットレスや、メルセデス AMGの存在を意識させるストロボパターンから、グラファイトグレーへと色調が変化する仕上げも、AMG ONEと同様にこれもまた相当に手が込んでいる。

ゼッケン10は、1924年のタルガ・フローリオでメルセデス・ベンツが優勝した時に掲げられていた栄光の数字である。
メルセデス・ベンツは、この「ミトス」の誕生と引き換えに、プロダクトポートフォリオを減少させていく方針であることは確かなようだ。とくにエントリーモデルに関してはその傾向が強く、それは役員クラスのメンバーからもすでに合意を得ているものだと噂される。

メルセデス AMG、マイバッハ、そしてこのミトス。メルセデス・ベンツの将来は、これらのサブブランドによるさらなる高級化戦略にかかっているといってもよい。