この記事をまとめると
■BYDはハイブリッド車も販売しておりその売れ行きはアジア圏で好調だ■じつはBYDは2008年12月から量産ハイブリッドモデルを製造し続けている
■BYDのハイブリッド車は圧倒的に安く今後は日本市場にも導入されるかもしれない
THS IIよりも安価で売れているBYDのハイブリッドモデル
最近は長澤まさみさんのテレビCM「ありかも、BYD」でお馴染みの、中国の自動車メーカーBYD。その「ありかも」は日本で、EV(電気自動車)を指す。
一方で、中国本土や東南アジアでのBYDといえば、EVもさることながらハイブリッドの売り上げが好調だ。

搭載するパワートレインは、同社がDM-iと呼ぶ次世代型プラグインハイブリッドシステムだ。つまり、外部からの充電が可能である。DMとは、BYDが名付けたデュアルモードの略称。
ハイブリッドシステムについては、2モーター方式のシリーズパラレル式。ガソリンエンジンは直列4気筒・排気量1.5リッターとなる。

シリーズパラレルハイブリッドといえば、トヨタのTHS(トヨタハイブリッドシステム)を思い浮かべるが、BYDは独自設計によりコストと性能を上手くバランスさせているのが特徴だ。
しかも、搭載電池は、BYDが研究開発して生産することで量産効果を高めたリン酸鉄リチウムイオン二次電池を採用している。

10年に渡ってハイブリッドシステムを進化させ続けてきた
BYDの歴史を紐解くと、量産型ハイブリッドを中国の国内向けに導入したのは2008年12月。セダンのガソリン車「F3」をベースとしたハイブリッドだった。

当時、中国政府は「十城千両」と呼ぶ、電動車普及のための国家戦略を推進していた。中国の主要都市の十城(10都市)で千両(1000台以上の規模)の電動車を公共交通向けに広めるという意味である。
そのなかで、「F3 DM」は、中国では異色の存在であり、個人向けというよりは自治体向けなどに限定して販売されていた記憶がある。同車のパワートレインは、直列3気筒・排気量1リッターのガソリンエンジンによるパラレルハイブリッドだった。電池は自社のリン酸鉄系リチウムイオン二次電池。
その後、小型SUVの「S6」をベースとした「S6 DM」でシリーズパラレル方式を導入。パワートレインは直列4気筒・排気量2リッターに拡大された。電池の基本構造は「F3 DM」と同じ。同車は2011年の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)で公開されている。

このように、BYDはこれまで10年以上に渡り独自のハイブリッド技術を磨き、量産を重ねてきた。直近でのDMは第5世代にあたる。
このようなBYDのDMシリーズ最大の特徴でありトヨタとの差は価格優位性だ。トヨタや欧州車のブラグインハイブリッドはEV並の高価格であるのに対して、BYDはガソリン車と比べてもさほど大きな価格差がないほどの戦略的な価格設定をしている。

日本でも今後、市場環境を十分に見据えたうえで、BYDのDMシリーズが導入されることがあるかもしれない。