この記事をまとめると
■日本では日本の事情にあったゼロカーボンエミッション発電を考えるべきだ■カリフォルニア州内で供給される電気はほぼゼロエミッション発電によるものになっている
■しかしカリフォルニアでもEVの充電設備はまだ十分といえない
カリフォルニアの砂漠地帯に建設されるメガソーラー
日本でもゼロエミッション発電というものが注目されて久しい。メガソーラーというものも各地で作られているが、山中で樹木を伐採してメガソーラーが作られることも目立ち、「これってトータルで見たら自然に優しいの?」という意見もある。また、居住地域近くにメガソーラーを作って住民とトラブルになることも多い。
そもそも国土の狭い日本でメガソーラーやメガ風力発電所を建設するのは難しい。日本の事情にあったゼロエミッション発電の方策を考えたほうがよさそうだ。
相変わらず化石燃料由来の発電が電力供給のメインとなっている日本に比べ、カリフォルニアではかなりの電力を太陽光や風力発電などで賄っているとのこと。そもそも日本の国土よりも広いとされるカリフォルニア州だが、人口の多くは沿岸部に集中している。そして、沿岸から離れればすぐに荒涼とした砂漠が広がるのである。
筆者はそんな砂漠地帯をドライブするのが好きなのだが、以前はただただ使いみちのない荒野が続いていたのだが、いまやそこにはまさに「メガ」と呼ぶにふさわしい大規模太陽光発電所や風力発電所が建設されている。

アラブのような砂ばかりの砂漠ではないものの、草木はほとんど生えてない使い道のない荒涼とした砂漠には、年間を通じてほとんど雨は降らない。いつでもサンサンと太陽が照り付け、まさに最大効率で太陽光発電ができるのである。そして、砂漠には山も多いのだが、中腹あたりにこれもメガの名にふさわしい風力発電所が存在する。
今年、砂漠のフリーウェイを走っていて、やや勾配のきつい坂をくだっていると、正面に湖のようなものが見えてきた。「人口の貯水池かなんかかな」とも思ったが、近くに人は住んでおらず、農地整備も行われていない。
カリフォルニアでも電気の供給体制にはまだまだ課題が山積み
日本は国土が狭く、それこそまさに「山を削って」作っても、カリフォルニアのメガソーラーの規模に到底及ばない規模で、しかもしょっちゅう雨が降るのでは発電効率が悪いように見える。
海上に風力発電所を設けたとしても、今度は台風や地震による被害リスクも高い。やはり何か「日本に似合うもの」を探す必要があるように思う。

砂漠で太陽光や風力で積極的な発電が行われていることもあり、ロサンゼルスとラスベガスを結ぶ、インターステート(州間高速道路)15号線の中間地点のバーストゥという街の近くには、広大なテスラのスーパーチャージステーションが設けられている。また、そことは少し距離が離れているものの、砂漠地域でのレジャースポットへの玄関口ともいえる、砂漠のなかにある街では、ガソリンスタンドの裏に充電スタンドができていた。
カリフォルニア州は2035年モデルからICE(内燃機関)車の全面販売禁止を掲げており、そもそも民主党支持者の多いコテコテの「ブルーステート」と呼ばれる地域なので、ゼロエミッションとか環境にいいことへの関心はかなり高かったのだが、州内で賄っている電力のほぼすべてがゼロエミッション発電ということも、BEV(バッテリー電気自動車)を選ぶことに意味を感じる消費者を増やしているのかもしれない。

10年ほど前まで、ロサンゼルス空港近くにありいつも宿泊している地域の電柱の電線からは過送電だとわかる「ジージー」という音がしていたのだが、その後インフラ改善が進んだようで音がしなくなった。しかし、今年は同じ電線から「ジージー」と音がしていた。直接関係はないとは思うが、近くにはBEVの充電ステーションができていた。
何かと叩かれることも多いBEVだが、カリフォルニアではその普及が進んでいる。

自然由来の発電でほぼ電力は賄えるようになるかもしれないが、充電設備を含めた供給網整備はまだカリフォルニアでも道半ばといったところで課題として残っているようにも見えた。