古き良きフランス車が堪能できる一台も!
今も昔も、輸入車の販売はドイツ御三家ブランドがランキングの上位を占める構図は変わらないが、クルマの多様化は進んだ。どのブランドもSUV比率の上昇が著しく、輸入ブランドのSUVはオシャレで今時っぽいが、「おぉ! ツウだね!」とクルマ好き層が唸るマニアック感は乏しい。
その一方、クルマ好きの琴線に触れる輸入車マニア向けモデルもじつは少なくない。
1)ルノー・ルーテシア ゼン
典型的な欧州のベーシックモデルの良さが満喫できる1台。0.9リッターの3気筒ターボエンジンは90馬力しかなく、車重は割と重めの1130kgなので、パワーウエイトレシオなどスペック的には頼りなさすぎる感があるが、欧州の実用車らしく数値によるイメージを覆してくれる。
もっと排気量の大きなNAエンジンのようなトルク感があり、最近の欧州ダウンサイジングターボの出来の良さに驚かされるだろう。MTも5速で十分にこと足りる。格下のトゥインゴよりもさらに安い価格(約208万円)ながら装備や質感に不足はないし、ルノー車らしい骨太感のあるシャーシや作りの良いシートにより、長距離ドライブにも最適だ。
2)プジョー208スタイル
これも典型的な欧州のベーシックモデルだ。1.2リッターエンジンはNAの3気筒で82馬力ながら車重は1040kgと軽量。
ふにゃっとした手応えの奥にある粘り気の強いグリップ感はまさに「ネコ足」そのもの。185/65R15という穏やかなタイヤサイズも相まって、古き良きフランス車が堪能できる。最近のフランス車は出来が良くなった分、味が薄れた感を残念に思っていた人にオススメしたい。
欧州生まれの高性能車の実力を存分に味わえる!
3)アバルト595
欧州の高性能車は素晴らしいのはわかるけど値段が高すぎて無理、という不満を劇的に解消してくれるのがアバルト。いうほど速くはないがエンジンとシフトのフィーリングは超絶に気持ち良く、ひたすら無駄なシフトチェンジに明け暮れてしまうほどの快感が得られる。
サスペンションは硬すぎず柔らかすぎずの絶妙な塩梅で、もちろん山道でも楽しいが、高速ダイナミクス性能の高さは超特筆レベルにあり、欧州の高性能車の実力に感銘を受けることだろう。ベースとなっているフィアット500の美点は損なわれていないのでクルマに詳しくない層へのウケ度も高く、また古さを感じさせることもない。この内容と乗り味で300万円は激安。MTは左ハンドルが選べるのもツウっぽい。
4)フォルクスワーゲン・パサート TSI Eleganceline
メルセデスCクラスやBMW3シリーズなど、欧州セダン/ワゴン好きのベンチマーク車の高級路線化が進む中、相対的にパサートの質実剛健ぶりが際立つようになってきた。パサートも欧州の競合車と同様にボディサイズはデカく豪華になったが、それでもTSI Elegancelineは約400万円で輸入車のセダンとしては安く、過剰なモノがつかない清々しさは健在。
内外装の質感や動的質感も申し分なく、大柄なボディを持て余さない1.4リッターターボエンジンも不満は皆無。
5)シボレー・カマロ またはコロラド(並行輸入車)
クルマのマニアたちから一目置かれる度が意外と高いアメ車。正規輸入モノでも良いが、あえて並行輸入のレア車やレアグレードを狙うとなおマニアックだ。たとえばシボレー・カマロでは4気筒の2リッター搭載車の素グレードLSなら380万円ほどで正規モノより100万円以上安く、しかも6速MTが選べる。
今のアメ車は昔と違って現地仕様車でも日本で乗りやすい装備や仕様となっており、機械的信頼性も高いのでリスクは少ない。並行輸入車を扱い慣れている業者は少なくなく、また悪徳業者はほぼ淘汰された点も安心材料となる。北米では標準サイズのピックアップトラック、シボレー・コロラドは日本では威風堂々とした巨体で迫力満点。300万円台のクルマとは思えぬバリュー感が楽しめる。