WRC参戦車両はベース車からかけ離れた改造はできない
世界ラリー選手権(WRC)で勝つために生まれたGRヤリス。これはいわゆる「ホモロゲーションモデル」と呼ばれるものなのだが、そもそもホモロゲーションモデルとはどういったものなのだろうか?
市販車をベースにした車両で争われるWRCだが、当然ながらレギュレーションによってさまざまな決まり事が設定されている。なかでもチューニングの範囲は厳密に決められており、ベース車からあまりにかけ離れた改造をすることができないのである。
そのため、最初からある程度のスペックを持ったモデルを市販車として販売し、それをベースに競技車両を作ろうというのがホモロゲーションモデルというわけだ。そのため、GRヤリスのように専用のボディやエンジン、駆動システムなどを最初から搭載したスペシャルモデルが存在するわけなのだ。
ベース車を2万5000台以上生産していることが条件!
なお、WRCでの活躍が今でも鮮明に思い出される三菱ランサーエボリューションや、スバル・インプレッサSTIも元々はWRCに出場するために生まれたホモロゲーションモデルであり、もともとは何の変哲もない1.5リッタークラスの4ドアセダンに2リッターターボエンジンと4WDシステムを搭載したものだった。

ちなみにWRCでホモロゲーションを取得するためには、ベース車となるモデルが連続した12カ月間に2500台以上、車種全体で2万5000台以上という生産台数が必要であり、これを下まわってしまうと当然ながら競技車両のベースにすることができなくなってしまう。
この台数は時代や参戦するレースによってもさまざまで、1995年に日産がスカイラインGT-Rでル・マン24時間耐久レースに参戦するために、「NISMO GT-R LM」というホモロゲーションモデルを生産しているが、当時のレギュレーションでは1台以上登録されたベース車があればOKだったため、1台のみが生産され、イギリスで登録されていた。
