日産からもタクシー専用車がラインアップから消えてしまった

噂はあったのだが、ついに日産NV200タクシーが生産終了となる。現状では、すでにオーダーをもらっているぶんをメインに生産を続け、3月中には正式に生産終了となる見込みとのことである。これで日本国内における、おもにタクシー専用となる車両をラインアップするのはトヨタのみで、専用車両と呼べるのはJPNタクシーのみとなったことになる。



2010年末にユニバーサルデザインタクシー認定第一号として「NV200バネット タクシー」がデビュー、その後、2015年にそれまでのY31系セドリック営業車に代わり「NV200タクシー」が日本国内で発売となった。ガソリン車だけでなく、LPガスでも走行可能なバイフューエル仕様も設定された。



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導入当初は「見た目がライトバンだから、誰も手を挙げてくれない」とか、その影響で売り上げが下がり「仲間(乗務員)がたくさん辞めていった」という、乗務員の愚痴をNV200タクシーに乗るたびに聞いていた。しかし、NV200タクシーは単にライトバンのNV200をタクシーにしたわけではなく、リヤサスペンションの構造変更など、タクシー車両ならではの“スペシャルチューン”を実施していた。



専用車はJPNのみ! 日産NV200タクシーが生産終了になったワケ



しかし、最後まで“ライトバンスタイル”が見た目だけでなく、都市部のタクシー事業者の立体駐車場車庫に対応しないなどということもあり、新車への入れ替え時に、NV200ではなく、JPNタクシーや、ノート(旧型/e-POWERが多い)などとする事業者も目立っていた。JPVタクシーがMPVスタイルを採用しているので、日産にはセダン型タクシーを出してほしいという、タクシー乗務員の声もあったが、NV200タクシーが後継車両がなく生産終了となったことを考えると、実現することはまずなさそうだ。



かつては各メーカーに多くのタクシー専用車が存在した

かつて日本のタクシー車両といえば、トヨタ・クラウン、マークⅡ、コロナ、日産セドリック、クルー、ブルーバード、マツダ・ルーチェ、カスタムキャブ、三菱ギャランなどなど、じつに多くの車種で専用車をラインナップしていた。筆者がとくに印象的だったのは、FRコロナタクシーと、ルーチェタクシー(5代目)。



7代目までタクシー車両をラインアップしていたコロナ。7代目(最後のFR)コロナタクシーではモデル途中(一般乗用車仕様はすでに8代目FFとなっていた)で、ほぼすべての外板を変更する大規模な改良を実施した。これに乗りたくても、なかなか機会がなかったのだが、名古屋駅の乗り場で数台ずらすと乗れる機会に恵まれ、無事乗れた感動をいまも覚えている。



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ルーチェタクシーは仕事などで終電帰りとなり、最寄りのターミナル駅からタクシーで帰る際に、1社だけルーチェを使っていて、たまにそれにあたるとうれしかった。

ペラペラといった印象の残る薄いドアによりかかりながら、運転士さんがマニュアルコラムシフトを操作する様子を見るのが至極のひと時であった。



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いまは、タクシー車両規格が撤廃され、なんでもタクシーに使えるようになったので、わざわざタクシー規格に合わせた専用車が不要となったのはマニアとしては寂しいところ。



ちなみに今回のNV200タクシーの生産終了と同時にe-NV200も生産終了となったとのこと。日本も遅ればせながら、“カーボンニュートラル”なる言葉が頻繁に世の中で使われるようになり、車両電動化もいまよりもスピーディに進んで行きそうな気配がしてきた。



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そのなかで、日系ブランドでは貴重な純電動車リーフをラインアップしてきた日産にとっては、純電動タクシー車両で業界をリードできたかもしれなかっただけに、タクシー車両をこのタイミングで辞めたのは少々残念に思えてならない(くれぐれもタクシー車両のラインアップ終了ではないことを祈りたい)。



純電動化を考えると日本国内のタクシーやバスと言った公共輸送機関車両は、将来的にはコスト(車両価格など)を考えれば、やはり中華系など海外勢になってしまうのだろうか。

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