手間と出費をいとわなければ所有は可能!
世界的に自動車メーカーが電気自動車(EV)の販売を軸にする、いわゆるEVメーカー宣言をしはじめた。日本のホンダも、2040年にはEVまたは燃料電池車(FCV)のみを販売すると、新任の三部敏宏社長が表明した。では、ガソリンエンジン車はいつまで乗れるのか?
新車を買うという視点では、ぞれぞれの自動車メーカーが明確にしたEVまたはFCVのみの販売という年からガソリンエンジン車を買うことが難しくなっていくだろう。
一方、それでも制約があるとすれば、一つはガソリンスタンドがどこまで生き延びられるかにかかっている。すでに、最大件数から半減し、全国で3万件を割るまでになっている。この先、10~20年の間に、何軒が持ちこたえられるか。
なぜそこまでガソリンスタンドが減ってしまうかについては、理由が2つある。一つは電動化が進むためだが、それだけでなく、エンジン車もディーゼルの導入など含め燃費が改善されているので、消費する燃料が減ってガソリンスタンドの経営を圧迫している。

加えて、ガソリンスタンドに燃料をためておく地下タンクは、30年に一度交換しなければならず、そのために数千万円の費用が掛かるとされている。商品(ガソリンや軽油などの燃料)の売れ行きが落ちた上に、数千万円に及ぶ設備投資をしなければ営業を続けられなくなるのだから、ガソリンスタンド経営はますます厳しくなる。この2点が、すでにガソリンスタンドが半減した大きな要因だ。今後はもっと厳しさを増すだろう。
燃料価格が上昇する可能性が高い!
次に、そこまでガソリンスタンドの件数が減っていくと、給油という行為そのものが希少価値となり、燃料価格が上昇するはずだ。販売量が減少し、なおかつ設備投資の費用を回収するには、商品(燃料)価格の値上げしか対処法がなくなっていくからだ。

すでに、EVの電気代はガソリン価格の半分以下である。それでもまだ車両価格が高いので、多くの人がエンジン車やハイブリッド車(HV)に乗っている。しかし今後EVの価格が少なくともHVと同等程度に下がってくれば、EVを買ったほうが電気代は安上がりだ。一方で、燃料価格は上昇していく可能性がある。
さらに、環境対応という理由で、初度登録から13年を過ぎたクルマの自動車税に重課が掛けられている。税制においても、エンジン車に対する増税が行われるかもしれない。

1リッター当たり何百円という高価な燃料代になっても、遠くのスタンドまでガソリンを入れに行かなければならなくなっても、そして増税が行われても、なおエンジン車に乗りたい、あるいは乗れるだけの経済力がある人であれば、EVの時代になってもまだエンジン車に乗り続けることはできるはずだ。