この記事をまとめると
■いま多くのクルマがヨーク型、Dシェイプ、フラットボトムなど丸くないハンドルを採用■禁止事項に抵触していなければ公道走行が可能だ
■ハンドルのデザインにまつわる規定について詳しく解説する
多くのクルマが“丸くないハンドル”を採用
アメリカのテスラが先行、レクサスRZ450eやトヨタbZ4Xもヨーク型(航空機の操縦桿のような形状)のステアリングを用意していることはご存じだろうか。さらにDシェイプ、フラットボトムと呼ばれる異形ステアリングを見かけることも多い。
「ステアリングホイール」と呼ばれ、丸い形状であることが基本であるわけだが、このところ丸くないハンドルが増えている。
操舵に関する入力装置である、通称ハンドルと呼ばれる部品について、保安基準では「かじ取りハンドル」という呼び方をしている。少なくとも日本国内においては保安基準を満たしており、禁止事項に抵触していなければ、堂々と公道走行が可能といえる。
では、冒頭で記したヨーク型のハンドルは日本の保安基準ではOKなのだろうか、それともNGなのだろうか。
結論からいえば、保安基準ではハンドルは丸でなければならないという規定はない。形状を指定するような記述は見当たらないのだ。

かじ取りハンドルの形状については、以下のような規定が定められている。
かじ取ハンドルは、ホーンコントロールや組立付属品などの構成部品や付属品が通常の運転操作中に運転者の衣服や装飾品にひっかかる恐れが生じないように設計、製造、取り付けするものとする。
運転者側に面しているかじ取ハンドルの表面のうち、直径165mmの球が接触する部分に、半径2.5mm未満の各部や鋭い突起を有していないもの
左右非対称の形状は禁じられているといえる
まとめると、ハンドルに尖った部分などがあって、操作を邪魔するものや、衝突時に乗員への攻撃性があることは保安基準によって禁じられていると理解できる。
そのため、レーシングカーのようなスイッチがついたハンドルは量産車に採用するのは難しいといえる。いずれにしても、突起物と判断できるような形状はNGだろう。
逆にいえば、それ以外の部分では規定されていないということになる。

では、どんな形状のハンドルでも認められるのかといえば、そうとはいえない。かじ取りハンドル・かじ取り装置についての保安基準において以下の項目が規定されている。
かじ取ハンドルの回転角度とかじ取車輪のかじ取角度との関係は、左右について著しい相異がないこと。
かじ取ハンドルの操舵力は、左右について著しい相異がないこと。
これらの条件からすると、右と左でギヤ比が異なるような操舵システムは保安基準を満たさないといえるし、ハンドル形状についても極端な左右非対称では、これらの項目に抵触すると考えられる。もっとも、左右非対称のハンドル形状というのは使い勝手を考えるとあり得ないだろうが……。