「ラーメン業界」相次ぐ買収・持ち株会社への移行 再編加速へ

ラーメン業界で、店舗の買収や将来のM&Aを見据えた持ち株会社体制への移行が活発化している。

帝国データバンクによると、ラーメン市場は2024年度に2014年度比1.6倍の7900億円に拡大。

1杯1000円を超える価格への消費者の抵抗感も徐々に薄れつつある。

また「京都北白川ラーメン魁力屋」を展開する魁力屋<5891>によると、同市場は寡占が進んでおらず、シェア拡大の余地が大きいという。

こうした市場の成長性や競争構造を好機と捉え、他業態からの参入が進んでおり、M&Aを活用した業界再編が加速しそうだ。

ラーメン店の損益が改善

帝国データバンクが2025年10月に発表した「ラーメン店の倒産動向」によると、2025年1~9月のラーメン店の倒産件数は46件で、年間で最多を更新した前年同期の60件から2割超減少した。

倒産件数が減少に転じたのは4年ぶりで、原材料費や人件費の高騰が続く中、価格転嫁の難しさが和らぎ、ラーメン店の経営環境は改善傾向がみられるという。

2024年度のラーメン店各社では、損益面で増益となった事業者が55.0%と半数を超え、2010年度以降で最高となった。

一方で、中小零細が多い業界の特性から、2025年1~9月の倒産では資本金100万円未満の企業が約半数を占め、規模の小さいラーメン店の経営は依然として厳しい状況にある。

これに対して、大手のラーメンチェーンは、スケールメリットを生かした原価管理と効率化されたオペレーションで安定した利益を確保しており、大手による中小店のM&Aが増加する余地がある。

持ち株会社制度に移行

こうした状況を受け、ラーメン大手や異業種によるM&Aを巡る動きが活発化している。

「九州筑豊ラーメン山小屋」を展開するワイエスフード<3358>は、国内外でのM&Aのさらなる加速を目的に、2026年1月に持ち株会社体制に移行する。

同社は2025年7月に焼き肉店運営のYappaを子会社化。同年8月には高級焼肉店「焼肉BEEFMAN横浜」を、同年9月にはフランスの郷土料理を提供する「ROTISSERIE★BLUE」を相次いで取得した。

今後も積極的にM&Aを推進する中で、一層複雑化する事業運営を最適に遂行する経営体制として、持ち株会社体制に移行することを決めた。

「ラーメン業界」相次ぐ買収・持ち株会社への移行 再編加速へ
「九州筑豊ラーメン山小屋」で1番人気の『昭和(むかし)ラーメン』(ワイエスフードのニュースリースより)

魁力屋も、将来的なM&Aや海外展開への備えを目的に、2026年7月をめどに持ち株会社体制に移行する。

同社は2025年7月にラーメン店を運営するグランキュイジーヌを子会社化したほか、2026年1月には、つけ麺専門店の三田製麺所の運営会社を傘下に持つエムピーキッチンホールディングスを取得し、ラーメン事業の業容を拡大する。

持ち株会社体制への移行によって、こうしたM&Aに関する取り組みを強化するとともに「グループ経営の推進」「ブランド戦略の明確化」「採用・育成の強化」なども進める。

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魁力屋の看板商品『京都背脂醤油ラーメン』
魁力屋の看板商品『京都背脂醤油ラーメン』(魁力屋のニュースリリースより)

スーパーによるラーメン店の買収も

横浜家系ラーメン「壱角家」などを展開するガーデン<274A>は2025年10月に、味噌ラーメンの「萬馬軒」事業を取得した。

同社は壱角家のほかに、讃岐うどんの「山下本気うどん」や、ステーキやハンバーグの「鉄板王国」など11ブランドの飲食チェーンを展開している。

ラーメン事業は売上高、店舗数ともに同社の約7割を占める主力事業で、今後も強いブランド取得や店舗取得を目的としたM&Aを積極的に進めていく方針だ。

また、スーパーや食品製造などの事業を手がけるマルヤスホールディングス(津市)は2025年11月1日に、ハワイ・ホノルルのラーメン店「ラーメンなかむら」を子会社化した。

「地域の価値を世界へ」とのビジョンの実現に向けた取り組みの一環で、海外店舗の取得はこれが初めて。

今後、三重県をはじめとする日本各地の優れた食材や商品を現地で紹介・活用することで、新たな食の価値の創出を目指す。

このほかにも横浜家系ラーメン「町田商店」を展開するギフトホールディングス<9279>や、濃厚豚骨ラーメン「山岡家」を展開する丸千代山岡家<3399>もM&Aに前向きだ。

さらに、牛丼を主力とする吉野家ホールディングス<9861>は、ラーメン提供食数世界ナンバーワンを目指して、M&Aを推進している。

市場の拡大と競争の激化を背景に、ラーメン業界では今後もM&Aを軸とした再編が進む見通し。持ち株会社体制への移行や異業種からの参入も相まって、再編のスピードは一段と増しそうだ。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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