【ライブレポート】銀杏BOYZ、ピーズ、大森靖子が立川で激突!リスペクトに溢れた3マンライブ
『dabadabada vol.2 -Re:Re:Re:Live-』12月13日(土)TACHIKAWA STAGE GARDEN Photo:高田梓

2023年12月13日(水)、TACHIKAWA STAGE GARDENで、ぴあプレゼンツの『dabadabada vol.2 -Re:Re:Re:Live-』が、開催された。



2018年2月27日(火)、銀杏BOYZと大森靖子が初めて対バンするイベントとして、今はなきZepp Tokyoで行われた『dabadabada』から5年10カ月。

ようやく実現した今回の『vol.2』は、その2組が尊敬する大先輩であるピーズが加わって3マンイベントとなった。



なお、今回付いている『-Re:Re:Re:Live-』というサブタイトルは、前回の『dabadabada』の翌年=2019年の6月に、大森靖子のシングル曲で峯田和伸との共作&共演が実現した、その曲名「Re:Re:Love」から来ている。



銀杏BOYZの熱狂的なファンだった高校生の頃の大森靖子が、峯田にメールを送ったら二回返事が来た、という思い出から付けられた曲名だという。



当時、峯田はメールアドレスを公開しており、ゆえに1日中ファンからメールが届いていた。インタビュー中なども、ガラケーがずっとビービービー振動していて、「すぐ電池がなくなっちゃうんだよ」とぼやきながら、充電コードをコンセントにつなぎっぱなしにしてしゃべっていた峯田を思い出す。



それから、大森靖子は、声帯にできた結節を切除する手術を控えており、この日のライブを最後に、しばらくライブ活動を休むことが、事前に発表された。



「そういうわけで、貴重な夜を、よろしくー! せーの!」というはる(大木温之/ボーカル&ギター)の掛け声から、トップのピーズが演奏し始めた。1曲目は、「日が暮れても彼女と歩いてた」。重くやるせないトーンの、普段1曲目に持ってくるタイプではないこの曲でスタートした理由が、アビさん(安孫子義一)がギターソロに入ったあたりでわかる。



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ピーズ

峯田和伸と大森靖子が手をつないで、とぼとぼと、まるで「日が暮れても彼女と歩いてた」を形にしたみたいに出て来たのだ。



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そして手を離し、峯田は右手にタンバリン、左手にマイクを持ち、大森靖子はドラムのライザーの端に座って、歌い始める。特に大森靖子の声の炸裂っぷりがすさまじい。



2曲目も峯田と大森靖子が入った6人体制で、「生きのばし」。はると大森靖子がユニゾンで歌い、峯田はタンバリンと雄叫びを入れ、最後は6人全員のユニゾンになった。



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「頼むぞアベック! 未来はアベックのものだ!」と、ふたりを送り出して以降、「ブラボー」「実験4号」「初夏レゲ」「さらばボディ」と、ライブの定番曲を連打していくピーズ。



「最初、大森さんと峯田が出て来てくれたけど、あそこピークだからね、今日の俺たちの」とオーディエンスを笑わせたはる、大森靖子が声帯の治療のため今日のライブで一区切りであることにも触れる。



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大木温之(ピーズ)

「それで『生きのばし』で大声出して歌っちゃって、このあともライブある。俺のせいで声出なくなっちゃったとか……」と心配するが、アビさん「大丈夫! 偉そうにしてればいいんだよ!」



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安孫子義一(ピーズ)

そして、1年ちょっと前からレパートリーに入れている未音源化の新曲「アビリフ」で再開、「サイナラ」「ノロマが走っていく」「焼めし」「プリリヤン」で終了。

47分で11曲という、高密度な時間を届けてくれた(ピーズ的には通常運転だが)。



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岡田光史(ピーズ)
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茂木左(ピーズ)

「私の部屋に会いに来て! 『ミッドナイト清純異性交遊』!」と叫んで、大森靖子のステージがスタートするや、フロアいっぱいにピンクのスティックライトが振られ始める。それに応えてなのか、その他の気持ちもあってなのか、間奏明けで「最高じゃん!」と叫ぶ大森靖子。



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大森靖子

アカペラで2曲目「新宿」を歌い始め、バンドの音が加わってイントロになると、「あなたが生きて今日ここに来たこと──」と、お礼とメッセージを混ぜた言葉を叫ぶように伝える。曲後半では歌でギターソロとバトル。そして間髪入れずにコール&レスポンスをオーディエンスに求め、「おまえがいちばんかわいいよ、セイ!」「私がいちばんかわいいよ、カモン!」と掛け合い。

はるでなくてもノドが心配になるほどの飛ばしっぷりである。



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峯田に対する「22年ぐらいの片思い」を言葉にしてから、「はるさんの歌と同じ川沿いをずっととぼとぼ歩きながら、どんなふうな景色ならふたりで見ることができるんだろうと思って、歌を作りました」と、次に歌われたのは、「QUEEN OF TONE」。



ZOCの新曲として2024年1月31日(火)にCDリリースされる曲で、確かに、「BABY BABY」等、何曲もの銀杏BOYZの楽曲への返答になっているような歌詞である。



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という曲の次に来るのは、5年前に大森靖子が峯田と作った「Re:Re:Love」。当然というか、やはりというか、峯田、登場。アコースティックギターを抱えながら「ギャー!」「オーイェー!」などと奇声を発しまくった末に、大森靖子がラップに入るバースではギターを捨て、ステージ上を右へ左へと暴れ回る。



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曲を終えると峯田、「こういう人はね、喉が痛くなってもね、どこを切ってもね、もっと今まで以上に大きくなって帰ってくると思うから、それ期待しましょ」とエールを贈る。大森靖子、「なんかやさしい。やさしいパターンで来たんだなあ、そっか」と、照れる。



中学の時にNirvanaを聴いて世界が変わった、という話を峯田がよくしている──というMCからの「Nirvana」を経てのラスト2曲は「死神」と「Rude」だった。



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この日もっとも荘厳で美しくてヘヴィな2曲を、最後に固めてライブを終わらせた大森靖子は、左腕をまっすぐ上げてから前方に突き出し、「あなたは、あなただけの人生の光を必ず灯し続けていれば、私がそれを歌にして必ず歌うから、また会いに来てください」とメッセージを届け、深々とお辞儀をした。



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そしてトリ。

実に銀杏BOYZのライブらしい怒号が飛び交う中、「最後だし、騒いでください、歌ってください」と峯田が歌い始めたのは「人間」。オーディエンス全員、峯田の歌とアコギに合わせて、最初からものすごいシンガロング状態になる。メンバー4人の爆音が、中盤から峯田&オーディエンスの歌に加わっていく。



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銀杏BOYZ

曲の後半で何度も頭部にマイクを叩きつける動作を見せた峯田、「若者たち」に入るや、マイクをくわえて絶叫──と、言わば「ヤバい時の峯田のムーブ」が、ライブの前半から次々と現れる。



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フロアはモッシュ&クラウドサーフの。「あんたがた、俺の歌を聴きたくなった時、俺はあんたたちを一生の友達だと思ってるよ」と始まった「エンジェルベイビー」でも、そのカオス状態は変わらない。現在銀杏BOYZは、峯田ひとりの弾き語りで全都道府県を回るツアーを行っている最中なので (年内の日程の20本が終了して、続きは年明けから)、ファンにとっても本人にとっても、ちょっと久々な光景なのではないか。



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このイベントが二回目であること、バンドでのライブは半年ぶりであること、加藤の復調がうれしいことなどを話してから、峯田は「いなくなっていく人は、いなくなっていくしよ、どんだけ好きな人でもよう。今日はこの曲を歌わしていただきます」と、「漂流教室」に入った。「告別式では泣かなかったんだ 外に出たらもう雨はあがってたんだ」で始まる、2005年のファーストアルバム(の2枚のうちの1枚の)収録曲である。



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藤原寛
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山本幹宗
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加藤綾太
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岡山健二

峯田がアカペラで歌い始め、それを加藤綾太のギターと岡山健二のシンバルが追う形で始まった「夢で逢えたら」、ほぼノイズ状態の爆音に包まれながら澄んだギターの音色と峯田のボーカルが響く「少年少女」を経ての、次の曲に行くところで、峯田はこんなMCをする。

「これからお届けしますのは、『BABY BABY』っていう曲です。勝手にさ、てめえたちのさ、結婚式でさ、使われてたまっかよ! この曲はよ、ただのあんたの青春じゃねえんだよ。2023年もさ、ずっと新しい曲としてさ、鳴り響くべき新曲なんだよ!」



で、最初にサビを一回し歌ってから、「いつかこの曲を満員の国立競技場で歌います、よかったら観に来てください」。そのあとのオーディエンスのシンガロングは、この日の最高ボリュームを記録した。



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「ぽあだむ」で本編を締め、5人が去ると、銀杏流のアンコールを求めるコールである「やるなら今しかねえべ」の連呼がフロアから起きる。すると峯田がひとりで出て来て、「すいません、新しいコールがありまして」。「♪銀杏BOYZ!」と叫んで「♪パパンパパンパン」と手拍子をする、という新しいコールをオーディエンスに教えて、それをやってもらう──というこれ、現在、弾き語りツアーのアンコールのたびに、教えながら全国を回っているのだが、やはりまだ浸透してはいない、ということがわかる光景だった。



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アンコールは「駆け抜けて性春」。が、その音と歌の激しさにオーディエンスがヒートしすぎたようで、1サビまで行ったあたりで峯田が演奏を止めた。フロア前方の人たちに「大丈夫? 起き上がった? 大丈夫ね、誰も倒れてねえな?」と確認してから「もう一回!」とやり直す。



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そして、ステージの上も下も、温度が上がり放題上がった末に、大森靖子が現れて、音源のYUKIのパートを歌う。彼女と声を重ねた峯田は、エンディングでドラムにダイブ、ドラムセットを岡山健二ごとバラバラにぶっ倒して、曲を「ジャン!」で締めることを不可能にしたままライブを終えた。



【ライブレポート】銀杏BOYZ、ピーズ、大森靖子が立川で激突!リスペクトに溢れた3マンライブ

Text:兵庫慎司 Photo:高田梓



<公演情報>
ぴあpresents『dabadabada vol.2 -Re:Re:Re:Live-』



12月13日(水)東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN
出演:大森靖子、銀杏BOYZ、ピーズ

セットリスト
■ピーズ
1.日が暮れても彼女と歩いてた(with峯田和伸、大森靖子)
2.生きのばし(with峯田和伸、大森靖子)
3.ブラボー
4.実験4号
5.初夏レゲ
6.さらばボディ
7.アビリフ
8.サイナラ
9.ノロマが走っていく
10.焼めし
11.プリリヤン

■大森靖子
1.ミッドナイト清純異性交遊
2.新宿
3.絶対少女
4.QUEEN OF TONE
5.Re:Re:Love(with峯田和伸)
6.Nirvana
7.死神
8.Rude

■銀杏BOYZ
1.人間
2.若者たち
3.エンジェルベイビー
4.漂流教室
5.夢で逢えたら
6.少年少女
7.BABY BABY
8.ぽあだむ
EN.駆け抜けて性春(with大森靖子)

<関連リンク>
ピーズ公式サイト:
http://thepees.com/(http://thepees.com//)
大森靖子公式サイト:
https://oomoriseiko.info/
銀杏BOYZ公式サイト:
https://gingnangboyz.com/(https://gingnangboyz.com//)



■大森靖子×峯田和伸(銀杏BOYZ)×大木温之(ピーズ)
全然オシャレじゃない 日本語アーティスト鼎談
【前編】 https://lp.p.pia.jp/article/news/298868/index.html
【後編】 https://lp.p.pia.jp/article/news/298870/index.html/