森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟
森山直太朗 Photo:石原敦志

Text:谷岡正浩 Photo:石原敦志
Hair&Make-up:KOHJI KASAI (UpperCrust)
stylist:夏見 恵美子(suzuki takayuki)

森山直太朗から新しい楽曲が届いた。TBSドラマ『田鎖ブラザーズ』の主題歌としてすでに話題となっている『愛々』だ。フォーキーでソウルフルな熱を帯びた曲は、森山直太朗の来し方行く末を暗示しているようにも思える。昨年、『Yeeeehaaaaw』と『弓弦葉』という2枚のアルバムを同時リリースし、それら異なるふたつの世界を表現する二種類のライブを『あの世でね』というひとつのツアーで巡っている最中でもある直太朗に、新曲のことはもちろん、ツアーのこと、そして過去、現在、未来にわたる自身の活動について聞いた。



いよいよ本当に自分がつくりたいもの、つくるべきものに向かっていく

森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟

──コンセプトの違うふたつのツアーを同時にまわるという初めてのチャレンジをされていますが、全行程の折り返しを過ぎていかがですか?



もっと大変かなと思っていたんですけど楽しみの方が多くて。性格的に落ち着きがないからなのか(笑)、ちょうどいいんですよね。つくる過程においては大変なこともありましたけど、その分、出来上がった一つひとつに対する舞台への思い入れはひとしおで。僕のツアーって長いじゃないですか。



── 前回のツアーは100本とプラスαでしたから。



そう(笑)。正直なことを言えば、その長いツアーをいかに毎回新鮮な気持ちでやれるかっていうのが重要なテーマになってくるんですよ。でもそれって不可能なことではあるんですよね。マンネリという言葉は言い過ぎかもしれないんですけど、やっぱり慣れてきちゃうので。でも今回は違うんですよ。このあいだ、東京公演(3月25日 昭和女子大学人見記念講堂)をやって、1日空いてから石川(3月27日 石川県立音楽堂 コンサートホール)でやったんですけど、東京が『Yeeeehaaaaw!』で石川が『弓弦葉』で。もう舞台に上がるたびに新鮮なんですよ。舞台上には、ふたつの世界を僕が自由に行き来する象徴として、扉が置いてあって、そこを開けて登場するんですけど、扉を開けるのが毎回楽しみなんです。わかっちゃいたけど、ああ今日は『Yeeeehaaaaw!』だったんだ!って。ちょっとクセになりそう(笑)。



── 扉を開けるたびに、どちらかの世界に戻れるという感覚ですか?



戻れるっていうか、同じ夢を何回も見られるっていう感じですね。



── ふたつの世界が対になっているほど違うということが良かったんでしょうね。



そうですね。多少なりとも似通ったものだったら同時にまわるという発想にはなっていなかったですしね。例えば時期をずらしてツアーをするとか、そういうことになっていたでしょうし。



──『Yeeeehaaaaw!』と『弓弦葉』では、舞台におけるご自身の解き放たれ方はまったく違うものですか?



入り口は違うんですけど、行き着く場所は一緒っていうのが面白いですね。『Yeeeehaaaaw!』は明らかにフィジカルから入っていくので、体が心を引っ張っていく感じで、逆に『弓弦葉』はずっと内省的なものなので、心の中を旅しているうちに体が失くなっていくような感覚で、まったく逆から辿って行って最終的には同じ地点に到達するんですよね。そこがとても面白いですね。



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── どちらも新しいアプローチで、『Yeeeehaaaaw!』はブルーグラスやカントリー&ウェスタンというアメリカのルーツミュージックをベースにしたものに取り組んでいて、かたや『弓弦葉』はこれまで直太朗さんが描いてきた精神世界のさらに奥へ進んでいったものとなっています。



今までのイメージというものを大切にしていきながら、どこかで自分自身の表現を上書きしていかないと活動はブラッシュアップしていかないんですよね。僕はデビューして今年で24年になるんですけど、自分が新しいことをやっているという感覚だったとしても、それが外側に伝わっていく速度感はキャリアの最初の頃と比べたら全然違ってくるんですよね。だからやり続けて、軽やかに広めていくっていうことが大切なんだなということを実感しながらツアーをまわっています。



── そういう意味では、『Yeeeehaaaaw!』と『弓弦葉』は、単に新しいだけではなく、そこにそれまでの時間をすべて含んだ上で時間を超越していくためのものだったんじゃないかなという気がするんですよね。



ああ、そうですね。前回の『素晴らしい世界』というツアーは、今までの自分を踏襲した形で、若干禊ぎ的な要素もあったんですけど、じゃあそれを通過して、いよいよ本当に自分がつくりたいもの、つくるべきものに向かっていくんだと。でもそれって当たり前のことでもあるじゃないですか。アーティストって自分が本当につくりたいものをつくるのが仕事でしょって。ただそれまでのことを考えたら、自分自身に向き合って自分のつくりたいものをつくってはいたんですけど、どこかでチームのなかでのバランスを取りながらやってきた部分もあったから。それでいざ自立した形で自分のやりたいことを突き詰めた結果が『Yeeeehaaaaw!』と『弓弦葉』というふたつの世界だったんですよね。そういう経緯を踏まえても、まさに時間を超越するというか、今までの時間を――個人的には空白だった部分を――取り返すような衝動みたいなものは、クリエイティブの興奮から派生する衝動とはまた別にあったかもしれないですね。じゃないと、このふたつを同時にはやらなかったと思う。そしてこのふたつの作品を舞台で表現し終えて、すべての時間が巻き戻って、自分の空白だった部分にケジメもつけて初めて、そこから新たな作品づくりとそれに付随した舞台づくりが始まっていくのかなと思っています。



理想を手放したときに初めて理想に近づくんじゃないかな

森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟

── ツアーの最中にリリースとなった新曲『愛々』は、どのような位置付けとしての曲になりますか?



とても主観的な曲ですよね。もちろん、TBSドラマ『田鎖ブラザーズ』の物語というのが原風景としてあって、ドラマに登場する主人公である兄弟が背負わされている運命みたいなものに重ねて、自分自身の歩みのなかで季節ごとに大切にしてきた仲間とか家族とか、そういう人の顔を思い浮かべながらつくった曲でもあったので、主観的な曲というのはそういうことなんですけど、僕の最近の曲では『papa』(アルバム『素晴らしい世界』収録)なんかに近いのかな。



──『papa』は私小説的な曲ですよね。



はい。語り部的な立ち位置から普遍的な何かを歌っているというよりは、まずはシンプルに自分の記憶のアルバムをめくっていくようなタイプの曲ですね。



──『愛々』が出来上がった経緯はどのようなものだったのでしょうか?



ドラマに対しての書き下ろしではあるのですが、もう少し細かく紐解くと、モチーフになったものはすでにあったんです。友達のミュージシャン夫婦のことを思い浮かべながら書いたスケッチみたいな曲があったんですよ。冒頭の〈どこへ行くにも いつも一緒〉っていうのは、そのスケッチの名残りというか、僕の友達夫婦のことを思い浮かべながら書いたものなんですよね。で、『田鎖ブラザーズ』のお話をいただいたときに、さまざまな方向性を示しつつ、こういうものもあるっていう提案をしたら、この曲(のモチーフ)にすごく思いを馳せていただけたんですよね。だから100%の書き下ろしではないんですけど、色々なきっかけが重なって出来ていった曲なんですよね。そうしたきっかけをいただいてつくっていくなかで、ドラマの主人公も含めて人のことを思いながら自分のことに自然と変換することができたんです。最終的には語りの主体が自分自身に近いものになっていきました。



── アレンジに、映画『国宝』の音楽でも注目されました原 摩利彦さん、そして現在ツアーも共にしているヴァイオリニストの須原杏さんを迎えています。原さんとは以前から交流があったんですか?



家族も含めた大きなコミュニティのなかで交流があって、お互いのライブを観に行ったりイベントで挨拶したりという感じで、特にここ最近は坂本美雨ちゃんを通じて交流することがあったり、(原さんが)杏とも知り合いだったりというところで近しい存在ではありました。2024年には、とあるイベントで美雨ちゃんと摩利彦くんと僕の3人でステージを共にしたこともありましたし。で、今回『愛々』のアレンジに際して、正直時間はあまりなかったんですよ。でもどうしても摩利彦くんとやりたいなと思ったので、ダメ元で聞いてみたら、ダメだったんです。気持ちはやりたいんだけど、時間がないと。今、この業界では一番の売れっ子だから。でもあの人、そこからが面白くて、「ちょっと待ってくださいね」って(笑)。要するに、なんとか時間をつくれないかをやってくれたんですよ。そこで助かったのが杏の存在で、僕たちは彼女のことを「先生」って呼んでいるんだけど(笑)、先生が入ってくれるのであれば、この山場を乗り越えられるかもしれないねっていうことになったんですよ。



森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟

── なるほど。



それはかえって面白いと思ったんですよね。僕の曲における癖みたいなものをまだきちんと摩利彦くんには伝えきれていないなかで、彼の世界と混ぜ合わせるために何かもうひとつ必要だなって思っていたので、そこにお互いの音楽を知っている杏が入ってくれることで、相当円滑に物事が進んでいったんですよね。余計なコミュニケーションを回避できたというか。実際にアレンジが出来上がるのも早かったですし、レコーディング現場で変更が生じたときもスムーズでしたし、何よりふたりがこの曲をとても気に入ってくれて、最後の最後まで僕の思いに寄り添ってくれたっていうのは彼らの人間性に感謝しかないですね。



── 最初に原さんに、と思ったのはどのようなイメージからだったんですか?



摩利彦くんのつくる音楽のイメージって、空想的でソリッドでアンビエントというか独創的な世界観が確立されていますよね。一方で『愛々』はめちゃめちゃソウルフルで土臭いし、でもね、僕は摩利彦くんからある種そういう匂いを感じ取れるんですよね。そこはおそらく交流するなかで見えてきた部分だと思うんですけど。だからこれ、もしかしたらとても面白いことになるんじゃないかなっていう予感があったんですよ。ただ、時間もないし、ドラマのタイアップということも考えれば、いつもの勝手知ったるではないですけど、石橋を叩いて渡るような方向性ももちろんそれはそれであるよなと思いつつ、だけどもやっぱり僕自身もドキドキしたりハラハラしていないとライブ感のあるいい音楽は生まれないなと思って、摩利彦くんと満を持してやるっていうのは、自分の実験的な姿勢や要素も含めて必要なことだと思ったんですよね。今では本当にあのアレンジで良かったなって思います。



── うん。とてもいいですよね。最後のサビで初めてドラムが入ってくるんですけど、そこまでの展開を含めて、まるでアレンジ自体が物語のようだと感じました。



ちょっとずつ展開していっている曲なんですよね。あの最後のサビのメロディは最初からあって、あそこでドラムが入るというイメージもあったんです。でもそれが、いかにも大団円ですみたいな感じの大袈裟なドラムだったら、それはそれで違うし、ということで摩利彦くんがループっぽいドラムで、でも縦は揃っている(※各パートの音を出すタイミングが揃っていること)ので大団円感はあるんですよね。そのへんの塩梅が絶妙でしたね。



森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟

── その最後のメロディに行き着くまでの展開にはドラムは入っていないんですけど、言葉と語感がその役割を果たしていますよね。つまり、スポークンワード的な喋るような詰め込んだ歌い方とメロディに乗ったゆったりとした歌い方が――ここはおそらく意図的だと思うのですが――交互に出てくる。それによって独特の、それこそ土臭いフォーキーなリズムを生んでいます。そのリズムと最後のドラムが入ったリズムのコントラストが見事でした。



もう、おっしゃる通りですね。基本的には弾き語りでも成立してしまえる。だけど実は――そこは舞台的な発想でもあるんですけど――最後のメロディのところで後ろの幕が開くと全然違う景色が広がっているっていう感覚は最初からありましたね。



── 弾き語りという出発点と、舞台というその後の広がりが描かれているという時点でこの曲は直太朗さんの人生そのものだと感じますし、まだ全然途中だよっていう感覚もすごく受け取ることができます。



歌詞では、ここで別々の道を行こうっていう別れの歌なのか、それともこれからも一緒に歩いて行こうっていう約束の歌なのか、そこがはっきり描かれていないっていうのがきっと旅の途中だと感じる部分だと思うんですよね。『田鎖ブラザーズ』へのコメントを書かせていただいて、そこに御徒町(凧)との関係を記したんです。もう何の利害もなくただ一緒に下北あたりをフラフラしていて、やがて一緒にものづくりをするようになり、いつからかすれ違う時間も重なって袂を分かつことにはなったんだけど、でも一緒にいろんなものを見たり感じたり、時に衝突したりすることも含めて、それが今活動を続けている自分の誇りであり糧である――というようなことを書いたんです。例えばそのような人間関係ひとつとってみても、人生って思いもよらないことが起こるじゃないですか。どうやったって理想どおりにはいかないし、でもそこにその人の本質が垣間見えるんだと思うんですよね。理想どおりにはいかないからじゃあどうするんだっていう。いずれにしてもその理想を手放したときに初めて理想に近づくんじゃないかなって思うんですよね。だからこの曲を聴いて“旅の途中”だと感じられるというのは、まさにそうだなと思うんですよね。僕自身も、御徒町と別々の道を歩んでいるけど、この先、ものづくりとかあるいはクオリティ・オブ・ライフみたいなものを突き詰めていくと、どこかでひょんな形で交わるかもしれない。もしくは全然違う方向に振り切れるかもしれない。そういう意味では、一緒にいようが離れていようが、あるひとつの強烈な関わりを持った人間同士っていうのは、やっぱり最終的にどうなるかっていうのは……わからないですよね。父親との関係を思い出しても、もうこのままセパレートして終わっていくんだろうなって思っていたのに、父の死に際になってあんなに猛烈な関わり合いを持つなんて、本当に想像もしていませんでしたから。だからまあ、ひとつ言えるのは、人間は孤独であるっていうこと。ただ、人が成長する上で必ず誰かと関わり合いを持つことになる。それは本能的に。そしてさまざまなコミュニティがありますけど、基本的にはその人とその人との一対一の関係であり、その連なりだと思うんですよね。だからこの歌の最後は、黄昏に染まるなか見上げたら、家々の灯りなのか、ビルの明かりなのか、その光の一つひとつに一対一の「愛々」があって、それがたくさん集まって世界はできているっていうようなイメージでしたね。だから、『愛々』というタイトルは最後についたんですよ。「愛々」っていう言葉自体はないんですけどね。



森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟

── でも普通にあるように感じられる言葉でもありますよね。



ですよね。なんて愛々しいんだろう、みたいな感じでね(笑)。子供でも覚えやすそうだし。文字面も含めて最近よく思えてきました(笑)。最初はどうなんだろう?って思っていたんですけど。



── 歌詞の最後に〈愛々〉という言葉が出てきますが、そこはタイトルが先にあって、この言葉を歌詞に、ということだったんですか?



順番的には、この言葉が歌詞として最後に出てきて、それがそのままタイトルになったということになりますね。予感はあったんですよ。この最後のメロディに乗せる言葉のなかにタイトルがあるだろうなって。



自分にできることって何だろう?っていうことを知るために、今はどんどんいろんなことにチャレンジしていくっていう季節なんですよね

森山直太朗が語る新曲『愛々』誕生秘話!"理想を手放したとき、初めて理想に近づく"――デビュー24年目の本音と表現者としての覚悟

── 旅の途中のその先、つまり『愛々』の向こう側のイメージはありますか?



この先に関して言うと、よりジャンルにとらわれず、より軽やかで自由な活動になっていければいいなと思っています。『愛々』がリリースされる頃にはもう50歳を迎えているわけで、正直、あとどれくらいツアーできるんだろう?って思いますからね。だって、数えられちゃうじゃないですか。だからやりたいことをやりたい。でも、今自分がそれをやるべきなのかどうかっていう選別は、そこには客観的な目線が入らないとわからないから、ここからはこれまで以上にタイミングが大事になってくるんでしょうね。矛盾するようですけど、だからこそ自分のやるべきことを淡々とやり続けるしかないのかなと思います。



── 歩むべき道というのは、ある程度はっきり見えているんですか?



ある程度は。でもさっきも言ったみたいに、理想どおりにならないのが人生ですから、逆に明確なビジョンを掲げながらやってみるということもひとつかなと。例えそこに辿り着かなかったとしても、足りなかったものや捨てなければいけなかったものに気づかされるでしょうし。そういう感覚も含めて、今はより自由なマインドなんですよね。何かを深めていく段階というよりは、さらに広げていっているという感じがします。机の上にいろんなものを並べてそれを見ているというか。昔、渋谷のシアターコクーンでアルバイトをしていたことがあったんですよ。



── そうなんですか。



ええ。もぎりとか、入場の整理とか、そういうことをやっていたんですけど。僕の舞台感みたいなものの最もベーシックにあるのは、そこでの経験があるんですよね。というのも、勤務しながら同じ舞台を何度も観ることができたというのがとても大きかったんです。



── それは大学生くらいの頃の話ですか?



そうです。中島みゆきさんの『夜会』も観れましたし、つかこうへいさんもNODA MAPも。憂歌団もやっていましたね。もう本当に素晴らしい舞台ばかりでした。で、本当にこんなことを言ったら怒られるかもしれないんですけど、なかにはそうでもないものもあったんです。実は、そういうものを観れたことが大きかったんですよ。そういうのを観ながら、なんでここでいつも飽きちゃうんだろうっていうふうに考えることができたんですよね。でも不思議なことに、1カ月間で30公演やっていたとして、1回だけめちゃくちゃ受ける公演があったりするんですよ。それってなんでなんだろう? 毎回すべっていたあのシーンがどうして今日はこんなに受けたんだろう?っていう、舞台の機微みたいなものを肌で感じられたんですよね。あ、言っておきますと、本当はそんなにガッチリ観ちゃいけないんですよ、アルバイトなんで(笑)。でも僕は、お客さんそっちのけでずっと舞台を観てしまっていました(笑)。



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── たまにコンサート会場に行くとそういう子いますよね、舞台が気になって仕方がないって様子の(笑)。



それ僕です(笑)。そのアルバイトをしている頃、シアターコクーンの支配人をしていたのが、もうお亡くなりになったんですけど、田中珍彦(たなか・うずひこ)さんだったんです。若い頃はバンカラで、早稲田で学生運動をバリバリやっていたような、いわゆる団塊の世代の人ですよね。僕は大学に入ってもサッカーばっかりやっていたんですけど、2年生のときに部活を辞めて時間が急に空いたんですよ。で、母を通じて珍彦さんのことは知っていて、彼が誘ってくれたんです。サッカー以外の世界を見てみろということで。もちろんちゃんと面接試験をやって、無事に通って、いざシアターコクーンでアルバイトをするって決まった段階で珍彦さんがカフェでこんな話をしてくれたんです。「直太朗、君は若いからここにあるメニューを全部飲み食いすることができるだろう。だから頼みたいものを頼みな。でもおれはもう、コーヒーしか飲めないんだ。それしかいらないんだ」って。要するに、若いうちになんでも見ておけ、知っておけ、経験しておけっていうことを言ってくれたんですよね。「とにかく好きなものを机の上いっぱいに並べてみろ」と。だから珍彦さんはそうやって若い頃にたくさん並べたなかから今はコーヒーだけを選んだっていうことですよね。



── それを言われたとき、その意味を理解できましたか?



わからなかった。だから頼みたいものを頼みまくりました(笑)。飲み物もケーキも。



── それで正解だったんでしょうね。



今、僕は当時の珍彦さんの年齢に近くなっているんですけど、でも表現者として見た場合、デビューしてからは20年以上やっていますが、自分できちんとリスクを背負って曲や舞台をつくりだしたのって、ここ5年くらいなんですよ。だとしたら、表現者としてのあり方とかスキルってまだまだ駆け出しだと思うんですよ。だから、自分にできることって何だろう?っていうことを知るために、今はどんどんいろんなことにチャレンジしていくっていう季節なんですよね。それは、もっと早くやっておけばよかったことでもあるんですけど、でもどこかで、これが僕の音楽活動のあり方だったんだなって納得しています。肉体は年相応ですが――今日は股関節が痛いんですけど(笑)――表現者として今まさにチャレンジできていることは本当にありがたいと思います。実際に今、とくに舞台に関して言えば、やりたいことがたくさんあるんですよ。僕のことを応援してくれている人からすれば、まさに今回のツアーもそうだったように、いきなり何をやり出すんだって若干振り回されるような感じもあるとは思うんですけど、それくらいがちょうどいいかなと思います。



── そこはやはり、20年以上やってきた経験が加味されますから、いい具合かもしれませんね。



そう。それこそさっき御徒町の話をしましたけど、彼と一緒に何の利害もなく舞台づくりや曲づくりをした経験というのはどんな学校に何年通うよりも自分にとってはかけがえのない時間でしたから。そこは消えないですよね。



── 今このタイミングで『愛々』という曲が生まれ、世に出ることの意味がよくわかるお話でした。ありがとうございました。



ありがとうございました。



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<リリース情報>
「愛々」
※TBS系 金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』主題歌
配信中
配信リンク: https://naotaromoriyama.lnk.to/aiai



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「愛々」ジャケット

<ドラマ情報>
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』
毎週⾦曜 22:00~22:54
※民放公式テレビ配信サービス『TVer』と『TBS FREE』、動画配信サービス『U-NEXT』で見逃し配信も実施

<公演情報>
『森山直太朗 Two jobs tour 2025~26『あの世でね』~「弓弦葉」と「Yeeeehaaaaw!」~』
※終了公演は割愛
5月8日(金) 香川・サンポートホール高松 大ホール
5月9日(土) 愛媛・しこちゅ~ホール(四国中央市市民文化ホール)大ホール ~おりがみ~
5月16日(土) 山形・やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)
5月17日(日) 福島・ふくしん夢の音楽堂 大ホール
5月22日(金) 岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
5月23日(土) 鳥取・米子市公会堂
5月29日(金) 東京・浅草公会堂
6月5日(金) 福井・福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい 大ホール
6月12日(金) 神奈川・カルッツかわさき
6月19日(金) 長野・レザンホール(塩尻市文化会館)
6月21日(日) 京都・京都コンサートホール 大ホール
6月22日(月) 大阪・新歌舞伎座
6月30日(火) 東京・J:COMホール八王子
7月3日(金) 東京・NHKホール

【チケット情報】
全席指定:8,500円(税込)
https://w.pia.jp/t/naotaro-two-jobs-tour/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559289&afid=P66)



特設サイト
https://naotaro-tour.com/anoyodene/



森山直太朗 オフィシャルサイト

https://naotaro.com/



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