
毎年、多くのホラー映画が公開され、ヒット作を手がけた監督に注目が集まるが、ここ数年、映画界が最もその動向を注視している監督のひとりが、オズグッド・パーキンスだ。俳優として活動する一方、監督としてもヒット作を連発。
オズグッド・パーキンスは1974年の米国人で、映画界のキャリアは“俳優”として始まった。デビュー作は誰もが名前は聞いたことがあるサスペンス映画シリーズ『サイコ2』(1983)で、主人公ノーマン・ベイツの幼少期を演じた。というのも、彼の父は『サイコ』シリーズでノーマンを演じた名優アンソニー・パーキンス。彼にはふたりの息子がいるが、その長男がオズグッドだ。(弟はシンガーソングライターとして活動している)
全世界の観客を震え上がらせた名優にして怪優の遺伝子を継ぐオズグッドは、俳優としてクリス・パイン主演の『スター・トレック』シリーズや『NOPE/ノープ』などに出演。映画監督としても活動を開始する。
A24製作の『フェブラリィ~消えた少女の行方~』や『呪われし家に咲く一輪の花』などを監督し、着実に実力をつけた彼の大きな転機になったのが、2024年製作の『ロングレッグス』だ。
FBIの新人捜査官のリー・ハーカーは、平凡な一家で突然、父親が妻と子を殺害して自ら命を絶つ事件が過去30年の間に10回も起きていた謎に挑む。彼女が手をつけたのは、これまでの事件の資料と、現場に残された“ロングレッグス”という署名付きの暗号文。“ロングレッグス”とは何者なのか? そしてこの暗号は何を意味しているのか? リーは粘り強く捜査を続け、バラバラになっていた事実が次第につながっていき、やがて暗号に隠された法則も明らかになっていく。

『ロングレッグス』 (C)MMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.
パーキンス監督は、自身の語り口や演出法を追求する一方で、過去の名作の構造やアイデアを大胆に援用して作品の精度を高めるところに特徴がある。
その証拠に、続く監督作『THE MONKEY/ザ・モンキー』では、『ロングレッグス』のイメージを大きく覆すド派手で荒唐無稽な恐怖描写が次から次へと登場。彼の“引き出しの多さ”を感じられる作品になっている。
近年はどの監督作もヒットを記録しており、今後も“予想外”の展開を仕掛けてくることが予想される。オズグッド・パーキンス、この名を目にしたらまず劇場に行った方が良いだろう。ただし、間違いなくあなたは驚かされ、とてつもない恐怖を味わうことになるだろう。心してお出かけを。
<作品情報>
『ロングレッグス』

デジタル配信中
DVD発売中:5,280円(税込)
(C)MMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.
『THE MONKEY/ザ・モンキー』

9月19日(金)公開
(C)2025 C2 MOTION PICTURE GROUP, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.