
グランプリスラムを達成し、ゴール後にガッツポーズする佐藤水菜
宇都宮競輪で行われた3日制ナイターのGⅠ「第1回女子オールスター競輪」は10日、最終12Rで決勝を行い、佐藤水菜(26)=神奈川・114期=が捲りで圧勝した。佐藤は優勝賞金880万円(副賞含む)を手にするとともに、全GⅠとGPを制する「グランプリスラム」を女子で初めて達成した。
5車身差の2着はロング捲りの児玉碧衣後位から伸ばした久米詩、3着は久米後位になった柳原真緒。
シリーズの総売上額は34億8344万5400円だった(目標33億円)。
■ヒロイン
あまりのスピードの違いに、終BSで誰もが佐藤のVを確信した。5車身の差は、そのまま現在のガールズの力関係を示していた。
「やり切りました。思い残すことはありません」。まるで引退するような佐藤のつぶやきは、冗談のようでいて、それだけこの戦いに懸けていた証しだ。4月の岐阜GⅠオールガールズクラシックを制して、「グランプリスラムを達成したい」と口にした。6月の岸和田GⅠパールカップと、この第1回女子オールスターを取ると心に強く描いていた。
レースは残り1周で仲澤春香が出て、すかさず児玉碧衣が叩く展開。佐藤は「人の動きしか見ていなくて、距離感覚がなかった」と、あとゴールまでどれだけの距離が残っているか分からないほどにレースに集中しながら走った。「がむしゃらにもがいた」と1半から猛烈な6番手捲り。
表彰式では涙があふれた。「みんなが残ってくれて、胴上げをしてくれてうれしい。今がベストの状態。ギリギリでやっている」。まずは完全燃焼した。
22日から全日本トラック選手権が始まる。「そこは頑張ります。でも時間があるので、気持ちを立て直したい」。強さだけが際立つ佐藤だが、一人の26歳の女性。11月の小倉では年間グランドスラムの達成が懸かるが、しばらくは考えられなさそうだ。

表彰式前のインタビューで涙する佐藤水菜