
クイズ番組『東大王』(TBS)で人気を博し、東京大学医学部卒業とほぼ同時に結婚を報告した河野ゆかりさん(24)。さらに今秋からは夫ともにスイスに移住することも明かして話題になった。
結婚報告に落胆の声も…
――結婚を発表されただけでなく、旦那さんに帯同してスイスへ渡るという発表は、ファンにとってもかなり驚きだったでしょうね。
河野ゆかり(以下同) 多くの方が祝福をしてくださった一方で、「やはり女性は、夫の仕事の都合に合わせて自分のキャリアを諦めなければならないんだ」という落胆の声も聞こえてきました。
しかし、私は自身のキャリアのためにスイスへ行くことを決めました。それを説明しなかったので、誤解されてしまったんです。そういうコメントをみたときに、「あぁやっぱりそういう受け取られ方もあるんだ」と思いましたね。
実は結婚については、それほど強いこだわりがあって入籍したわけではないんです。ちょうど夫がスイスで仕事をすることになり、スイスでキャリアを築きたい私の目標とタイミングが重なったんです。
――実際、旦那さんは「女性が男性についてきて当然」という亭主関白な考え方の人ではないわけですよね? 家事の分担などが気になるところです。
全然違います(笑)。夫は、なんていうか、私がこれまで知り合ってきたなかで圧倒的に能天気ですね。いつも機嫌がよくて、高いテンションをキープし続けられる点を尊敬します。夫を見ていると、「毎日楽しそうだな」と思いますね。
亭主関白とは程遠くて、私は夫に「皿洗い担当大臣」と命名して、やってもらっています。他にも、家事は気づいたほうがやる感じですね。
家事負担において、完全に平等を達成するのは難しいと思うのですが、今のところ、うまくやれているほうだと思います。
――河野さんは“何担当大臣”なのでしょうか。
私は料理にこだわりがあるので、食事は私が作りたいんです。栄養素ごとにアプリで管理して、「今日はタンパク質が足りてないな」とか考えながら組み立てていくのが楽しいんですよね。足りない部分はサプリメントを摂取することもあります。
――いまだに日本の一部では「男性は女性がサポートするもの」という風潮があるなかで、河野さんがそうならなかった理由はどんなところにあると思いますか。
自分の両親をみていたからでしょうか。母親は非常にハードワーカーで、それに比較すると父親はワークライフバランスを取るタイプの人です。
どちらが正解というのはなくて、お互いに自分がすごしたいようにすごしていた印象があります。
例えば私には下に年の離れたきょうだいがいるのですが、しばしば育児を父親がやっているのをみてきました。
ただ社会全般においては、それが当たり前とはいえない現実も理解しているつもりです。
卑近な例でいれば、病院の学生実習でいろいろな科を回るのですが、外科の現場では「女の子は体力的にもきついし、出産・育児などのライフイベントもあるから」といまだに言われることも事実です。
海外においては女性の医療従事者が活躍できる環境が整っていると聞きますが、日本においては必ずしも達成されていない側面もあります。
夫婦別姓ではなく、姓を変更した背景
――結婚してみて、「これが1番揉めた」というのは何ですか。
難しいですね……。姓を変更する際の諸々の手続きは煩雑でした。そうした意味では「選択的夫婦別姓」もいいのではないかと私は考えていました。
特に自身の苗字にこだわりがあったわけではないものの、姓を変更する側の苦労を考えると、釈然としない気持ちにはなりますよね。
しかしそれも、夫が「手伝えることは手伝うから」と言ってくれたので、私が姓を変更することで落ち着きました。
――河野さんは小学校から兵庫県の神戸海星女子学院に入学し、そのまま12年間を女子校ですごされました。
人格形成においてどれだけ影響があったかはわかりませんが、大切なものを学ばせてもらった場所だと思っています。女子校なので男子と張り合う必要もなく、ゆっくりと自らの興味関心と向き合えた部分もあるでしょう。
ただ、小学生くらいまでの私は絵に描いたようなアホだったので、今でも本質はそっちではないかと思ってるんです(笑)。
――今の河野さんと“絵に描いたようなアホ”が結びつかないんですが……(笑)。だとすれば、何がきっかけで覚醒したのでしょうか。
小学生のとき、外部進学をする子たちがいたんです。当時の私は勉強が嫌いで、どちらかといえば熱心ではありませんでした。しかしその外部進学の子たちから勉強面においてマウントを取られたのが悔しくて、勉強をやるようになったんです。
先ほどの栄養管理の話とも共通するのですが、ひとつひとつをクリアしていく過程がすごく楽しくて、気がつくと勉強が少しできるようになっていたんですよね。
――24歳という若さで河野さんは結婚を決めました。結婚生活における、今後の展望を教えてください。
出身校の同級生を見まわしてみても、24歳で結婚した人は多くありません。特に医療従事者のなかでは、相当早い方かもしれません。でもうちの母親は大賛成で、「今しかない、すぐに結婚しなさい」という感じで(笑)。
すでに臨床現場に出ている同期と自分を比較して、出遅れたように感じて少し落ち込んだとき、夫はいろんな方法で寄り添ってくれます。
「この動画でいいこと言っている人がいるから」と送ってくれたり、心配の根源を探るべくとことん話してくれたり。私は子どもが好きなのでいずれは出産を経験して、家族みんなで支え合えるような生活が続いていけばいいなと思っています。
#2 に続く
取材・文/黒島暁生 撮影/野﨑慧嗣