「ユニクロの素材、どんどん劣化してない?」問題にMBが意外すぎる一発回答「素材のユニクロ、デザインのGU、であることは間違いない。けれど……」
「ユニクロの素材、どんどん劣化してない?」問題にMBが意外すぎる一発回答「素材のユニクロ、デザインのGU、であることは間違いない。けれど……」

いまや日本を代表するグローバルブランドに成長したユニクロと、2006年に立ち上げられたGU。ともにファーストリテイリンググループが運営するアパレルブランドだが、そのマーケティング戦略は驚くほど異なるという。

年収200万円のアパレル店員時代の経験を基に、成功を呼び寄せる法則をまとめた書籍『ロードマップ』を上梓したMB氏にユニクロとGUの違いについて、改めて解説してもらった。

「ユニクロとGU、どっちがおすすめですか?」

「ユニクロとGU、どっちがおすすめですか?」

度々こんな質問をいただきます。

同じファーストリテイリンググループに属し兄弟関係であるユニクロとGUですが、実は「どっちがおすすめ」と簡単には言えないほど両者にはコンセプトレベルで違いがあるのです。

まず数字を用いて事実ベースで解説を進めましょう。

ユニクロの店舗数は現在全世界2513店舗、対するGUは478舗(2025年4月末時点)です。当たり前ですが、モノ作りにおいては生産数が単価に響きます。

同じTシャツを作るにしても10枚作るのと1000枚作るのとでは単価が違ってきます。店舗数に5倍もの差がある両者ですから、当然のことながらコスパがいいのはユニクロといえるでしょう。

ここでいうコスパとは「素材のよさ」です。

ユニクロはエアリズムなら全世界1億枚以上の販売実績があるため、他ブランドと比べると単価が極めて安い。

カシミアやセルビッジデニムなどの上質素材でも、他ブランドでは実現できないほど圧倒的に単価を下げられるのは膨大な店舗数があるからです。

反面、ユニクロは2500店舗あまりの顧客全てを満足させなければいけないため、結果シンプルなデザインに偏りがちです。

デザイン性が高いほど購買層が限定されます。

プリントがひとつ増えるごとに好き嫌いが出てくるでしょう、シャツのポケットが増えるほどに苦手な人が出てくるはずです。

世界中の顧客を等しく喜ばせるためにはシンプルなデザインにするしかありません。しかして「特別な素材」こそが彼らの強みであり、「シンプルなデザイン」こそが彼らの弱みとなるわけです。

GUの強みは「ブランド見えする服」

他方GUはユニクロの5分の1ほどの店舗数しかありません。ユニクロ以外のファストファッションブランドにも勝てません。

だからこそ彼らはデザインに特化しています。

数を作れない以上、素材のよさで差別化はできない。では小規模の強みを活かしユニクロが作れない「トレンドデザイン」を追求する道を選んでいます。

だからこそGUは型数も多く、デザインバリエーションも非常に多い、「ブランド見えする服」として人気を博しています。

その反面、ユニクロほど素材にこだわることができないため、いささかチープさを感じさせてしまうことも。強みは「デザイン」にあり、弱みは「素材」にあるといえるでしょう。

さらに深掘りしていきます。

ユニクロの店舗数は2513店舗と書きましたが、実はそのうちの国内の店舗は全体の1/3ほどしかありません。

ユニクロは日本から始まったローカルブランドですが、今では海外店舗のほうが多いグローバルブランドに成長しています。だからこそ「日本市場」を昔ほど意識していません。

広告も外国人モデル、展開アイテムも日本の流行を意識していません。

いっぽうGUは現在海外店舗数はわずかで。その大半がアジアです。国内及びアジア市場に注力しているからこそ、だからこそ日本市場に向けた細やかなトレンドを追いかけることができています。

GUは日本で人気のCtoCアプリ「メルカリ」などを徹底的にリサーチするなどして、人気のある古着デザインをリプロダクトしていると聞きます。

昨今異常な盛り上がりを見せているヴィンテージのスウェットやTシャツを模して作ったり…限定的な市場だからこそ可能な丁寧なマーケティングがうかがえます。

両者を語りきることは難しい

まとめるとユニクロは「素材はよいがシンプル志向」、GUは「日本で人気のデザインを安価で実現、その反面、素材はユニクロに劣る」というところでしょう。

無論ユニクロも自身の弱点を理解しており、弱点を補うためにデザイナーズコラボを展開しています。

過去にはジル・サンダー、現在はクロエやジバンシイなどで経験を積んだクレア・ワイト・ケラーやエルメスのディレクションを手がけたクリストフ・ルメール、そしてDiorのメンズの新ディレクターに起用されたジョナサン・アンダーソンなどを協業相手として展開しています。

これらはユニクロが苦手とするデザイン面を上手にサポートしてくれており、「ファッションアディクト(服好き)」を一定数流入させることに一役買っています。

また、GUも「素材がチープで大人が振り向かない」という自身の弱点を理解しており、近年ではスーツや革靴などビジネスシーン向けの商品展開を強化。

3000円ほどで本革の革靴を展開するなどコストメリットを打ち出して30代以上の流入を実現しています。

「ユニクロとGU、どっちがおすすめですか?」

などというシンプルな質問ではこの両者を語りきることができません。強いて言えば素材に強いのがユニクロ、デザインに強いのがGUですが、店舗やマーケの違いなど様々な特色があるのが理解いただけたかと思います。

ユニクロの素材はどんどん粗悪になっていく?

最後に「ユニクロの素材はどんどん粗悪になっていく、すぐダメになる」という言説を、最近のネット上では多く目にします。

この道20年の私から言わせていただくと、それらはいささか的外れかと思います。確かにユニクロのアイテムは年々耐久性が下がっていると私も思います。しかしそれは「素材が粗悪になった」のではなくむしろ「素材が高級化しているから」です。

カシミヤやリネン、コットンでも希少素材を採用したりと近年のユニクロが使う素材はミドルプライス以上のブランドが用いるものと同等かそれ以上です。そしてこうした高級素材とは得てして耐久性が低いものなのです。

ルイ・ヴィトンやエルメスなどが使う光沢のある繊細なコットンとワークマンなどでも見られるガッシリとした厚手のコットンだとどちらが丈夫だと思いますか? ウールとポリエステル、リネンとアクリルだったら……議論の余地はなく後者が丈夫です。

もちろん厳密にはケースバイケースではありますが、大枠として高級素材・希少素材のほうがもろく耐久性が低いものなのです。

日本人は「高いもの=長持ちする」と誤解していますが、実際はそうではありません。

むしろ安く作られた中国製の粗悪なコットンは丈夫で、イタリア製の高級コットンはもろいのです。

高級素材は高級だからこそ、それを扱うリテラシーが必要となります。

ユニクロは高級志向で値段不相応なものを開発しているがゆえに、耐久性を犠牲にしているといえるでしょう。

もちろん実用品として耐久性の高さにフォーカスしたものもありますが、基本的にはワークマンなどそれらを強く意識したブランドとの差別化もあり、高級素材に傾倒していることが多いです。

なので「ユニクロは素材をケチッてる」といわれのない風説を流布されるのは同じ業界人としてちょっと可哀想だなとも思います。もちろんそれをしっかり説明しないユニクロにも落ち度は大いにあるのですが、少なくとも「粗悪な素材」を使い出しているわけではないと理解したほうがいいでしょう。

以上、今回はユニクロとGUについて比較しながら両者の違いを語っていきました。お買い物の際はぜひ頭の片隅に留めておいてください。

取材・文/MB

ロードマップ

MB
「ユニクロの素材、どんどん劣化してない?」問題にMBが意外すぎる一発回答「素材のユニクロ、デザインのGU、であることは間違いない。けれど……」
ロードマップ
2025/3/261,650円(税込)208ページISBN: 978-4594098209

地方のしがないショップ店員はなぜ成功できたのか?
その秘密はロードマップにあった


一所懸命に働いても幸せになれない。人間関係は思うようにいかず、日々は暗いまますぎていく。なぜ自分の人生はうまくいかないのか? それは「ロードマップ」がないからです。ロードマップとは、何を目的にどう頑張るかといった人生の指針となるもの。例えば、マラソンにはゴールがあります。

人間が42.195㎞という長距離を走ることができるのは、ゴールがあるからです。もし仮に、ゴールのないマラソンがあるとすれば、それは競技ではなく、ただの罰ゲームです。あなたの人生にゴールはありますか? なんのために働いて、なんのために努力していますか? ゴールを設定しないと、努力は徒労に終わります。なぜなら目的のない努力には意味がないからです。人生においてもっとも肝心なことは、自分で「ゴール」を定めることです。他人が決めた基準ではなく、自分の幸せの形を決めること。ゴールと道筋、すなわちロードマップが決まれば走りかたが見えてきます。ゴールのないマラソンを走るのはいますぐにやめましょう。本書は、あなたの人生の指針となるロードマップを一緒につくりあげることを目的としています。

〈目次〉
第1章 奴隷と王様の違い
奴隷の論理
持たざる者の戦いかた
【奴隷の論理】3つの戦略
【奴隷の論理①】生存領域を見つけよ
「生存領域①」個性を深掘りせよ
「生存領域②」ブルーオーシャンを探せ
【奴隷の論理②】ロードマップを描け
「ロードマップ①」ゴールと時間を決めよ
「ロードマップ②」一日一時間戦略を使え
【奴隷の論理③】具体化して習慣とせよ
「具体化①」役割を担え
「具体化②」ロードマップを細分化せよ
第2章 わかっていても人は動けない
成果を得るための3つのフロー
【思考①】相手が誰かを定義せよ
【思考②】常に考え続けよ
【思考③】ネットに頼るな
【行動①】集中力を保て
【行動②】10年後を想像せよ
【結果①】成果を振り返れ
【結果②】他人の助力を使え
【結果③】諦めよ
第3章 僕たちはどう生きるのか
僕たちの4つの生きかた
【サラリーマンとして生きる】
サラリーマンでも幸せになれる
サラリーマンこそ働きがいにこだわれ
サラリーマンのロードマップの描きかた
サラリーマンこそ交渉しよう
サラリーマンは理想にこだわりすぎない
【本業と副業で生きる】
副業は簡単に稼げる
副業が続かない理由
副業が続く理由
【起業して生きる】
【仕事を諦めて生きる】
生きかたに迷っているあなたへ
第4章 自分らしく生きていこう
「こうすべき」ではなく「こうしたい」
自分らしさを取り戻そう
モチベーションのつくりかた
疑問を持つことを恐れるな
ネガティブをひっくり返そう
あなたがやるべきこと

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