「マンションに住みながら投資する」って一体どういうこと? 購入価格から下がっても“資産”になるカラクリ
「マンションに住みながら投資する」って一体どういうこと? 購入価格から下がっても“資産”になるカラクリ

不動産価格の高騰を受けてか、「資産性のあるマンションを買うべき」「リセールバリューを意識することが大切」という言葉がSNS上を飛び交っている。しかし、「資産性が高い」というのはそもそも何を意味しているのか。

 

マンションブロガーとして絶大な信頼を集める2LDK氏の初の著書『絶対に失敗しないマンション購入の教科書』より抜粋・再構成し、「資産性」についての考え方を解説する。

マンションの「資産性」の正体

マンションをはじめとする不動産は住まいであると同時に資産としての側面を持ちます。よって住まいとしての住心地である「居住性」と資産としての価値である「資産性」の双方を見定めてマンションを選ぶことが重要です。

ここではまず資産性について整理します。マンションの価格が買った価格から維持されているか、あるいはどれだけ値上がりしたかをもって、「資産性が高い」と表現されます。

人によって定義や解釈にブレがあるので、本記事では資産性という言葉に代わって「リセールバリュー」という言葉を用います。リセールバリューとは購入したものを売却する際の価値を意味します。マンションにおけるリセールバリューは「売値÷買値×100」で購入額に対する価格維持率(%)を算出することが一般的です。リセールバリューのより高いマンションを資産としての価値が高いマンションと定義して進めていきます。

耐久消費財であるマンションは築年数が経てば経つほど価格が下がっていくのが一般的です。中古マンションの築年帯別平均㎡単価を見ても、築年数が経つごとに㎡あたりの単価が下がっていく傾向が確認できます。

ただし、ここで注意しておきたいもう一つの視点があります。それはマンションそのものの価格が値上がりしていることです。

2014年~2025年までの首都圏中古マンションの㎡単価推移ですが、2014年7月に41万円/㎡だったのが、2025年6月には83万円/㎡と約10年で約2倍に上がっています。仮に、築年数の経過によって10年間で約20%価格が下がったとしても、相場全体がそれ以上に上昇していれば、結果として「購入時より現在のほうが価格が高い」という状況が起こり得ます。

もう一つ重要なのが、毎月の住宅ローンの返済です。多くの人は住宅ローンを使ってマンションを購入しています。ここでは、7,000万円のマンションを、35年・フルローン、元利均等返済、金利0.8%で購入したと仮定します。この条件であれば、10年後のローン残債はおよそ5,200万円のため、借入額の約4分の1が返済された状態になります。仮に購入から10年後に、購入時と同じ7,000万円でマンションを売却できたとすると、売却代金からローン残債を差し引いた約1,800万円が手元に残る計算になります(税金や売却にかかる諸費用はここでは未考慮)。価格が「上がっていなくても」、ローンの返済が進むことで、売却時には一定の資金が残ります。これが、マンションが「住まい」であると同時に、「資産」になるということです。

住みながら投資という考え方

買った価格より高く売れれば、利益がでることはわかりやすいと思います。しかし、必ずしも値上がりしなければ資産にならない、というわけではありません。仮に買った価格から値上がりしなくても、住宅ローン残債の減少スピードよりマンション価格の減少スピードの方がなだらかであれば売却した際に利益を出すことが可能です。

たとえば、35年ローン・金利0.8%で住宅ローンを組んだ場合、返済開始から10年目までの残債は平均すると年間およそ2.6%のペースで減っていきます。

一方、先ほど触れた中古マンションの築年数別㎡単価の推移を見ると、平均的なマンションの価格は、年ごとにおよそ2.0%程度ずつ下落しています。この二つを比べると、2.6%(住宅ローン残債の減少)−2.0%(マンション価値の減少)=0.6%となり、マンションの価値が下がるよりも早いペースで、住宅ローン残債が減っていきます。イメージとしては7,000万で買ったマンションの価値が10年後、5,600万になっていたとしても、住宅ローンの残債が5,200万になっていれば差額の400万が手元に残る計算になります。

このように、マンション価格が値上がりしなくてもマンションを資産にすることは可能です。今回のケースだと単純計算で0.6%×居住年数分利益が増えていきますので、長く住めば住むほど利益が大きくなります。毎月支払う住宅ローンの一部が積立投資のようになるため、巷ではこれを住みながら投資と呼んでいます。リセールバリューの高いマンション選びのポイントさえ間違えなければ、これは決して難しいことではありません。

「終の住処として買うため、リセールバリューなんて関係ない」と思う方もいるでしょう。ですが私は程度の差はあれど、すべての人にリセールバリューを意識してほしいと考えています。なぜなら人生には予期せぬ出来事によって、売却や住み替えを余儀なくされることが起こり得る可能性があるためです。

たとえば、フルリモート前提で郊外に住まいを購入したものの、急に出社が必要になった。あるいは、隣人トラブルや管理状況の悪化など、自分ではコントロールできない理由で住み替えを考えざるを得なくなるケースもあります。

そうなった時にリセールバリューの高いマンションを選んでおけば、いつでも好きな時に住み替えを行うことができます。もちろん、気に入った住まいで長く暮らせることが一番幸せです。ただ、万が一のときに軌道修正できる余地があるかどうかは、精神衛生上も大きな違いになります。

リセールバリューが低いマンションで住み替えや売却を行った場合、売却価格が住宅ローンの残債を下回る「残債割れ」が起こる可能性があります。この状態だと、売却時にその差額を現金で補填しないとローンの完済ができず、売却を行うことができません。手元に潤沢な資金があって、残債割れリスクを気にする必要がない人にとっては関係ない話ですが、多くの人は数百万・数千万の現金をいきなり用意することは簡単ではないはずです。リセールバリューばかり意識して住みたくもない街やマンションに住むのは本末転倒ですが、リセールバリュー「も」意識してマンション選びをすることで将来のリスクを低減することができます。

文/2LDK(マンションブロガー)

『絶対に失敗しないマンション購入の教科書』ぱる出版

2LDK
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『絶対に失敗しないマンション購入の教科書』あさ出版
2026/4/101760円(税込)208ページISBN: 978-4827215380マンション購入に必要な知識を初心者でも理解できるよう体系化した実用書! 賃貸と購入の比較、営業マンとの距離感、マンション価格の見通しなど購入前に知っておきたい思考整理から、街選びや間取り、資産性を見極める基準までを解説。さらに、新築と中古それぞれの購入プロセスや注意点、適正価格の判断、住宅ローンや保険の基本までを一冊に収めました。 断片的にしか得られなかった情報を網羅的に整理し、「買うべきタイミング」「避けるべき物件」「買ってから後悔しないポイント」までをカバー。これからマンションを検討するすべての人が、安心して判断できるための最良のガイドとなる一冊です。
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