大相撲の春巡業が16日、横浜市で行われた。3月下旬から始まり、全27か所開催の今巡業は横綱・大の里(二所ノ関)、大関・安青錦(安治川)らがけがなどで休場者が多発。

巡業対象力士の3割以上の計16人が不在で、興行としては“人手不足”に悩まされている。高田川巡業部長(元関脇・安芸乃島)は十両力士からの補充は行わないと説明しており、通常の取組だけでなく、幕内選抜トーナメント戦を実施。苦肉の策を講じてつないできた異例の巡業を、大相撲担当の林直史キャップが「見た」。

 午前に行われた関取衆による申し合い稽古での光景が、巡業参加力士の少なさを物語っていた。普段は土俵を取り囲む力士たちの隙間を探し、必死に稽古内容を確認するが、この日はまばら。相撲を取る姿をはっきりと見ることができた。

 今巡業は休場者の多さが目立っている。初日時点で9人だったが、その後に大関・安青錦、幕内・義ノ富士らが離脱。15日に横綱・大の里、幕内・藤ノ川、錦富士が加わり、17人に達した。この日から幕内・藤青雲が復帰したものの、幕内と十両3枚目以内の対象者48人のうち、3分の1にあたる16人が不在。十両から1人を補充しているが、協会関係者は通常通りの進行をする上で「ギリギリではなくマイナス」と頭を抱える非常事態となっている。

 ファンにとって、巡業は力士たちとふれ合える貴重な機会だ。

この日もグッズ売り場に並ぶ列から「大の里、いないんだね…」とさみしそうに話す声も耳にしたが、協会側も手を打っている。高田川巡業部長は十両から新たに補充する考えはないと明言した上で「今いる力士でどうやったらお客さんに喜んでいただけるのか。いろいろと考えて、試みている」と明かした。

 その一つが、15日から導入した幕内選抜トーナメント戦だ。8人で通常の取組を行えば計4番だが、トーナメント制では計7番となり、緊張感も増す。出場力士は負担を考え、日々入れ替えていく方針。この日は人気力士の宇良が優勝し、会場は大いに沸いた。

 今後、巡業を控える関係者は「通常のプログラムであれば1時間ぐらい早く終わってしまう人数。不安はある」と吐露しつつ、協会から提案を受けて中身を練り直しているという。入場券の売れ行きは好調で「巡業は地域も盛り上がる。何とかお客さんに満足していただけるようにしたい」と語った。29日間で27回の春巡業も残り10回。

逆境を工夫で乗り越え、夏場所の盛り上がりにつながることを期待したい。

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