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前編:河村勇輝の「NBA挑戦2年目総括」

河村勇輝のNBA挑戦2年目のシーズンが終了した。今季はシカゴ・ブルズと2ウェイ契約を果たし、序盤戦こそケガで出遅れたものの、コートに復帰後は確かな成長の跡を残した。


河村は今シーズン、何をつかんだのか? そして今、何を思っているのか? 今夏も含めた日本代表活動、ホーバス前HCへの思いも含めて、前後編の2本立てでお届けする。

【「テイクチャージ」誘発に見る成長の跡】

 河村勇輝の"2年目の成長"を実感させられるゲームだった。

 2025-26シーズンのNBAも最終盤の4月9日――。敵地ワシントンD.C.で行なわれたウィザーズ戦での河村勇輝は21分46秒プレーし、6得点、4リバウンド、4アシスト、0ターンオーバーの活躍でシカゴ・ブルズの勝利に貢献した。

 3ポイントショットは4本の試投で成功ゼロとシュートタッチがよくなかったにもかかわらず、接戦のゲームで重要な時間帯にコートに立ち続けた。何よりもその事実に意味がある。大差がついたなかでキャリアハイの14得点をマークした今季最終戦(4月12日のダラス・マーベリックス戦)と比べても、その価値は高かったといえよう。

 このゲームでビリー・ドノバンHCをはじめとする首脳陣から信頼を得られた理由は、シンプルにディフェンスが及第点以上だったから。試合後、河村本人の言葉からもその手応えが感じられた。

「テイクチャージ(攻撃側のファウルを誘発すること)を取ることだったり、守備で役割をしっかりと果たすことができれば、 オフェンスが多少うまくいかなかったとしても、安定してミニッツをもらえるということ。バスケットをやるなかで、やはりディフェンスが一番大事。そこの信頼を勝ち取ることが大事かなと思っています」

 実際、この日の河村は相手から複数のオフェンシブファウルを誘発。第3クォーターにはフレグラントファウルを受け、2本のフリースローを獲得する場面もあった。

ゲームを通じてペリメーター(3Pライン近辺)での守備に大きな綻びはなく、オフェンスでも持ち前の機転の効いたパスワークでチームに貢献した。低迷中のウィザーズとの"消化ゲーム"ではあっても、NBAでの2年目終盤にこのようなパフォーマンスができたことに、河村も確かな自信を感じたのではないか。

 ブルズの2ウェイ契約選手としてプレーした河村は今季、Gリーグでは平均18.7得点、10.9アシストという立派な成績をマークした。右下肢の血栓によって出遅れたためにNBAでの出場試合数は18試合にとどまったものの、それでもプレータイム、得点、アシスト、リバウンド、スティールなどほぼすべての主要カテゴリーにおいて前年比で平均数値はアップ。それと同時に、より重要な時間帯、勝利のチャンスがある状況でのプレー機会は確実に増加した。「バスケットボールはチームスポーツ。とにかくチームの勝利に貢献できるようなプレーヤーであることを証明したいです」とも語っていた河村にとって、何よりもうれしいのはその部分だったはずだ。

【NBAの強度への慣れがさまざまな手応えに】

河村勇輝がNBA挑戦2年目で掴んだ手応え「やはりディフェンスで信頼を得ることが一番大事」
継続した体づくりがディフェンス向上につながったことは大きな自信に photo by Getty Images
 繰り返しになるが、すべてはディフェンスの向上ゆえに違いない。オフェンスに関しては1年目から毛色の違うひらめきを感じさせるプレーを見せており、数少ないプレー機会のなかでもハイライトシーンを生み出せていた。ただ、どれだけ得点に絡んでも、すぐに失点を献上してしまえば貢献度はマイナスなのがバスケットボール。身長173cmという小柄な身体の河村は相手からすれば格好のターゲットだが、今季を通じて一方的に狙われる場面は減少していった印象がある。

「2シーズン目ということでNBAの強度にだいぶ慣れつつあります。

ディフェンスをするうえで相手のオフェンスとの駆け引きだったり、そういったところもよくなっています。それらがディフェンス向上につながっているのでしょう」

 今の河村は試合前後のウェイトトレーニングを欠かしておらず、おかげで身体は目に見えてたくましくなった。単なるビルドアップを目指すのではなく、ブルズのトレーナーの指示を仰ぎ、しなやかさや身体のキレといった長所を失わないように留意しながら筋力を大きくするためのメニューを継続したという。

「この1年間、ブルズでやってきて、コンタクトをしたあとにしっかりとプレーするところがよりよくなっていると思っています。そのためには身体も強くないといけないので、トレーニングを心がけています」

 いわゆる"NBAボディ"が徐々に整ってきており、それが攻守両面に好影響を及ぼしているのだろう。

 ディフェンスについて断っておくと、上達したといえ、河村がハイレベルのディフェンダーになったと指摘したいわけではない。サイズ不足はNBAの世界では計り知れないほど大きなハンデであるが、そのマイナスを減少させている段階だということ。まだ先は長いとしても、少なくとも前に進んでいるのは確かである。最大の課題を徐々にでも改善できているのであれば、未来への希望は膨らむ。

「去年、メンフィス(グリズリーズ)にいたとき以上にコートに出たらやれるんだっていう気持ちは強くなっています。だからこそ自分のプレーの評価のハードルも高くなってきています。昨季は3ポイントを1本決められたら合格点かなと思えたところが、今ではまだまだやらないといけないという気持ちになっている。

高い目標を掲げ、自分にもより厳しくできていることは成長にもつながるかなと思っています」

 渡米時にはもともと"3年計画"を語っていた河村にとって、NBAではもう若くない25歳という年齢になって迎える来季は「勝負の年」である。そんなビッグイヤーを前に、"ホップ、ステップ、ジャンプ"の2歩目は価値のあるステップだった。NBAだけの話ではない。こうして世界最高レベルのリーグで奮闘することは、河村が熱い意欲を示す日本代表でのプレーにも好影響を及ぼすのだろう。

 波乱の2025-26シーズンは明日へとつながる重要な通過点。シカゴで過ごした1年間のなかで、河村が大きな収穫を得たことは間違いない。

後編につづく「独占インタビュー:日本代表への強い想いとホーバス前HCへの感謝、そして忘れられない言葉」

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