「麻生派の派閥色が強すぎ…」高市首相を支える新グループ「国力研究会」って何? 麻生・茂木・小泉ら集結で“総裁選の無投票再選”を目指すも、囁かれる“弱点”
「麻生派の派閥色が強すぎ…」高市首相を支える新グループ「国力研究会」って何? 麻生・茂木・小泉ら集結で“総裁選の無投票再選”を目指すも、囁かれる“弱点”

自民党内で、高市早苗総理を支える議員グループ「国力研究会」が発足し、5月21日には初会合を予定している。略称は、高市総理が昨年の自民党総裁選で掲げたキャッチフレーズ「Japan is Back」にちなみ、「JiB」とするという。

この“ジャパン・イズ・バック議連”は一体、何を目的とする組織なのか――。

「高市一強」で党内政局封じ? JiBに集う実力者たち

「高市総理を来年の自民党総裁選で勝たせるグループです。できれば無投票再選で高市総理の再選を果たしたい。そのために、必要なメンバーを集めています」

筆者の取材に対して、高市総理に近い自民党中堅議員は、JiBの狙いを率直にそう語る。

高市総理は、石破茂前総裁の残り任期を引き継いでいるため、総裁任期は2027年9月までとなっている。来年に予定されている自民党総裁選のためにつくられたのが、この「JiB」というわけだ。

主導権を握るのは、高市総理誕生の立役者となった麻生太郎副総裁である。

「昨年の総裁選では、派閥をあげて高市総理を支援した。85歳と高齢ですが、領袖を務める麻生派は、衆院選以降も拡大し、60人規模の一大勢力となっています。

高市総理も、来年の総裁選を考える上で、麻生さんを頼りにしているのは間違いなく、麻生さんの助言には耳を傾けます」(高市周辺)

自民党議員に配布された「『国力研究会』発足とご参加のお願い」と題された文書には、こう記されている。

〈この国難に際して誕生した高市政権は、「日本列島を、強く豊かに。」という理念のもと、「責任ある積極財政」「安全保障政策の抜本的強化」「政府のインテリジェンス機能の強化」といった重要な政策転換を掲げて国民の信を問い、その力強い信任を得ました。 政府与党は一体となって、国民に約束した公約の実現に邁進しなければなりません(中略)いま求められているのは、 現実的な政府と与党の連携です。 今こそ自民党は一体となって未来へ挑戦し、政策を実行しなければなりません〉

このように、自民党が政府と一体となって、高市政権を支えていくことが説かれているのだ。

発起人には、麻生氏や萩生田光一幹事長代行のほか、昨年の総裁選で高市総理のライバル候補だった茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長も名を連ねている。

「高市総理は、今年2月の衆院選で自民党を歴史的大勝に導いた。自民党内では高市一強状態といえる。このまま支持率の悪化などがなければ、党内政局は起こりにくい。

小泉氏や、小林氏といった総裁候補たちも、それぞれ身の振り方を考えたのでしょう」(自民党関係者)

ほかにも松山政司参院会長、西村康稔選対委員長、有村治子総務会長、山谷えり子元拉致担当相、加藤勝信元財務相、中曽根弘文元外相が発起人となっている。

「麻生派色が強すぎる」党内から漏れる警戒感

とはいえ、“外された”総裁候補もいる。

「林芳正総務相です。林氏は昨年の総裁選にも出馬した。今も、総理を目指すことを念頭に、『地方を回れる役職』ということで、総務相についています。

総裁選のライバルとなりえるため、発起人から外されたと言われています。麻生氏は、林氏の後ろ盾とされる古賀誠元幹事長とは距離があるとされ、麻生人事という見方もできます」(自民党関係者)

“麻生色”の強さは、JiBの実務面からも見て取れるという。

「JiBの実務面を取り仕切るのは、3人。

木原稔官房長官、高市総理の松下政経塾時代の先輩で最側近といわれる山田宏参院議員、麻生側近の井上貴博総理補佐官です。山田氏も井上氏も、麻生派所属です」(JiB関係者)

事実上の派閥を立ち上げた武田良太元総務相が発起人となっていないのも、“麻生人事”だからという側面もあると指摘されている。

麻生氏と武田氏は、地元・福岡で熾烈な主導権争いを繰り広げてきた経緯がある。

「麻生政権時代に“麻生おろし”を仕掛けて以来、因縁関係にあるとされる石破茂前総理や、総裁選で麻生氏と行動をともにしなかった岸田文雄元総理も、発起人となっていない。

“政府与党と一体となる体制”を目指すなら、有力議員をすべて巻き込み、高市総理をよりオール自民党で支えるような枠組みにしたほうがよかったのではないか。麻生派の派閥色が強すぎる懸念があります」(別の自民中堅議員)

JiBは、5月21日に、ジョージ・エドワード・グラス駐日アメリカ合衆国大使を招き、「トランプ大統領・高市首相による日米黄金時代のビジョン」というタイトルで講演会を開催するという。

党内政局においては、まさに“高市一色”の自民党だが、ここにきて懸念されている点もある。

「週刊文春が報じた誹謗中傷動画問題が国会で問題になっているが、官邸は十分に対応できていない面があります。

本来は、官房副長官らが当局情報などを集めて危機管理対応にあたるべきですが、そういった“汚れ役”ができる人がいない。衆院選であれだけ大勝したため、高市総理に対して、厳しいことも含めて、直言できる人が足りなすぎます」(官邸関係者)

目論見通り、高市総理はJiBを起点として、来年の総裁選で「無投票再選」を果たせるのか。それには、党内政局のみならず、安定感のある国会対応も不可欠だろう。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班

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