こんにちは、エキレビのロリコン担当たまごまごです。
まあスイッチが入ってしまったきっかけは色々あるんですが、一番でかかったものの一つは星里もちるの『りびんぐゲーム』ですね。

15歳の女の子いずみちゃんと一緒に住むことになる25歳男子、というおいしすぎるシチュエーションで歳の差カップルのよさを叩きつけられて以来、すっかり星里もちる作品のヒロインにはときめきっぱなしの日々です。
ずるいよあれはずるい。色々目覚めてまうやろ。
さて星里もちるの新作がリュウコミックから発売されました。タイトルは「ちゃんと描いてますからっ!」
主人公は中学生&小学生の女の子!
イエス! 待ってました! 星里もちる先生の描くちょっと地味めな(←ポイント)少女待ってました!

で、表紙を見ていただけるとわかると思うんですが、「一体何をしているの?」状態ですよね。ヒロインは中学生&小学生の女の子、はいはい、わかったわかった。
でもなんでマンガを描いているのか。
それは漫画家の父親が全くマンガを描かないからです。
少年少女の純真や痛みを伴った青春を描く星里もちるの新作は、なんと「ダメおやじと頑張り少女」作品でした。
働く小学生が急増中!? ダメおやじと頑張り屋少女(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース
いやあ……ほんと働かないおやじと、働く女の子マンガ増えたなあと思っていましたが、まさか星里もちる作品にまでその波が及ぼうとは。
 
主人公、歩未のお父さんは「平原大地」という漫画家。有名といえば有名、そうでないと言えばそうでないなかなか微妙な位置。
お笑いタレントで言うと明石家さんまではなくビビる大木。いや十分すごいんだけど、確かに、うん。
平原大地はネーム(マンガのもとになる下書きの下書き。物語とコマ割りのベースになるもの)を切るスピードは超一流だし、実際に絵を描くとめちゃくちゃうまいのです。
ところがとにかく描かない。
下書きからペン入れ、そして仕上げ(線を整えたりトーンを貼ったりする)という作業を一切しない。
しないどころか逃げ出すのです。
そんなんなら漫画家やめちゃえよ! と思うのですが、これがそこそこ売れてるんですよ。サイン会をやるシーンがあるのですが(最近は漫画家さんのサイン会が全国で頻繁に行われています)娘の歩未も「あんなダメなお父さんのサインなんて誰もほしがらないよ」と考えるじゃないですか。目の前でさ、描いてないし。
ところがサイン会にものっすごい人いっぱい集まるんです。そしてサインしてもらって感極まり泣き出す人もいるんです。

確かにお父さんはマンガを描かない。しかし物語をつくりネームを切っているのはお父さん。お父さんの作品が人を感動させている、ということに衝撃を受けます。

きっとこのお父さん、物語のどこかでいいところ見せてくれる! と信じたくなるくらいの底力を秘めているんですが、正直ここから挽回するの難しすぎるくらいにダメです。「スタコラサッサ」という擬音を付けざるを得ない逃げっぷりは「ひどい」としか言えません。
しかし歩未は信じているんですよ。
お父さんが、またちゃんと描いてくれる日を。
勉強と仕事も両立しないといけないし、恋愛で悩みもするし、お父さんのことぶん殴りたくなるほどひどい目にもあわされるんだけど、本当に健気で一生懸命。
ちょっと歩未ちゃんのセリフを抜き出しますよ。
「デジタルなんて無理。あたしはお父さんの真似しているだけだから。お父さんの下描き、お父さんのペン入れ、お父さんの背中見て育ってきたんだもの。
見てない背中は追えないよ」

お父さんのこと、大好きなんです。
そして、マンガを描くのが大好きなんです。
「大好き」があふれているから、この作品は本当に読んでいて気持ちいい!
いい子じゃないか……本当に星里もちる作品の女の子はいい子ばっかりだ!
お父さんをぶん殴りたくなる衝動を(歩未ちゃんが悲しむから)おさえながら、健気でちょっと地味でがんばりやな女の子を見たい人には絶賛おすすめしたい作品です。
お父さん、ぼくに歩未ちゃんをください! 大人になるまで待ちますから!
(たまごまご)