◆第108回全国高校野球選手権大会第4日 ▽1回戦 日本文理4―6大分商(8日・甲子園

 日本文理が大分商に敗れ、初戦で姿を消した。

 エースが呆然と空を見上げた。

先発した・染谷崇史投手(3年)は敗戦後、聖地に響いた大分商の校歌を聞きながら唇を固く結び、歓喜する相手ナインを見つめた。「今までやってきたことを最大限出せなかったと思うと。今までにないくらい悔しかった」。チームメートが涙に暮れる中、ひとり静かに悔しさをこらえた。

 今春のセンバツ以来の甲子園のマウンドでは、持ち前の制球でボールを低めに集め打たせて取るテンポの良い投球で、4回まで1安打に抑え込んだ。ところが5回、連打に味方の失策も絡んで同点とされると、6回に2本の適時打で逆転を許した。

 アルプススタンドからは、家族がエールを送った。母・純子さん(45)とは、染谷が寮から実家に帰宅している間はお互いのお気に入りのラーメン店を共有しあうなど、仲の良い親子。甲子園の勝利を届けることはかなわなかったが、純子さんは「(染谷は)甲子園に行って投げたいという夢をかなえた。その夢について行くことができて、すごく幸せだった」と感謝した。聖地で懸命に腕を振った息子の勇姿は、母の胸に届いた。

 エースの重責を背負い、力を振り絞った夏。

染谷は「甲子園のマウンドは誰もが立てる場所じゃない、特別なところ。そこで投げられたことは良かった」。卒業後も野球は継続する。悔しさも喜びも味わった思い出を胸に、「背番号1」は新たな一歩を踏み出す。

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