◆JERAセ・リーグ 阪神2―3DeNA(5日・甲子園

 リリーフエースが帰ってきた。1点を追う8回「ピッチャー・石井」とアナウンスされると、甲子園全体がこの日一番の歓声に包まれた。

「すごく大声援を頂いたので力になりました。すごく楽しかった」。春季キャンプで左アキレス腱を断裂。阪神・石井大智投手(29)が懸命なリハビリを乗り越え、昨年10月30日の日本シリーズ第5戦・ソフトバンク戦(甲子園)以来310日ぶりの公式戦マウンドを踏みしめた。

 ピンチを背負っても動じなかった。1死一、二塁、フルカウント。宮崎をスライダーで見逃し三振、続く蝦名を中飛に打ち取った。自身の連続無失点記録を51に伸ばし、1回1安打無失点。「石橋を壊れるぐらいに叩きながらいったんですけど、何とか無失点で帰って来れてよかった」。復帰戦で1点差の場面を任されたが、期待に応えた。

 リハビリ中、プレー以外で「何か自分にできることをしたい」と心に決めていた。シーズン序盤、工藤と選手寮「虎風荘」の食堂で同じ時間を共有した。

当時はまだ勝ちパターンに定着していない同じ秋田県出身のかわいい後輩。「あいつから聞かれるんです。『どんなことを考えながら投げているんですか?』って」

 石井は打者の筋肉や関節の動きまで細かく観察し、被打率の少ない最適解を見つけて仕留める究極のスタイル。極意は教えたが、最後に伝えた。「お前はあまり考えない方がいい。考えすぎると良いものが出なくなるかもしれない」。新守護神の工藤は「ありがたかった」と感謝する。後輩の頼もしくなった姿を見て自身も「負けられない」と苦しい日々を乗り越えた。

 チームは1点差で敗れたが、中継ぎ陣はさらに層の厚さを増した。藤川監督が「あそこで投げてもらわないといけない大事な戦力。このまま向上していくことを望みますし、期待します」と口にすれば、右腕は「1軍で投げられることが幸せ。そういう気持ちで頑張りたい」と意気込んだ。

球団史上初のセ・リーグ連覇へ、頼もしい“ラストピース”が帰還した。(藤田 芽生)

 ◆阪神・石井大智の故障からこれまで

 ▽2月11日 沖縄・宜野座キャンプの紅白戦で本塁カバーに入った際に左足を負傷し、担架でベンチ裏へ。車いすで球場を後にした。

 ▽同12日 大阪市内の病院で検査。「左アキレス腱損傷」と診断され、WBCも辞退。

 ▽同20日 大阪府内の病院で左アキレス腱断裂縫合術を受け、退院したと発表。

 ▽同27日 兵庫・尼崎市の2軍施設「SGL」に松葉づえ姿で現れ、リハビリを開始。

 ▽5月1日 SGLの室内で本格的なキャッチボールを再開。約30メートルの距離で投げ込む。

 ▽7月22日 SGLでライブBPに登板。161日ぶりの実戦形式での投球で打者4人と対戦し、計24球を投じて安打性2本。

 ▽8月23日 ファーム・リーグ、ソフトバンク戦(SGL)で実戦復帰。

1点リードの4回から2番手で登板し、1回2安打無失点3奪三振。

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