【夏の甲子園】準々決勝・花巻東 - 横浜 両校の勝ち上がりを振り返る

第108回全国高校野球選手権大会は8月18日、阪神甲子園球場で第13日を迎える。
13時から準々決勝第3試合として花巻東(岩手) - 横浜(神奈川)が行われる。

3試合すべてを4-2、4-1、4-0と「4得点」で勝ち上がった花巻東と、3試合で22得点を奪った横浜。得点の作り方は正反対だが、投手の使い方はどちらも継投型という点で重なる。17日の休養日を挟み、両校のエースがどこから出てくるか。試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。

◆花巻東(岩手)― 4得点を挙げた3回戦で、適時打はゼロだった

大会成績
1回戦(8月9日・第5日第1試合) 花巻東 4-2 新田
2回戦(8月14日・第10日第1試合) 花巻東 4-1 岡山学芸館
3回戦(8月16日・第12日第3試合) 花巻東 4-0 英明

【大会通算】3戦3勝 12得点・3失点(1試合平均4.0得点・1.0失点)

初戦は萬谷堅心が7回104球、決勝点は走塁から

新田(愛媛)との初戦は競り合いになった。2回に捕手・斎藤蒼梧の適時打で先制し、4回にも相手の暴投で1点。5回、6回と1点ずつ返されて1点差に詰め寄られたが、6回に久保村冠太(2年)の適時二塁打でリードを2点に戻した。8回には1死三塁から萬谷堅心(3年)の右翼への浅い飛球で、三塁走者・赤間史弥(3年)が相手守備の隙を突いて生還。安打ではなく走塁で突き放す、この夏の花巻東を象徴する4点目だった。

先発した左腕エースの萬谷は7回104球を投げて6安打2失点。8回から赤間、9回途中から菅原駿(2年)とつないで逃げ切った。

2回戦は7盗塁、菊池楽人が4打数4安打

岡山学芸館(岡山)との2回戦は初回から動いた。

戸倉光揮(2年)の安打と犠打で走者を二塁に置き、赤間の左翼への適時二塁打、続く主将・古城大翔(3年)の適時打で2点を先制。以降も毎回のように得点圏へ走者を進め、6回と7回に1点ずつ加えた。この試合はチーム14安打に加えて7盗塁。赤間だけで4個を決め、9番・菊池楽人(3年)が4打数4安打と当たり続けた。

先発は背番号11の菅原が務め、6回1/3を6安打無失点。7回途中から赤間が2回2/3を1失点で締めた。ここで萬谷を投げさせずに済んだことが、その後の日程で効いてくる。

3回戦は赤間が6回94球、7回から萬谷が右翼からマウンドへ

センバツ8強の英明(香川)との3回戦は、内容が特異だった。2回に斎藤の遊ゴロ、3回に古城の遊ゴロ、6回に斎藤の中犠飛、8回に久保村の左犠飛と、4得点すべてが内野ゴロと犠飛。走者を安打で直接返した適時打は一本もなかった。

投げては3番・投手で先発した赤間が6回94球を5安打無失点。7回からは初戦の先発・萬谷が右翼からマウンドに移り、3回を1安打無失点で締めた。

8回2死からは計測不能の超スローカーブを2球続けて遊ゴロに仕留めるなど、球速差だけで打者のタイミングを外している。

萬谷は中1日、球数には余裕がある

萬谷の大会通算は10回。1回戦の104球から中4日を空けて2回戦を回避し、3回戦は3回の救援にとどめた。1週間500球の制限で見ると、18日の時点で枠に入るのは16日の3回だけで、残りは十分にある。赤間も16日に94球を投げているが、こちらも制限には遠い。萬谷・赤間・菅原の3人が先発を分け合う体制は地方大会からのもので、岩手大会は5試合でわずか1失点だった。

◆横浜(神奈川)― 3試合とも中盤の一挙4点で試合を決めた

大会成績
1回戦(8月10日・第6日第2試合) 横浜 7-2 沖縄尚学
2回戦(8月14日・第10日第3試合) 横浜 10-1 日南学園
3回戦(8月16日・第12日第4試合) 横浜 5-2 霞ケ浦

【大会通算】3戦3勝 22得点・5失点(1試合平均7.3得点・1.7失点)

前年夏の王者との初戦は、織田翔希が139球で12奪三振

初戦の相手は前年夏の優勝校・沖縄尚学(沖縄)。2回に2点、3回に1点を先行し、3-1で迎えた6回に千島大翼(3年)の適時二塁打、小野舜友主将(3年)と川上慧(2年)の適時打で一挙4点を奪って突き放した。エース織田翔希(3年)は9回2死まで139球を投げ、6安打2失点で12三振を奪っている。

2回戦は江坂佳史の満塁本塁打で二桁

日南学園(宮崎)との2回戦は1-1で迎えた7回に、千島の三塁打を起点に小野、池田聖摩(3年)が続いて4点。9回にも江坂佳史(3年)の満塁本塁打を含む5点を加えて10-1とした。この試合の織田は救援での3回。

先発は2年生左腕・小林鉄三郎が5回1失点でつくり、林田滉生(3年)が1回を締めている。

3回戦は今大会初のビハインド、6回に4点で逆転

霞ケ浦(茨城)との3回戦は、この夏初めて先制を許す展開になった。4回に犠飛で1点を失い、5回表に小野の適時打で追いついた直後、その裏に勝ち越し打を浴びて1-2。それでも6回、2死満塁から9番・千島の2点適時打、続く小野の2点二塁打で一気に4点を奪い返した。

先発の小林鉄は5回7安打2失点。6回からベンチを出た織田は平均球速150キロ台の直球にカットボール、スプリット、スライダーを交え、4回を無安打無失点7奪三振で締めた。

織田は2試合連続のベンチスタート、通算15回2/3

織田の大会通算は15回2/3。10日の139球以降は14日に3回、16日に4回と、2試合続けて救援での起用が続いている。18日の時点で7日間の枠に入るのは14日と16日の登板のみで、初戦の139球は枠外に出る。先発を小林鉄に託し、勝負どころで織田を投入する形が完全に定着した。

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両校のエースはどちらも直近の登板が16日で、中1日。ただし内容が違う。

萬谷は3回の救援で、球数の枠にも余裕がある。織田も16日は4回だが、通算では萬谷の1.5倍以上を投げている。花巻東が赤間・菅原を含む3人で回せるのに対し、横浜は小林鉄と織田の2枚が軸。長引いたときに厚みが問われるのは横浜のほうだ。

勝ち方の質も対照的だ。花巻東は3試合とも4得点で、3回戦は適時打ゼロ。大会通算11盗塁の機動力と内野ゴロ・犠飛で1点を積む。横浜は3試合すべてで中盤に一挙4点以上を奪う集中打があり、13安打を放った3回戦では逆転までしている。少ない好機を確実に1点に変える花巻東と、一度つかんだ流れで大量点を奪う横浜。この差がそのまま試合の輪郭になる。

準々決勝の見どころ

最大の焦点は、織田をどこで出すかだ。横浜は2試合続けて小林鉄が先発し、織田は勝負どころで登板している。

ただ、花巻東は先行逃げ切りではなく、序盤から小刻みに点を重ねるチーム。序盤にリードを許せば、織田の登板が早まる可能性がある。花巻東側から見れば、小林鉄を打てるうちに打っておきたい。

花巻東の先発も読みにくい。萬谷、赤間、菅原の3人が試合ごとに先発を分け合っており、直近3試合の先発は萬谷→菅原→赤間と全員違う。赤間は3番、萬谷は打線の中軸にも入るため、投手起用が打順にも直結する。指名打者制が導入された今大会で、両校がこの枠をどう使うかも見どころになる。

データ面では、夏の全国大会で神奈川県勢は岩手県勢と5度対戦して5戦全敗。2009年の2回戦では花巻東が横浜隼人を4-1で下している。岩手県勢に勝った神奈川のチームは、2003年選抜で盛岡大付を10-0で完封した横浜のみで、そのときの9番・捕手が現在の村田浩明監督だった。加えて、花巻東の古城主将は神奈川・横浜市の中学出身。相手の本拠地を背負うチームとの対戦になる。

この試合の勝者は、8月20日の準決勝で健大高崎(群馬) - 有明(熊本)の勝者と対戦する。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

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