準決勝・智弁和歌山 - 横浜 完封から中1日の織田翔希か智弁和歌山の強力打線か 【夏の甲子園 見どころ】

第108回全国高校野球選手権大会は8月20日、阪神甲子園球場で第14日を迎える。
午前8時から準決勝第1試合として、智弁和歌山(和歌山) - 横浜(神奈川)が行われる。

昨春の選抜大会決勝と同じ顔合わせである。あの試合は横浜が11-4で智弁和歌山を退けて19年ぶりの優勝を決めた。両校が阪神甲子園球場で対戦するのは春に2度あって1勝1敗、夏は初対戦となる。

ここまでの勝ち上がり方は対照的だ。智弁和歌山は3試合すべてを継投でしのぎ、大会中に6人の投手を使ってエースの右腕・和気匠太(3年)に中6日を与えた。
横浜は最速157キロの織田翔希(3年)が4試合すべてに登板し、準々決勝では123球で完封している。19日の休養日を挟んで中1日、両校のエースがどこでマウンドに上がるのか。試合を前に、両校の戦いぶりを振り返る。

◆智弁和歌山(和歌山)― 2-1、延長11回、そして毎回18安打

大会成績
2回戦(8月11日・第7日第2試合) 智弁和歌山 2-1 社
3回戦(8月15日・第11日第2試合) 智弁和歌山 7-3 敦賀気比 ※延長11回タイブレーク
準々決勝(8月18日・第13日第2試合) 智弁和歌山 11-3 仙台育英

【大会通算】3戦3勝 20得点・7失点(1試合平均6.7得点・2.3失点)

初戦は近畿対決を2-1、和気が73球で6回無失点

2回戦から登場した智弁和歌山の初戦は、兵庫の社との近畿勢対決だった。2回に楠本龍生(3年)の右越え三塁打から松本虎太郎主将(3年)の二ゴロの間に1点。3回にも長友悠成(2年)の二塁打を足がかりに井本陽太(2年)の中犠飛で加点し、2点を先行した。

先発の和気は緩急を使って6回を2安打無失点、6奪三振。

球数は73球にとどめ、7回から長井心海(2年)に継投した。長井は登板直後に1点を返されたが、なおも1死三塁の場面で相手のエンドランを外して三塁走者を挟殺。ここを断ち切ったことが2-1の逃げ切りにつながった。

3回戦は延長11回、エースを一度も使わずに勝ち切った

敦賀気比との3回戦は今大会最長の試合になった。智弁和歌山の先発は2年生左腕の米原佑真。両先発が4回まで無失点で進んだが、5回に敦賀気比が2点を先行する。7回までゼロ行進が続き、追う展開のまま終盤に入った。

流れを変えたのは8回、2死二、三塁から川原一将(3年)が放った2点適時打だった。2-2のまま延長タイブレークに入ると、11回に川原、山下晃平(3年)、黒川梨大郎(3年)の3者連続適時打などで一挙5点。7-3で振り切った。救援した久葉亮太(3年)の好投も大きかった。この試合、和気は登板していない。

準々決勝は5度の満塁機、18安打11得点

準々決勝の相手は仙台育英だった。初回、先頭の長友が右翼フェンス直撃の三塁打で出ると、振り逃げの間に生還して先制。無死満塁から楠本の犠飛、1死満塁から川原の押し出し四球、2死満塁から黒川の2点適時打と畳みかけ、4安打に3四死球を絡めた打者一巡の攻撃で、この回だけで5点を奪った。

2回に楠本の適時打、3回に井本の犠飛、5回に東村悠晴(2年)の犠飛で加点。7回には2死満塁から押し出し四球と、この日4安打目となる荒井優聖(3年)の2点適時打で3点を追加した。毎回の18安打で11得点。中谷仁監督(47)が試合前に「先制点」を挙げていた通りの立ち上がりだった。

和気は中6日で5回、球数には大きな余裕

投げては和気が2試合目の先発マウンドに立ち、5回を3安打1失点。社戦から中6日での登板だった。6回以降は長井、朝来友翔(3年)、三嶋健太(3年)の3右腕でつなぎ、4投手のリレーで3失点にまとめた。

和気の登板は大会を通じて2試合、投球回は11回にとどまる。1週間500球の制限に対しては相当な余裕があり、準決勝で再び先発しても、あるいは終盤に回しても選択肢は広い。

ここまで6人の投手を使い、和歌山大会5試合もすべて継投で勝ってきたチームだけに、組み立て方そのものが読みにくい。

◆横浜(神奈川)― 織田翔希が4試合すべてに投げ、24回2/3で33奪三振

大会成績
1回戦(8月10日・第6日第2試合) 横浜 7-2 沖縄尚学
2回戦(8月14日・第10日第3試合) 横浜 10-1 日南学園
3回戦(8月16日・第12日第4試合) 横浜 5-2 霞ケ浦
準々決勝(8月18日・第13日第3試合) 横浜 6-0 花巻東

【大会通算】4戦4勝 28得点・5失点(1試合平均7.0得点・1.3失点)

初戦から昨夏王者、織田が139球で12奪三振

横浜の初戦は、いきなり昨夏優勝の沖縄尚学だった。2回に脇山魁音(2年)、千島大翼(3年)の連続適時打で2点を先制。3-1の6回には千島の左越え二塁打、小野舜友主将(3年)の中前2点適時打、川上慧(2年)の中前適時打で4点を加えて突き放した。

先発の織田は9回2死まで8回2/3を投げ、6安打2失点、12奪三振。球数は139球に達した。6回にも153キロ、100球を超えた7回にも2者連続の空振り三振を奪うなど、終盤まで球威が落ちなかった。

2回戦は無死満塁を5球、3回戦は4回を無安打

2回戦の日南学園戦は、6回まで1点差の展開だった。この6回表、無死満塁のピンチで織田が救援に立ち、わずか5球で無失点に抑える。
この場面で156キロを計測し、そのまま試合の流れが横浜に傾いた。終わってみれば10-1の勝利となった。

3回戦の霞ケ浦戦も同じ形だった。

逆転直後の6回からマウンドに上がり、4回を1四球無安打無失点、7奪三振。球数は50球で、17日の休養日を挟んで準々決勝を迎えることになった。

準々決勝は123球で完封、156キロを7度計測

花巻東との準々決勝は、初戦以来となる織田の先発だった。初回から155キロを計測すると、2回には自身の持つ大会最速記録に並ぶ156キロ。この日は156キロを7度も表示させ、113球目、119球目にも同じ球速が出た。7安打を許しながら10三振を奪い、123球で9回を投げ切って0点に抑えている。

打線は初回の暴投で先制すると、4回に小林大雅の適時打などで2点、5回にも江坂佳史(3年)と安食琥太郎(2年)の適時打で2点。9回にも1点を加え、14安打6得点で押し切った。神奈川県勢は夏の全国大会で岩手県勢に5戦5敗だったが、この日ようやく初勝利を挙げた。

なお横浜は17日、5度の全国制覇を果たした元監督・渡辺元智さんの訃報に接している。村田浩明監督(39)は準々決勝後、恩師に捧げる勝利だと語った。

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数字がいちばん大きく分かれるのはエースの負担である。

織田の24回2/3に対し、和気は11回。もっとも、1週間500球の制限に直接効いてくるのは直近7日間の球数で、織田も16日の50球と18日の123球で173球、14日の救援分を足しても制限にはまだ距離がある。制限そのものが起用を縛る局面ではない。

問題は制限より回復だ。123球で9回を投げ切った翌々日に、同じ球速帯を維持できるのか。ここが準決勝最大の変数になる。

勝ち方の質という点では、智弁和歌山に分がある。2-1の投手戦、延長11回の粘り、11-3の圧勝と、3試合で3種類の勝ち方をしてきた。とりわけ準々決勝で見せた、5度の満塁機を確実に得点へ変えた集中力は、1点を争う展開になったときの怖さにつながる。一方の横浜は4試合で失点5、うち完封1という安定感が持ち味だ。

準決勝の見どころ

織田をいつ出すか。
横浜がここまで採ってきた形は、先発を小林鉄三郎(2年)ら他の投手に任せ、勝負どころで織田を投入するというものだった。

2回戦、3回戦はいずれも6回からの救援である。
ところが準々決勝では初戦以来の先発に戻し、完封まで投げ切った。中1日で再び先発させるのか、それとも救援に戻すのか。智弁和歌山の打線が3試合で20得点、直近が毎回の18安打であることを考えると、序盤に主導権を渡さない起用が必要になる可能性は高い。

継投の智弁和歌山が、どこで和気を使うか。
智弁和歌山は3試合で和気、長井、米原、久葉、朝来、三嶋の6人を投げさせている。3回戦で和気を完全に休ませた判断は、この先を見据えたものだったとも読める。逆に言えば、先発が誰であっても不思議ではない。横浜としては、球種と球速帯が次々に変わる継投にどう合わせていくかが問われる。

2025年の選抜大会決勝では、織田が6回途中1失点、横浜が11-4で勝っている。当時2年生だった織田は今夏、最速157キロまで到達した。智弁和歌山にとっては、その織田を打ち崩せるかどうかがそのまま雪辱の条件になる。

勝者は8月22日の決勝に進む。相手は同じ20日の準決勝第2試合、午前10時30分から行われる天理(奈良) - 健大高崎(群馬)の勝者となる。
健大高崎は18日の準々決勝で有明(熊本)を延長10回タイブレークの末に1-0で下し、初の夏4強入りを決めている。エースの2年生右腕・石垣聡志が10回を110球5安打無失点で投げ抜いた試合だった。

なお「バーチャル高校野球」では、開会式と開幕試合から決勝までの全48試合を無料ライブ配信する。

文:SPORTS BULL(スポーツブル)編集部
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