近所に紙芝居屋さんがやってきた!
紙芝居ユーダイ座のユーダイ・加藤さん。<br>公演後は「平太鼓や拍子木をたたきたい!」と子どもたちが集まっていた
近所に紙芝居屋さんが来てるよ――そんなウワサを耳にして、さっそく見に行ってきた。場所は川崎市にある等々力緑地公園。


10月最後の日曜日。子連れのファミリーでにぎわうテニスコート前広場に、予定時刻の14時を少しまわったころ、原付をひきながら一人の男性が現れた。それが紙芝居ユーダイ座のユーダイ・加藤さんだ。

気さくな笑顔が印象的なユーダイさん。やってくるやいなや、周囲の人に「こんにちは〜」「今から紙芝居やるの?」なんて気軽に話しかけられている。あっというまに、子どもから大人まで50人近い人だかりができた。


私もみんなに混じって紙芝居を見ることに。「紙芝居を見るなんて、いったい何年ぶりだろう?」なんてことを考えていたら、拍子木の音と共に紙芝居が幕を開けた。

ひとつめの話は『かっぱのすもう』。ストーリーは平易なものだが、ユーダイさん独特の語り口が物語を表情豊かに仕上げている。見事に使い分けられる声色、随所に織り込んだアドリブ、間の取り方、そのどれもが絶妙なのだ。周りの子どもたちも夢中になって「がんばれ〜」と声を合わせて応援。
この日は全部で3つの紙芝居をやって終了した。いや〜、驚いた。紙芝居ってこんなにおもしろかったっけ?

ユーダイさんが紙芝居を始めたのは2001年。普段は幼稚園で働いているため、自然と紙芝居に興味を持ったのだそう。
「最初はふつうに読んでいたんですが、それほど人も集まらなくて……」
行き詰まりを感じていたユーダイさんに転機が訪れたのは2002年。大阪で紙芝居の巨匠に出会い、裏書(紙芝居の裏に書かれているセリフ)を読まずに自分の言葉でストーリーをつくるという現在のスタイルに変更したのだ。
もちろん語り口も変わった。それからは徐々に口コミで評判が広まり、いまでは各地から公演依頼が絶えない。

「自分が本当におもしろいと思うことをやって、それに対して子どもたちが反応してくれる。それが一番嬉しいし、紙芝居の魅力ですね」
ときには紙芝居の内容にツッコミをいれてくる子もいるそうだが、そんなときにアドリブを返したりするやりとりも、また楽しいのだという。

「紙芝居というと、幼稚園でやるものという印象が強いかもしれません。でも本当はもっとワクワクできるおもしろいもの。
大道芸的な要素もあるし、楽しみ方はいろいろ。子どもから大人まで、幅広い人たちにこの魅力が伝えられたらと思っています」

最後に、ずっと続けていくんですか? という問いには
「やめられません。一生続けると思います!」
と力強く笑顔で答えてくれた。そんなユーダイさんの公演は毎月第4日曜日14:00〜15:00ころ、等々力緑地公園にて。ほかにも川崎・都内を中心に様々な場所で活動中だ。

面白おかしくて、見終わったあとは心がほんわか温まる紙芝居ユーダイ座の紙芝居。
ぜひ一度ごらんあれ!
(古屋江美子)

紙芝居ユーダイ座HP