海外はタバコに対して社会が厳しい。そんなイメージを持つ人も多いかもしれない。
確かにそのような国もあるが、フランスは日本より寛容な印象だ。経済開発協力機構(OECD)の2013年の統計を見ても、2011年における喫煙者(15歳以上で喫煙習慣が毎日ある人)は、フランスの23.3%に比べて日本は20.1%だ。

ここで首を傾げた読者も多いはず。日本ではタバコは、成人を迎える20歳から法律で認められているが、統計では15歳以上を対象にしている。なぜだろうか? 当然各国で法律は変わり、例えばフランスでは、15歳でタバコを吸っていても問題にならない場合がある。もちろん一定の基準はある。


まずフランスのでは、18歳未満(フランスにおける未成年)はタバコを買えない。18歳未満の、学校内での喫煙も禁じられている。16歳未満を受け入れる学校での喫煙も禁止だ。しかしそれ以外では喫煙に年齢制限は無い。フランスに行ったことがある人は気付いたかもしれないが、高校の始業前や終業時刻になると、校門前では大勢の生徒が堂々とタバコを吸っている。時にはもっと幼い子供が、街中でタバコをふかしている姿を見かけることもある。
当然大人も愛煙家は多い。

喫煙場所に規制はどうだろうか。日本の場合、屋内の分煙のために喫煙所を設けていたり、路上喫煙を条例で禁止する自治体がある。フランスは屋内の公共の場では全面禁煙だ(屋外は良い)。レストランやカフェなどでタバコを吸いたい人は、いったん外へ出て一服するか、初めから屋外にあるテラス席に座らねば吸えない。そのためバーなどが連なる繁華街では、グラス片手に道端でタバコを吸っている人は多い。


バーの話題が出たついでに、日仏のアルコール事情も比べてみよう。OECDの調べによれば2011年、日本は1人当たり(15歳以上)平均7.3リットル飲んでいるそうだ。かたやフランスは平均12.6リットルだ。法律上の飲酒可能な年齢も異なる。

日本はご存じ、お酒は20歳からしか飲めない。フランスの場合は、18歳未満へのアルコール販売を禁じている。
西洋人にとってアジア人は見た目で年齢の判断がつきづらいので、現地でお酒を買おうとして、年齢確認できる身分証の提示を求められた人もいるはずだ。また明らかに酔っぱらっている人に対して、アルコールを売ることも禁じられている。ただし喫煙同様に、飲酒年齢そのものに対して制限はない。ところ変われば規制の仕方もさまざまなのだ。
(加藤亨延)