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震災の経験を昇華する「君の名は。」

(C)2016「君の名は。」製作委員会


ライター・編集者の飯田一史さんとSF・文芸評論家の藤田直哉さんの対談。前編記事に続いて「君の名は。」について語り合います。

整合性とディティールの問題


飯田 『君の名は。』では、なんでこの相手とチェンジしたのか、なんでお互いの名前の記憶が薄れていくかの必然性が弱い。ふたりが好きになる理由もよくわからない。このあたりは新海誠らしいと思う。作劇によって、あるいはキャラクターの魅力を描いていくことによって、じゃなくて「シチュエーションしかない」のが新海脚本の特徴だからです。シチュエーションしかない、というのは『ほしのこえ』の「地球と宇宙に引き裂かれた恋人」だったら別にミカコとノボルじゃなくてもどこのカップルであっても悲しいわけです。これはドラマを書く才能でもなければキャラクターづくりのうまさでもない。シチュエーション設定の妙です。新海さんは、そこはすごくうまい。
ただシチュエーションで泣かすのがうまい一方、普通の意味ではよくない脚本であり、設定が甘い。理屈が弱い。それは『ほしのこえ』から本作まで、まったく変わっていない。技巧的に「ちゃんとイベントを一個一個積んでいって感動させることができるようになった」ということではない。今回は単に「救えた」「会えた」という結果だったから客は「よかった」と反応してしまっているだけなんですよ。『秒速』までは、理屈が足りていないまま、しかし突き放して終わっていたので非常に強い余韻を残したし、観る人間にそのいびつさや描かれていない部分の空白を考えさせるものになっていた。
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2016年9月3日 10時07分

コメント 58

  • のすけ 通報

    ミュージシャンの音楽性が少しずつ変化していくことを受け入れられないオールドファン、って感じだよね。 「やっぱ初期のあのアルバムが一番だよね」とか語っちゃう感じの。

    69
  • 匿名さん 通報

    なんだろう、ただ文句だけ言って俺はお前よりも上なんだぞと誇示するおバカさんだと思う 批判するだけなら、誰でも言える

    44
  • のすけ 通報

    新海誠って、思春期の自分に「これどうだろう?」って問いかける作品を作っている人で、だからこそ女性に対する憧憬やフェティズムが軸にあって、 中2病的な感傷も今作のご都合主義もスタート地点は一緒でしょ。

    33
  • しんく 通報

    おおむね記事と同じ感想です。「なぜ瀧君だったのか」や2人が恋するきっかけが弱いし、あまりにも結末が甘い。 コメント欄には「好きな作品だから批判は許さない」という場にはなってほしくないですね。

    25
  • Sate 通報

    私は新海誠監督のファンを長らくしていますが、記事のお二人のように違和感を確かに感じました。 お二人は以前の作品と今回の作品の違いを的確に捉えていると思います。

    18
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