「日々是気付」――。国民的アイドル・がおしえてくれたのは、今この時だからこそ改めて胸に刻みたい、5つの「気付き」だった。


7月6日リリースのニューアルバム「Beautiful World」をコンセプトとし、7月24日京セラドーム大阪からスタートする嵐のコンサートツアー。当初は5大ドームと国立競技場をまわる予定だった。しかし震災後の電力事情を考慮し、急きょ東京ドームのみがツアーからはずされ、コンサートではない全く新しいコンセプトのイベントが実施された。それが、6月24~26日の3日間東京ドームで全5公演行われた「嵐のワクワク学校~毎日がもっと輝く5つの授業~」、通称「嵐学校」と呼ばれるチャリティーイベントだ。嵐の5人が先生となって授業をするという内容で、公演時間は90分と短く、価格もコンサートが7500円のところ今回4000円。

私は、26日の最終公演に参加。
収益のすべてが寄付されるというイベントグッズ(下の関連写真参照)を全種類購入し会場内へ。まず目に飛び込んできたのは「日々是気付」という大きな筆文字のパネル(読み方は、ひびこれきづき)。そして嵐が老人風に特殊メイクをした歴代校長パネル。コンサートでは一面客席となる芝生部分に席はなく、客席はスタンドのみ。芝生の中央に、こぢんまりとした四角い骨組みのみのセットがあり、周りの芝生には動物や景色などが描かれたバルーンアートが。その外周に、人ひとり走れそうなレーンがひとつ。
照明は薄暗い。これまでのきらびやかなコンサートと比べると、信じられないほどのシンプルさだ。シンプルというか、「質素」という言葉の方があっているかも。席について汗がなかなかひかず、空調も弱めな気がした。

主役である嵐の登場のしかたも本当に質素。開演時間になると校内放送が流れ、5人の先生が呼び出される(ちなみにアナウンスは薬師丸ひろ子)。
ムービングステージやワイヤーでのフライングなどなく、芝生の隅にある入口から歩いて出てきた5人。中央ステージまではテンションあがって走るメンバーもいれば、のんびり歩くメンバーもいたり。衣装は、私服風の洋服の上に白衣をはおったスタイル。翔くんの「起立! 気をつけ! 礼!」の号令で、嵐も客も全員起立し「よろしくお願いしまーす!」と挨拶。基本客席は着席スタイルなので、コンサートのような激しさはないものの、生嵐にはもちろんキャーキャー言っていて、でも嵐が歌い踊りだすこともなく…なんだか興奮とゆるさが入り混じった独特の雰囲気だ。

さっそく5人の授業がスタート。
1人1科目順番に先生となり、残りの4人は白衣を脱いで生徒となる。私も座席についたテーブルを倒して、メモ帳とペンを置いて勉強モードに突入!

■1時間目:二宮和也teacher/「ドキドキ」の授業(実際に○○teacherという表記でした)
人体、生きることがテーマ。二宮本人の心臓のCTスキャン映像を公開したり、血液の量や血管の長さを表現するため、水鉄砲を使ったり、外周を走ってリレーしたりした。股間に水鉄砲を発射してからかいあったり、アンカーがゴールできないようにゴールテープを移動させてイタズラしたりと嵐の仲の良さ満載! 走りまわり汗だくになりながらも最後には、楽しい時もツライときも常にドキドキし続ける心臓の神秘を語った。

■ 2時間目:松本潤teacher/「ビリビリ」の授業
電気がテーマ。東京ドームの電源を全ておとしたり、1台「1アラシ」という単位をつけた自転車型発電機をこいで身近な家電製品を発電したりした。
スタンドライトは1アラシ、テレビは2アラシですぐついたのに、ドライヤーでは5アラシ×嵐の「Happiness」1曲分こぎ続け蓄電しても8秒しか使えなかった。またも汗だくになりながら、電気があたりまえでないことを教えた。ちなみに衣装変えやメイク直しはなく、汗だくのままどんどんイベント続行! 特にこの日一番動いていた二宮は、汗で額や首に髪がはり付き、首にはタオル巻き、やつれ顔で自ら「私のビジュアルがひどい…」と言うほどだった。テレビじゃなかなかこんな姿見られないです!

■ 3時間目:相葉雅紀teacher/「モグモグ」の授業
食について。北海道の牧場にロケに行った相葉。かわいい豚たちと楽しく触れあうけれども、どんなに大切に育てても最後には「出荷」しなければいけないという現実に対面する。
ロケ映像を流す前に、相葉が作った「豚バラ肉のカレー炒め」を給食としてふるまったが、それは相葉が自らと殺場へと見送った豚の肉だった。生産者・料理してくれる人への感謝、毎日食べられることの幸せを感じ、残さず食べて「ごちそうさま」と「ありがとう」を言おうと説いた。動物好きの相葉が伝えるまっすぐなメッセージに、客席からはすすり泣く声が聞こえた。

■ 4時間目:櫻井翔teacher/「パチパチ」の授業
パチパチとは拍手のこと。褒めることでものの見方が変わる、相手も自分も嬉しいからたくさん褒めようという授業。ロケ映像では、水道橋駅から東京ドームに行くまでの道のりで目に入る色んなものの褒めポイントを紹介。信号機、自動販売機、電力盤、東京ドーム…と見慣れたものでも、実は隠れた意外な褒めポイントがたくさん。例を1つ。信号機のライトの上には帽子のつばのような“ひさし”がついていますよね。実は、あの丸の中に詰まった細かい粒々のLEDライトひとつひとつにもすべて小さなひさしがついていて、汚れや障害物からライトを守っているのです。こんなこと知っていましたか? 私は知らなかったです、すごいなー! パチパチ! ひとつ褒めポイントを紹介するごとに「パチパチタイム」が設けられ、会場が一斉にパチパチ。そして最後には嵐5人から、来場のお礼をこめて4万5千人にパチパチがおくられた。ジーン…。

■5時間目:大野智teacher/「モシモシ」の授業
言葉にして伝えることの大切さを説いた。その場でランダムに選ばれた客と大野が携帯電話で通話できるというサプライズから始まる。その後、メンバーひとりひとりがリーダー大野に感謝の言葉をおくった。松本「みんなの意見をやさしく受け止めてくれるリーダーがいたからこそ今の嵐がある」櫻井「(櫻井ソロで出ている)生放送番組(「NEWS ZERO」)終了後にたまに感想メールをくれるけど、あれはすごくやる気につながる」相葉「旅先で買ってくるお土産のTシャツをメンバー内で唯一着てくれている」二宮「全てを話せる貴重な存在」とそれぞれメッセージがおくられ涙ぐむ大野。つられて私もウルッ。

最後に、昨年の紅白歌合戦で披露された、小山薫堂作詞の歌「ふるさと」と、その2番をアレンジしてつくった「嵐学校校歌」を披露。サビは会場全員で大合唱した(私はここで泣きました)。気付くことで毎日が輝く、そんな生き方を大切にしようという歌詞――。

今回、東京ドームコンサートがとりやめになったのは本当にショックだった。嵐と一緒に歌って踊って騒ぎたかった。でも、そこを「中止でガッカリ」で終わらせないのが嵐。ファンを楽しませながらも今の日本の力になれて、みんなが前向きに変われる方法はないかと考えた。その結果が今回の「嵐学校」。

イベントは、大人目線で見るにはあまりに内容が優等生すぎて、子ども向けテレビ番組をみているような感覚だったというのが正直なところ。でもそれは私がもういい大人だからであって…、これを見た若い世代にとっては、ものの見方が変わるキッカケになった機会だったであろうし、嵐を通して「チャリティー」「寄付」ということを身近に体験できた貴重な体験だったかもしれない。東京限定5公演というのは賛否両論あったけれども、コンサートに比べかなりチケットが取りやすかったと言われている今回のイベント。安価ということもあってか、親子連れはもちろん制服姿の学生がすごく目についた。

そして、今回の収益からは2億円が寄付されることが発表された。結果、やはりこうしてめげずに新たな試みに挑戦した嵐には大きなパチパチをおくりたい! パチパチパチパチ!
イベント最後は、もちろん翔くんの号令でシメ。「起立! 気をつけ! 礼!」「ありがとうございましたー!」
照明が質素でも、嵐はキラキラと光輝いていました!(夏トマト)