リメイク版『七人の侍』のクランクインに向けて絆を深めるため、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研という、名バイプレイヤーたちが本人役としてシェアハウスで共同生活を送る。

……という設定のドラマ『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら』(テレビ東京・金曜24:12〜)。


『バイプレイヤーズ』も『おそ松さん』も、いわゆる腐女子層にウケているらしいということから、そういう組み合わせの同人誌とかも出てきそうだよなー(なんならボクが作ったろか)……とうっすら思っていたものの、まさかの公式の手によるコラボレーションが発表されて、ネット騒然。

「やっぱ、テレ東ってテレビ局の中で一番ネット対応できてるわ!」と、改めて思わされたが、ドラマ自体も盛り上がりまくっているぞ。『おそ松さん』コラボで興味を持った人は、今らかでも見るべき!

第7話は、おじさんたちが悩み、そしてとにかくカッコイイ寺島進を堪能する回でした。
「バイプレイヤーズ」7話。「おそ松さん」コラボ以上にドラマ本編も盛り上がっているぞ
イラスト/北村ヂン

悪役をやめようと悩む寺島進を引き留めるため、あの人が登場


かつて6人で撮っていた映画『バイプレイヤーズ』のフィルムがシェアハウス内の誰かに盗まれた!

企画自体も盗まれてテレ東に持ち込まれた!

……と大騒ぎしていた問題が、いずれも妄想&勘違いであったことが判明して、シェアハウス内で総スカンとなり悩んでいる大杉漣。

一方、寺島進もヤクザなどの悪役を演じるのをやめようかと悩んでいた。

というのも、寺島似の父親を早くに亡くしたため、寺島の大ファンとなったという保育園生の兄妹が、悪役ばかりやっている寺島のせいでいじめに遭っているのを知ってしまったからだ。

ベタな展開ではあるが、この兄妹が寺島を「アニキ! アニキ!」と慕ってくるのがかわいいんだ。


しかし今だったら、保育園生にとって寺島進は悪役ばっかりやっている……というよりは、『動物戦隊ジュウオウジャー』に出てくるあのおっさんのイメージの方が強いと思うけど。

戦隊物に出演しているおっさんと知り合いだったら、いじめられるどころか、保育園の人気者でしょ!?

とにかく、悪役を演じることをやめようと決心した寺島だったが、同じ北野組の椎名桔平や、悪役仲間の役者たち、そして北野武のモノマネをする松村邦洋に引き留められる。

悪役仲間たちから、「(悪役を)やりゃあいいんだよ、この野郎!」「憧れてんだよ、この野郎!」と励まされるシーンにはグッとくきてしまったが、松村のモノマネはさすがにやりすぎ!

このドラマで、脚本で描かれている部分以上に感じる深みって、バイプレイヤーズたちのキャリアそのものがバックボーンとなっているからこそ。

「遠藤憲一って普段、あんな強面な役ばっかりやってるのに、ガラスに『ちん○』とか描いちゃって、かわいいところあるなー」みたいなね。

フィクションなのは分かっちゃいるけど、どうしても視聴者(ボク)はドキュメンタリー的な目線で見てしまっているのだ。

「えっ、豪華ゲストが次々出てくると思っていたけど、まさかの北野武まで!?」

というフックを入れたかったんだろうけど、そこでモノマネしている松村が登場という、明らかにフィクションなネタが入ってきちゃうと、寺島進の人生自体を含んだドキュメンタリー目線がさめちゃって、どうにも薄っぺらい話に感じてしまう。


まあ、松村邦洋って普段から頼まれもしないのにずーっとモノマネしている人なので、本当にあんな感じなのかも知れないけど。

とりあえず、北野武はもちろん、達川コーチ、掛布、西田敏行……とモノマネのクオリティはすさまじかった。途中から明らかにアドリブになって、寺島も素で笑っているように見えたもん。

そういうドキュメンタリー感が見たいのよ!

シェアハウスをしていた理由自体が嘘だった!


「日本のバイプレイヤー、みんな悩んでるよ」ということで、他のメンバーたちの悩みシーンも紹介されていた。

・袋とじのグラビアに悩まされている光石研
・「え?」の芝居に悩まされている遠藤憲一(と、その練習に付き合う松重豊)
・どの入浴剤を入れるか悩んで悶絶する田口トモロヲ

明らかにフィクションなんだけど、こっちはまったく気にならないというのはどういうことか!?

単に、おじさんのかわいらしい姿を見せてもらえさえすれば、フィクションだろうがノンフィクションだろうが何でもいいのかな。

そして、メンバー全員からひんしゅくを買って悩んでいる大杉漣は、アジアンパブに入り浸っていた。


その店に、悩みを吹っ切った寺島もやって来るのだが、なんとホステスの中に、中国のネット配信動画チャンネル「友中」のアシスタントプロデューサーであるはずのジャスミンの姿が。

ジャスミンはもともとただのホステスで、友中のスタッフでもなんでもなかった。さらに、友中が制作することになっていたリメイク版『七人の侍』の話自体も、だいぶ前に頓挫していたというのだ。

全部、大杉がついていた嘘!

ここにきて、おじさんたちがシェアハウスをしていた理由であるリメイク版『七人の侍』の話がなくなっていたことが判明して、どうなっちゃうのか!?

遂にドラマも終盤だなー、という感じで寂しくもあるが、第8話ではゲストとして志田未来が登場する模様。

名子役だった志田ちゃんと名脇役のおじさんたちの絡み……これは期待できるぞ。
(イラストと文/北村ヂン)