米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・ マスク最高経営責任者(CEO)は4月下旬に訪中した際、同社の高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」を搭載したロボタクシー(自動運転タクシー)を中国国内で試験することを提案した。中国英字紙チャイナ・デイリーが関係者の話として報じた。

関係者によると、中国政府はロボタクシーの国内試験については歓迎の意向を示したが、FSD機能を広い範囲で応用することについてはすぐに認めなかったという。マスク氏は中国政府に対し、自動運転アルゴリズムの訓練に利用するため、中国国内を走るテスラ車の自動運転データを国外に送ることを承認するよう求めたとみられる。

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マスク氏はかつて、完全自動運転車の走行データが60億マイル(約96億キロメートル)分に達すれば、世界中の管理監督機関の要求を満たせるようになるとの見通しを示していた。テスラが4月6日に公表したデータによると、FSDを搭載した車両の走行距離は累計10億マイル(約16億キロメートル)となっている。

目標の60億マイルには依然として遠く及ばないにもかかわらず、マスク氏は4月5日、テスラ独自のロボタクシーを8月8日に発表するとX(旧ツイッター)に投稿した。中国でロボタクシーの試験運用を進められれば、FSDを搭載した車両の走行データ収集を加速させられるだろう。

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中国ではすでに、多くの自動運転企業が北京や上海、広州、深圳などでロボタクシーの試験運用を進めている。北京市ハイレベル自動運転モデル区は2024年2月、百度(バイドゥ)、小馬智行(Pony.ai)、AutoXおよび文遠知行(WeRide)に対し、客を乗せたロボタクシーを高速道路で運用することを認めた。これら4社は、北京市南部に位置する亦荘新城と大興国際空港ターミナルとを結ぶ区間で、ロボタクシーの商用利用を展開できるようになった。

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(36Kr Japan編集部)