「離婚はしたくない、でもこのままでいたくない」――この言葉は、私が3万5000件以上の相談を受けてきた中で最も多く聞いてきた声の1つです。夫との関係は冷え切っているのに、熟年離婚への不安、経済的な問題、子どものことが頭をよぎって動けない。
そんな2択の苦しさから自由になるために、「卒婚」という第3の選択肢をお伝えします。

■離婚できないのは、弱さではない
「もっと若い時に決断すればよかった」「今更1人で生きていけるのか」といった言葉が出てくるのは、あなたが弱いからではありません。長い年月、家族を守ることを最優先にしてきた証拠です。経済的な不安も、老後への恐怖も、いたってまっとうな感覚です。

離婚に踏みきれないことを自分を責める材料にしないでください。「私はまだ自分にとっての正解を探している途中」と受け取ってほしいのです。

■「卒婚」とは何か? 離婚でも修復でもない第3の選択
卒婚とは、婚姻関係は続けながら、夫婦それぞれが自立した生活を歩むという選択です。籍は抜かず、法律上は夫婦のままで、お互いの過度な依存や干渉をやめ、自分の人生を主体的に生きていきます。

【卒婚の具体例】
・生活ルールや距離感を話し合い直す
・家計を分離してそれぞれが管理する
・趣味・交友には干渉しない
・食事や就寝は別でも可
・週1回など決まった時間だけ話す

「そんなの夫婦じゃない」と感じる方もいるかもしれません。でも今のつらい状況のまま「夫婦らしくいること」が本当に幸せでしょうか。あなた自身の心の状態を基準に、夫婦の形を作り直していい――その発想の転換が卒婚の出発点です。

■50代・60代からでも、遅すぎることはない
50代・60代は人生の終わりではありません。
この先まだ30~40年と続く可能性があります。私が関わってきた女性たちの中には、50代で卒婚を選んでから「諦めていた趣味を始めた」「自分のための時間が持てた」「夫との関係が不思議と楽になった」という方がたくさんいます。変えられないのは過去だけ。これからの時間はあなたのものです。

まずは「私は今何に疲れているのか」「どんな生活をしたいのか」と自分に問いかけることから始めてみてください。分からなくていい。気づくことがすでに第1歩です。

離婚は最終手段です。今のままの我慢も答えではありません。あなたにはもっと自分らしい生き方を選ぶ権利があります。夫婦の形は1つじゃなくていい。詳しい考え方や実践ステップは、ぜひ動画でご覧ください。


▼岡野 あつこプロフィール夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。32年間で相談件数3万8000件以上、2200人以上の離婚カウンセラーを創出。著書多数。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』。
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