◆ONE「ONE SAMURAI 1 フライ級キックボクシング暫定王座決定戦 ロッタン VS 武尊」(29日、有明アリーナ)

 世界最大の格闘技団体「ONE Championship」は29日、有明アリーナで「ONE SAMURAI 1 フライ級キックボクシング暫定王座決定戦 ロッタン VS 武尊」を開催した。

 メインイベントでこの試合で「引退」を公言している元K―1・3階級制覇王者の武尊がロッタン・ジットムアンノン(タイ)と対戦した。

 両者は昨年3月23日にさいたまスーパーアリーナで対戦しロッタンが80秒でKOで圧勝した。武尊は再起戦となった昨年11・16「ONE 173 スーパーボン VS 野杁」でデニス・ピューリック(カナダ/ボスニア・ヘルツェゴビナ)をTKOで破ったリング上で次戦での引退を宣言。ラストマッチの相手にロッタンを指名。ロッタンも受諾し「引退試合」でのリベンジマッチが実現した。

 

 「ONEフライ級暫定世界王者決定戦」として行われたラストマッチまでにはロッタンと「ONE」の間で契約問題が浮上する事態も起きたが無事に試合は実現。紆余(うよ)曲折の末にたどり着いた最終決戦で武尊は前髪を紅に染めてリングインした。続いてこの一戦が「ONE」でのラストマッチとなるロッタンは余裕の表情で花道を歩き両者が対峙すると客席から大歓声が沸き起こりアリーナの興奮は頂点に達した。

 初回。ローの差し合いからロッタンが武尊の蹴りに合わせ左フックを浴びせた。両者共にカウンターを狙うように手数が出ない膠着(こうちゃく)の展開となった。

 2回。打ち合いから武尊の左フックでロッタンがダウン。

スリップとアピールしたロッタンもパンチの連打で逆襲に出る。「武尊コール」が起こる中、左フックで再びダウンを奪った。ロッタンもロー、カウンタの右で抵抗も武尊がコーナーを背負った敵を猛ラッシュで追い込むもダウンを奪えずゴングが鳴った。

 3回。ロッタンが左ミドルなどで武尊の出足を止めにかかる。ロッタンがパンチの連打で攻勢に出たが、武尊は、ほほ笑みながら「来い」とアピールし両者が打ち合う壮絶な攻防となった。

 4回。ロッタンが前蹴りで突き放してからのパンチで武尊を追い込む。武尊も前蹴りで対抗し左ジャブ、フックで逆襲する。ロッタンがパンチの連打で突進するが武尊も懸命に抵抗した。

 最終回。両者、激しい打ち合いを展開。

武尊が右フックでダウンを奪った。最後はパンチの連打でレフェリーが試合を止め5回2分22秒、TKOで引退試合を飾った。宿敵を破った武尊は、コーナーポスト最上段に上り歓喜の「バック宙」を敢行し大歓声を浴びた。

 勝利をコールされた武尊は世界ベルトを抱きしめ号泣した。リング上で「ありがとうございます!」と絶叫しファンに感謝をささげた。さらに「いっぱい言いたいことあったけど、ホント、うれしいしかないです!」と絶句し、対戦を受けてくれたロッタンにも感謝した。自身の引退後も「日本の格闘技界、絶対盛り上がっていくんで」と訴え、K―1、RISEなどの団体を挙げ「どこの団体が強いんじゃないんです。格闘技が強いんです」と叫んだ。

 最後に武尊はマイクを持たず地声でこれからの格闘家へのエールと格闘技界の未来を観衆へ「盛り上げてください!」と訴え「支えてくれてここまで来れました。ありがとうございました」と深々と一礼。そして腰に巻いたベルトとグラブをリング中央に置き座礼し闘い続けた四角いジャングルを去った。

 2011年9月のプロデビューから史上初のK―1三階級制覇、22年6月には東京ドームでの那須川天心とのメガファイトなど格闘技の歴史に名前を刻み込んだ武尊。

攻撃的なファイトがファンを魅了し今では武尊に憧れたファイターが第一線で活躍している。引退試合は、フジテレビ系列全国ネットで試合当日の午後10時から「U‐NEXT presents ONE SAMURAI 1 ~武尊引退試合 運命のリベンジマッチ~」と銘打ち放送。デビューから目標だった地上波テレビでの放送を実現させるなど絶大な功績を残しグラブをつるした。

 ◆武尊(たける) 本名・世川武尊(せがわ・たける)1991年7月29日、鳥取・米子市生まれ。34歳。小学生時代にテレビでK―1を見て空手を始める。2011年9月、プロデビュー。14年11月3日に新生K―1「旗揚げ戦」に参戦。15年4月にスーパーバンタム級王座、16年11月3日にフェザー級王座、18年3月にスーパー・フェザー級王座を奪取しK―1史上初の3階級制覇を達成。22年6月19日に東京ドームで那須川天心と対戦も判定で敗れる。その後、K―1と契約を解除し23年5月に「ONE」と契約した。妻は、タレントの川口葵。

身長168センチ、体重61・1キロ。

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