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「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」は、高畑勲監督・宮崎駿監督が推薦する作品を中心に、まだ広く知られていない世界の名作・傑作アニメーションをジブリ美術館がセレクトし、劇場上映およびDVD化を通して紹介していく活動だ。2007年1月の発足から20周年を迎える今年、その節目を記念して開催されているのが今回の「20周年記念映画祭」である。
映画祭では、『バッタ君 町に行く』、フレデリック・バック監督による『木を植えた男』ほか短編4作品、『キリクと魔女』、『しわ』という厳選された4プログラムが上映されている。なかでも『バッタ君 町に行く』、フレデリック・バック作品、『キリクと魔女』の3プログラムは35mmフィルムでの上映となっており、フィルム上映が可能な劇場が減少する中、フィルムならではの温かみある映像を体験できる貴重な機会となっている。
工藤氏と西岡氏が登壇したトークイベントは、東急文化村の浅倉葵氏の司会のもと、この日上映されたミッシェル・オスロ監督によるアニメーション映画『キリクと魔女』の話題からスタートした。本作は高畑勲監督が日本語版の翻訳と演出を担当し、声優には主人公キリク役に神木隆之介、カラバ役に浅野温子を起用するなど、日本国内でも大きな話題を呼んだ作品である。
本作が「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」で紹介されることになったきっかけは、高畑監督の「この映画はいいよ」という一言だったという。高畑監督は、主人公キリクが知的好奇心にあふれ、「なぜ?」「どうして?」と常に世界に問いかける姿勢を持った少年である点を特に気に入っていたそうだ。『キリクと魔女』は公開後、フランスで大ヒットを記録。西岡氏は「『千と千尋の神隠し』がフランスで公開された時期とほぼ同じ頃で、ライバルのように語られるほどでした。『フランスではキリクの方がヒットしている』と言われたこともありました」と当時を振り返った。
「オスロ監督の大ファン」だという工藤氏は、監督の生い立ちや作品遍歴についても紹介。
オスロ監督の作風について、西岡氏は「影絵を用いた独特のスタイル」が特徴だと語る。宮崎監督のようなキャラクターの主観的視点とは異なり、「キャラクターとの距離を保ちながら、物語を冷静に紡いでいく」客観的な演出は、”神の目”と称された高畑監督の作風とも通じるものがあり、その共通点が二人の交流を深めた理由のひとつだったという。
また工藤氏は、オスロ監督作品の特徴として「特別な美意識」に注目。「色使いが日本人の感覚とも、典型的なフランスの感覚とも違うのは、子ども時代に過ごしたアフリカで見た風景の影響が大きいのではないか」と考察していた。
オスロ監督の作品に興味を持った人は、2月21日(土)から東京日仏学院で開催予定の「ミッシェル・オスロ監督特集 動き出す世界たち」にも注目したい。同イベントでは、長編6作品、短編4作品ほかが一挙上映される予定だ。
トークでは、『キリクと魔女』以外の上映プログラムについても見どころが語られた。
『バッタ君 町に行く』は、ディズニー最大のライバルとされたフライシャー・スタジオが当時の技術を総結集して制作した作品だが、公開時期が太平洋戦争の勃発と重なったことで興行的には振るわなかった。西岡氏は「もしこの映画がきちんと公開されていたら、現在のアメリカのアニメーションの状況は大きく変わっていたはず」と断言するほどの傑作であり、ぜひスクリーンでその完成度を確かめてほしい一本だ。
フレデリック・バック監督からは、短編4作品を上映。色鉛筆によるカラフルで温かみのある手描きタッチと、絵画のような映像美が印象的な作品群について、西岡氏が「どの作品が一番好きですか?」と問いかけると、工藤氏は「最初に観たのが『木を植えた男』でした。
映画『しわ』については、西岡氏が「今だからこそ観てほしい、老人や老後の問題を描いた問題作」と紹介。工藤氏が「実写でも描けたはずの作品を、なぜアニメーションで描いたのか」という点について高畑監督はどう考えていたのかを尋ねる場面もあった。西岡氏は、高畑監督の言葉を引用しながら、「生々しくなりすぎると観るのが辛くなるテーマも、アニメーションで描くことで緩和できる。ユーモラスな場面は誇張でき、幼少期の思い出のような情景も美しく表現できる。それはアニメーションだからこそ可能な表現だった」と説明した。
なお『しわ』は、高畑監督にぜひ観てもらいたいと、プロデューサーが自ら日本語字幕を制作して持ち込んだというエピソードも紹介された。ジブリ作品が配信されていないこともあり、公開以降DVDでしか観ることができなかった本作は、今回が貴重な再上映の機会となっている。
最後に工藤氏は、「アニメーションは子どものものという固定観念を持っている方も多いと思いますが、実写以上に多様な表現や新しい挑戦が生まれている、とてもエキサイティングなメディアです。
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