●Macのパフォーマンスを大幅に引き上げる「Apple M1」チップ
MacBook Airは薄型・軽量のボディを特徴とするMacのノートブック入門機だ。本体を閉じた状態でパネルの先端に向かって徐々に本体が薄くなるウェッジシェイプ(くさび形)デザインを特徴としている。M1チップを搭載する最新モデルもこのシンボリックなデザインを継承。13.3インチのRetinaディスプレイとシザーメカニズムのMagic Keyboardは2020年3月に発売された1世代前のモデルと共通している。
M1チップ搭載のMacBook AirはGPUのコア数が異なる2機種を発売する。カスタムオーダーでメモリを8GB/16GBの2種類から、ストレージは標準容量が256GBで最大2TBまで4種類のオプションが選べる。インテルのCPUで動作するMacBook Airの現行ラインアップはM1搭載機と入れ替わる形で販売を終了する。
5nmプロセスルールにより製造されるApple M1チップには160億個のトランジスタが載っている。従来機のパフォーマンスと比較してCPUは最大3.5倍、GPUが最大6倍、機械学習に特化するNeural Engineは最大15倍の高速化を実現した。また省電力性能の高いチップであることからノートブックタイプのMacに最大2倍のバッテリー性能、つまり“電池持ち”をもたらす。
Apple M1はCPUにGPUのほか、入出力、セキュリティ、画像信号処理プロセッサ(ISP)などを統合したユニファイドメモリアーキテクチャによりパフォーマンスの向上と効率化を引き出す。例えば、ディスプレイのパネル上部に内蔵する720 FaceTime HDカメラがNeural Engineや最新の顔認識機能と連動することで、従来よりも明るくディティールの情報量に富んだビデオが撮れるようになった。
●ファンレス設計により驚くほどの静音性能を実現
新しいMacBook Airは高い電力効率を誇るM1チップのメリットを活かすことで、駆動時に発生する熱を筐体内部に搭載するアルミニウムの放熱板だけで逃がすファンレス構造とした。例えば、YouTubeのライブ配信を見ながらAdobe LightroomアプリケーションでRAW画像データを調整し、さらに大容量のデータコピーと音楽再生を同時に実行しても本体の底面がほんのわずかに温かくなる程度。もちろん排気音ひとつ立てない、驚くほどに高い静音性能を実現している。
内蔵バッテリーだけで連続駆動できる時間は、満充電の状態からワイヤレス接続でのブラウジングで最大15時間、ビデオ再生で最大18時間。筆者が実機を数日間試した手応えも上々だった。Webで資料を調べながら原稿を書き、途中に音楽再生や動画視聴を楽しんだりしながら、合間にはパネルを閉じてMacBookを休ませる。
いわゆる“普通のビジネスパーソン的な使い方”をした場合、丸1日以上は充電しなくても内蔵バッテリーだけで乗り切れた。オフィスと自宅の両方から離れて、なおかつ電源を確保しづらいカフェなどで長時間テレワークをしなければならない場面で、新しいMacBook Airのタフなバッテリー性能はとても頼もしく感じる。●アプリケーションの互換性は? iPhone/iPadアプリがMacで動く
M1チップの登場後、アップル純正のMac向けソフトウェアはユニバーサルアプリケーションとしてM1システムとIntel製CPUを搭載する両方のMacで動くように設計・開発される。外部のソフトウェアデベロッパにもユニバーサルアプリケーションの開発環境は提供されているが、既存のMacアプリケーションについても「Rosetta 2」と名付けられたバイナリ変換ツールをインストールすることで動作互換が保たれる。
筆者が今回M1搭載MacBook Airを取材した2020年11月中旬時点ではアップル以外のサードパーティが手がけるアプリケーションの多くはまだM1システムの上でネイティブに動かないものばかりだったが、Adobe PhotoshopやMicrosoft Excel、Google ChromeブラウザなどはRosettaを導入することで今まで通り動くし、アプリの起動や操作のレスポンスは快調だった。
M1システムにはiPhoneのiOS、iPadのiPadOS用につくられたアプリをmacOS上で動かす仕組みが新たに導入される。最新のmacOS Big Surを載せて出荷される新しいM1チップ搭載のMacBook AirとMacBook Pro、Mac miniは、App StoreにアクセスしてiPhone/iPad用のアプリを検索・ダウンロードできる。
ファイルビュワーとして便利な「GoodReader」、料理のレシピ・サポートアプリ「Kitchen Stories」など、筆者がiPadにも入れているアプリがmacOS App Storeから検索してヒット。M1搭載MacBook Airにインストールして全画面表示で利用できた。今後デベロッパ側の対応が進めば、より多くのiPhone/iPad向けアプリがMacでも楽しめるようになる。
●ビデオカンファレンスも高画質、ビジネスパーソンの強い味方
新しいMacBook Airは外観が1世代前のモデルとあまり変わらなかったことが残念でもあるものの、実機を試してみるとパフォーマンスが大きな飛躍を遂げていることがわかり、物欲を大いに刺激されてしまった。Rosettaを介して動作する既存のMacアプリケーションの動作も予想を超えて快適だし、安定している。船出を遂げたばかりの新しいシステムなので、真価のほどはもう少し使い込んでみないとわからないところもあるが、筆者のファーストインプレッションはとても良好だったことをお伝えしておきたい。
MacBook Airは薄さと軽さゆえに、現行MacBookシリーズの中で最も機動力にすぐれるノートブックだ。ビデオカンファレンスのカメラ画質を含む全体のパフォーマンスと、特にバッテリーのスタミナが向上したことで、ビジネスパーソンのテレワークスタイルを強力にバックアップしてくれるノートPCになるだろう。(フリーライター・山本敦)
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