エディオンが、複数メーカーのスマート家電をひとつのアプリで操作できる「エディオンスマートアプリ」をリリースしてから4月でちょうど1年を迎えた。今回、新たに「見守りサービス」を追加した。
キーワードは、「見守られる人」と「見守る人」の心理的ストレスを下げる「ゆるやかな見守り」。家電量販店という立ち位置だからこそ実現できた理由と自社開発へのこだわりについて、開発担当者に聞いた。
取材・文/細田 立圭志
●せっかく購入しても、使われなければ宝の持ち腐れ
――エディオンスマートアプリを自社で開発したきっかけを教えてください。
富岡司 営業本部 商品統括部 NEXT商品開発部 担当部長 兼 リユース・スマートアプリ開発課課長(以下、敬称略) 日本におけるスマート家電の普及率は約13%と低い水準にとどまっています。普及が進まない最大の要因は、スマート家電を購入したものの、お客様自身がメーカーのアプリをスマートフォン(スマホ)にダウンロードして設定することが難しいなど、心理的なハードルの高さがあります。せっかく便利なスマート家電を購入しても、機能が使われなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
 一方でわれわれは全国約1200店舗のネットワークがありますし、4600名以上の家電製品アドバイザー資格保有者がいます。全国89カ所のサービスセンターもあります。お客様との店頭でのリアルな接点を活かして、スマート家電の販売から配送、設置・設定、アフターサポートをワンストップで提供できます。
 自社開発にこだわったのは、エディオンが経営理念で掲げている、単に商品を販売するだけでなく、お客様に商品の楽しさ、豊かさ、便利さを体験していただく「効用の提供」にも通じるサービスだからです。せっかく便利なスマート家電を購入しても、使い切れていないという「もったいない」を解決するのも、われわれの使命だと思い開発しました。
――家電量販店がスマート家電のアプリを提供するメリットはどこにありますか?
富岡 メーカー製品の場合、1メーカーにつき1アプリが必要になります。
ご家庭で使っている家電が、1メーカーだけというお客様はまずいらっしゃらないので、お客様のスマホの中は、様々なメーカーのアプリであふれかえってしまいます。結局、使いこなしが難しく、使わなくなってしまうのです。
 エディオンは各メーカーの商品を横断的に取り扱っています。エディオンスマートアプリもシャープ、ダイキン、東芝、三菱電機、パナソニック、日立、ハイセンス、ゼネラル、プライベートブランドのe angleに対応しています(5月29日現在)。
 メーカーにより違いはありますが、対象商品ジャンルもエアコン、洗濯機、冷蔵庫、エコキュート、空気清浄機、炊飯器まで拡大しています。今後も対応するメーカー数、商品ジャンル数を増やしていく予定です。
 対象となる各社のスマート家電を一つのアプリで操作できるので、スマホの中もすっきりしますし、操作も煩雑ではなくとてもシンプルです。しかも、アプリは無料で使えます。
――アプリの設定で困ったらお願いできるのも、家電量販店であるエディオンが提供するメリットですね。
富岡 はい。設定作業は基本的に有料(キャンペーン時に無料になる場合もある)になりますが、サービスネットワークを通じてエディオンの社員が訪問して設定します。他店で購入したスマート家電でも対応します。
いつもご利用いただいているエディオンの店舗にご来店いただければ、分からないことについてお答えできるのも、リアル店舗ならではの強みです。
●ユーザーの反応は?メーカーが連携するメリットは?
――アプリのサービスインから1年が過ぎましたが、使っているユーザーの反応はいかがですか?
富岡 アプリのダウンロード数は公表していませんが、計画通りに進んでいます。お客様からは、外出する際に一つのアプリで、各スマート家電の電源をまとめてオフにできる機能を高く評価いただいています。
 また、これから暑くなると、帰宅する少し前にエアコンの電源をオンにしておけば、帰った瞬間から快適に過ごせます。ペットを飼っているご家庭なら、昼の暑いときにエアコンの電源を入れてあげたい場合、外出先から操作できます。
 家の中でリモコンをいちいち探さなくても、手元のアプリで操作できるのも好評です。部屋ごとのスマート家電の操作も設定できるので、例えば寝室で「あれ?リビングのエアコンや空気清浄機を消し忘れたかな?」と思ったとき、ベッドの中から手元のスマホで確認し、電源を消すことができます。
 対応するスマート家電であれば、リモコンの基本的な操作が一つのアプリでできるのはとても便利です。
――メーカーにとって、エディオンスマートアプリと連携するメリットはありますか?
富岡 スマート家電のせっかくの高付加価値機能が、設定の難しさなどからお客様に十分に使われていないという現状があります。しかし、エディオンスマートアプリと連携すれば、各メーカーの優れた機能を、お客様にしっかりと体感してご満足いただけるようになります。
 エディオンのアプリが「ハブ」のような役割を果たすことで、結果的にバックグラウンドで連携しているメーカー独自のアプリの登録者数増加にも貢献できると考えています。
 先ほどお話した通り、家電業界におけるスマート家電の課題が接続の難しさです。
それをサポートするために、われわれが有料で対応します。お客様自身で簡単に接続できるようになれば、もっと普及していくはずです。
●スマート家電のログ情報を送って「ゆるやかな見守り」を実現
――エディオンスマートアプリに、新たに遠くに離れて暮らす家族の様子がわかる見守りサービスをリリースしましたね。
冨岡 見守りサービスの特徴を一言でいうと「ゆるやかな見守り」です。見守りカメラで家の中の様子をうかがうのも一つの方法ですが、見守られる側のプライバシーや心理的ストレスが高くなります。
 エディオンスマートアプリは、スマート家電のログ情報を送る仕組みなので、見守られる側のストレスも低く、見守る側もそれをチェックするだけで安心が得られます。見守られる側と見守る側のどちらにもストレスの少ない「ゆるやかな見守り」なのです。
 具体的に、アプリと連携したスマート家電の稼働状況を示すログを1日に1回、見守る方に送ります。冷蔵庫の開け閉めやエアコンのオン/オフ、洗濯機の入り切りなどの情報が1日届かなければ、「何かあったかな」と気づいて見守る側が連絡できます。
 対応するスマート家電が増える分だけ、ログ情報による見守る頻度が増えるので、状況をより正確に把握できるようになります。遠く離れて暮らすご両親や、少し認知症の傾向がある方などの見守りに効果的です。
 それとは別に、見守られる方が元気かどうかをアプリで返信して通知する機能もあります。

●「通知機能」もシンプルで、直感的な操作感
――通知機能もシンプルな操作感にこだわっていますね。
富岡 はい。通知機能は「元気」か「調子が悪い」のどちらかを選ぶだけで、見守る側へのワンタップ通知が完了します。これは、先ほどお話した家電のログ情報とセットで届く仕組みです。高齢の方の中には、スマホの操作や文字を打つことすら負担に感じている方もいらっしゃいます。ですので、あれもこれも機能を盛り込むのではなく、機能を絞り込み、直感的に操作できることにこだわりました。
――将来的には、自治体などと連携して災害時の救助活動支援などの構想も掲げていますね。
富岡 社会的な役割の部分でいうと、取得したログ情報をどのように活用していくかは、エディオン1社だけではなく、様々な企業や自治体とアイデアを出しあいながら進めていければと考えています。少し長期的な展望にはなりますが、アップデートしながら可能性が広がっていくサービスなので、今後ともご期待してください。
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